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2016/08/09(火) 「天皇の退位について社説」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバック 0コ-コメント 0コ

 明仁という天皇している人から提案が出されたと考えております。

 天皇は憲法で政治に口出してはいけないので、個人の意見だけど天皇の言葉になりかねないので、なるべく直接的ではないけど、正直天皇の仕事ができなくなる前に出来る人に変わった方がいいんじゃね?とか、天皇が崩御すると1年間ズーンって沈んだまんまだし、その中で新しい天皇は即位の準備だし、正直大変じゃね?とか、まぁ。
 なんかそんな提案に私には聞こえまして。

 とりあえず、そのご提案など。

象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば(平成28年8月8日)

 戦後70年という大きな節目を過ぎ,2年後には,平成30年を迎えます。
 私も80を越え,体力の面などから様々な制約を覚えることもあり,ここ数年,天皇としての自らの歩みを振り返るとともに,この先の自分の在り方や務めにつき,思いを致すようになりました。
 本日は,社会の高齢化が進む中,天皇もまた高齢となった場合,どのような在り方が望ましいか,天皇という立場上,現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら,私が個人として,これまでに考えて来たことを話したいと思います。

 即位以来,私は国事行為を行うと共に,日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を,日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として,これを守り続ける責任に深く思いを致し,更に日々新たになる日本と世界の中にあって,日本の皇室が,いかに伝統を現代に生かし,いきいきとして社会に内在し,人々の期待に応えていくかを考えつつ,今日に至っています。

 そのような中,何年か前のことになりますが,2度の外科手術を受け,加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から,これから先,従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合,どのように身を処していくことが,国にとり,国民にとり,また,私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき,考えるようになりました。既に80を越え,幸いに健康であるとは申せ,次第に進む身体の衰えを考慮する時,これまでのように,全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが,難しくなるのではないかと案じています。

 私が天皇の位についてから,ほぼ28年,この間私は,我が国における多くの喜びの時,また悲しみの時を,人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして,何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが,同時に事にあたっては,時として人々の傍らに立ち,その声に耳を傾け,思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に,国民統合の象徴としての役割を果たすためには,天皇が国民に,天皇という象徴の立場への理解を求めると共に,天皇もまた,自らのありように深く心し,国民に対する理解を深め,常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において,日本の各地,とりわけ遠隔の地や島々への旅も,私は天皇の象徴的行為として,大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め,これまで私が皇后と共に行って来たほぼ全国に及ぶ旅は,国内のどこにおいても,その地域を愛し,その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ,私がこの認識をもって,天皇として大切な,国民を思い,国民のために祈るという務めを,人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは,幸せなことでした。

 天皇の高齢化に伴う対処の仕方が,国事行為や,その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには,無理があろうと思われます。また,天皇が未成年であったり,重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には,天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし,この場合も,天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま,生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。
 天皇が健康を損ない,深刻な状態に立ち至った場合,これまでにも見られたように,社会が停滞し,国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして,天皇の終焉に当たっては,重い殯の行事が連日ほぼ2ヶ月にわたって続き,その後喪儀に関連する行事が,1年間続きます。その様々な行事と,新時代に関わる諸行事が同時に進行することから,行事に関わる人々,とりわけ残される家族は,非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることは出来ないものだろうかとの思いが,胸に去来することもあります。

 始めにも述べましたように,憲法の下,天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で,このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ,これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり,相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう,そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく,安定的に続いていくことをひとえに念じ,ここに私の気持ちをお話しいたしました。
 国民の理解を得られることを,切に願っています。


 まぁ、いくつかあるのですが。
 この言葉を聞いたからハイ、政府は国会は動きなさい……ってのは、モロに天皇の政治介入になっちゃうので、来年くらいから「そういえば、そんなこと言ってましたね」みたいに動いていくんじゃないかなぁと思います。
 政治家は感想を言わされるんでしょうけどね。

 とりあえず、生きてるうちに退位していいよーって皇室典範なりを変える場合、

・退位した天皇をなんと呼ぶのか(以下、上皇とでも)。
・上皇はどういう位置づけになるのか。
・上皇派と天皇派で割れて何か起きないのか。
・「お前もう退位しろ」って圧力を天皇にかけたりするヤツが現れたりしないか。
・逆に「めんどいから、もう退位する」とか言い出す天皇が現れやしないか。

 辺りがとりあえずポンと出た問題ですかね。例えば75歳とか80歳とかの定年制を設けるとか、80過ぎたら退位することが可能になるとかすれば、無理矢理退位する、させられるとかは減らせるのかなぁ。うーん。

 平成30年ってのが最初に出たのは一つの節目として見てるのかもしれないし、あと2年くらいしか猶予が無いってことかもしれないし、2年くらい時間がいるでしょ?って事かもしれない。平成30年だとは84歳になってるし、父親が87歳でこの世を去ってるから、そろそろかもしれないじゃないってことかもしれない。
 その辺はよー知らん。

 何はともあれ。
 生きてる間に退位ーという話と、減る一方の宮家はこの先どーするのかなんて話と、女性天皇はアリか女系天皇はアリかという話と、そんなのひっくるめた議論が始まるんじゃないかと思います。

 で。

 憲法の話もそうなんだけど、こういうのって「これからの日本の基本コンセプトを決める」ってことになるんだよね。
 戦後70年が過ぎ、それからなんだかんだ色々とあって、「日本の基本コンセプト」を見つめなおししなきゃならんのかなぁ、という話になってるのかも知れません。
 で、それは政治家とか役人だけがやるってことじゃなくて、えらい先生だけでやるってことでもなくて、一人ひとりあーでもないこーでもないと言いあっていく事なんじゃないかなぁと。そんなことを思う次第です。
 あ、ちなみにそういう議論ではケンカ腰にならないようにね。

 んじゃ、社説。


朝日:天皇陛下お気持ち表明 「総意」へ議論を深めよう

...憲法は、天皇の行為が政治の動向に影響を及ぼすことがあってはならないと定めている。このためお言葉には、退位という文言をふくめ、現行制度の見直しについての言及はない。

 しかし、代行者として摂政をおく案にあえて触れたうえで、天皇の務めを果たせないまま地位にとどまることへの疑念を強くにじませた。さらに、健康を損ない「深刻な状態」になったときの社会の停滞や国民生活への影響にも言及するなど、相当踏みこんだお言葉になった。

... 改めて思うのは、政治の側が重ねてきた不作為と怠慢だ。

 高齢の陛下に公務が重い負担になっていること、その陛下を支える皇族の数が減り、皇室活動の今後に不安があることは、かねて指摘されてきた。

 小泉内閣は2005年に有識者会議を設けて女性・女系天皇に関する報告書をまとめ、12年には野田内閣が、皇族の女性が結婚後も皇室にとどまる女性宮家構想の論点を整理した。

 この間、秋篠宮さまの会見で「定年制」導入が話題になり、昨年末は、陛下が「行事の時に間違えることもあった」と、加齢による衰えを口にした。

 だが安倍内閣は、これらの課題に積極的に向きあってこなかった。議論は深まらないまま、先月になって突然、退位の意向が報道で明らかになった。

 陛下が先をゆき、政治があわてふためきながら後を追いかけている。そんな印象を多くの人が抱いたのではないか。

...明治憲法がつくりだした、それ以前の天皇の姿とは相いれぬ神権天皇制に郷愁を抱き、「終身在位」に固執することは、国民の意識に沿うとは思えない。天皇に人権は認められず自由意思ももてないとしてお気持ちを封じ込めるのも、人々の理解を得ることはできまい。

 天皇の地位は、主権者である国民の総意に基づく。陛下の思いを受けとめつつ、判断するのは国民だ。この基本原則を確認したうえで、解決すべき課題とその方策を考えるために必要な材料を提示する。それが政府の使命である。

... 朝日新聞の社説は、これからの皇室のあり方をさぐる前提として、広がりすぎた感のある...活動をいったん整理し、両陛下や皇族方に、何をどう担ってもらうのが適切か、検討する必要があると主張してきた。お気持ちの表明を、この問題を考える良い機会としたい。

...退位問題だけでなく、皇族の数はどの程度を維持すべきか、宙に浮いたままの女性宮家構想にどうとり組むかなどの問いへの答えも変わってくる。拙速は慎むべきだが、さりとて時間をかけすぎると、皇室が直面する危機は深まるばかりだ。

...落ち着いた環境の下で冷静に議論を進め、「国民の総意」をつくりあげていきたい。



産経:天皇陛下お気持ち 国の未来に丁寧な議論を23

...退位のご意向を、強くにじませられたものだ。陛下は82歳になられる。国民はお気持ちを、真摯(しんし)に受け止めるべきだろう。

...天皇陛下は、即位されてから30年近く、憲法で定められた国事行為や多くの公務に精励するのはもちろん、国民のためにひたすら祈り続けてこられた。

...<-- 皇后陛下とともに、戦争で亡くなった人々のことを悲しみ、その慰霊に努められるお姿は多くの人の目に焼き付けられている。大災害のたびに、人々の無事を祈り、復興を願われてきた。東日本大震災の後、ビデオを通じても苦難を分かち合うことを直接、呼びかけられた。

 国民はどれほど勇気づけられてきたことだろう。

 国民にあまり知られていない宮中祭祀(さいし)についても、新嘗祭(にいなめさい)をはじめとし、厳格に心を込めて執り行ってこられた。国民の安寧と幸せを祈る天皇の務めを全力をもって果たされてきたことに、国民は感謝と敬意を新たにしたい。

 -->大変なお疲れがあるだろう。ご健康を気遣う気持ちは、国民みな同じである。

...摂政のあり方についても議論すべきだろう。その場合、重病など極めて限られたときに置かれる摂政の運用を緩和することなども考えられる。

 単に法改正すれば済むというわけではなく、国民の象徴である天皇のあり方は、国の基本に関わる問題だ。政府は英知を集め、課題にあたってほしい。

 陛下は慎重に言葉を選ばれた。菅義偉官房長官は「国政に影響を及ぼすようなご発言ではない」とし憲法上の天皇の立場から問題はないとの認識を示した。

 陛下のお気持ちを国民が直接聞く意義は大きいものの、これまで陛下と宮内庁、内閣との意思疎通は十分だったのか、問い直すことも必要である。

 皇室の弥栄(いやさか)について、考えることが重要だ。

 秋篠宮家の長男、悠仁さまは健やかに成長されているが、他に若い世代の皇位継承者はおられず、将来の男系男子による皇位継承が不安定であることに変わりはない。旧宮家の復帰など、皇統を厚くする方策についても考えなくてはならない。



中日:未来につながる天皇制に 「お気持ち」表明

 天皇陛下が生前退位の意向をにじませるお気持ちを表明された。超高齢社会への備えも怠ってきた。天皇制永続のための改革にも踏み込むべきときだ。

...ただ、皇室典範は天皇の生前退位を想定していない。お気持ちにそうには皇室典範改正や特別法、元号問題など多くの検討事項があり、早急に着手すべきだ。同時に天皇が国民に直接語りかける異例の形であえてお気持ちを表明した背景は、生前退位だけでなく、今後の天皇制や皇室の在り方についての問題提起とも考えるべきだろう。

...天皇陛下の孫の世代では皇位継承資格者は悠仁さま一人という綱渡り状態が解消されたわけではなく、皇室や宮家の若き女性たちの結婚で、やがては皇族がいなくなってしまう「皇室の危機」が去ったわけではない。... 厳格保守派は、男系男子の皇位継承を主張して、女性天皇・女系天皇を認めず、戦後皇籍離脱した十一宮家の復帰をも提言する。だが、男系男子の家系維持はたやすくはない。...昭和天皇によって側室制度が廃止された現代での男系維持には無理がある。

 旧宮家の皇族復帰といっても、天皇家とは六百年前に枝分かれした家系で臣籍離脱からもすでに七十年、天皇一家のお気持ちを無視しての皇族復帰論は非情に過ぎないか。そもそも国民感情に合致するものだろうか。

 日本の歴史には推古天皇はじめ八人十代の女性天皇が存在し、重要な役割を演じた。女性天皇はすでにあり、さらには女系天皇をも考慮していくことが、伝統を継承し、お言葉のいう「伝統を現代に生かす」「人々の期待に応える」ことになるのではないか。...誇るべき内実は一系にあり、男系や女系ではないはずだ。

 憲法は天皇の地位は国民の総意に基づくと定めている。天皇のお言葉にこたえ、国民の意思、意向を示し、声にすべきだ。



日経:高齢化社会の象徴天皇制の姿を考えよう

...「退位」の表現こそなかったが「象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのでは」などと案じられている。高齢化社会の象徴天皇制の姿を改めて考える機会としたい。

...現在の皇室典範には生前退位に関する規定が備えられていない。改正には国会での手続きが必要となる。国民の間にはその手法などをめぐって多様な意見があり、取りまとめには時間がかかるかもしれない。

 一方で、マスコミ各社の世論調査では「生前退位を認めるべきだ」「制度を改正すべきだ」とする答えが軒並み半数を大きく超えている。「生前退位」は広く容認されているといっていい。

...今回、陛下はお気持ちの中で、発言内容に関し憲法上の制約があることを述べられた。いうまでもなく憲法は「天皇は国政に関する権能を有しない」と定める。

 お気持ちが法改正を求めたと受け止められぬよう、宮内庁も配慮を重ねた結果だろう。学界などからは異論が出る可能性もある。特別な日時を設定しビデオメッセージの形で表明する手法も、適切だったか検証が必要だ。

 2度の外科手術を経た陛下が高齢になり自らお気持ちを表明するに至るまで、象徴天皇制のあり方について議論を怠った政治の責任は重い。反省を促したい。



毎日:陛下のお気持ち 前向きに受け止めたい

...全体から伝わってくるのは、陛下が形式的な国事行為にとどまらず、ご自身の意思で国民の中に分け入ってきた行為こそが、象徴天皇の核心であるという自己認識である。

 陛下が続けてきた戦没者の慰霊と追悼の旅や、震災の被災地などへの訪問を指している。

...陛下の思いは、将来の皇室のあり方にも及んだ。

 陛下は昭和天皇の逝去に伴い55歳で即位したが、いまの皇太子さまはすでに56歳である。高齢化社会のなかで安定的な皇位継承を考えるのは時代の要請でもあろう。

 公務を憂いなくこなしてこその象徴なのに、それが思うようにいかない。そうした苦しみを、陛下は口にされた。そのお言葉を前向きに受け止め、お気持ちを尊重したい。

 憲法4条は「天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行い、国政に関する権能を有しない」と定めている。天皇の政治的な行為を禁止した規定である。

...憲法1条は天皇の地位を「主権の存する日本国民の総意に基づく」と定める。国民が陛下のお言葉を主体的に受け止め、判断できるのなら、憲法問題は乗り越えられよう。

 もちろん、退位を実現するには技術的な課題も多い。皇室典範4条は「天皇が崩じたときは、皇嗣(継承順位1位の皇族)が、直ちに即位する」としている。

 天皇の地位は「終身制」を前提にしており、退位の規定はなく、皇室典範を改正する必要がある。

...陛下が退位し、皇太子さまに譲位すれば、継承順位1位は弟の秋篠宮さまになるが、天皇の息子を指す皇太子は不在になってしまう。

 これでは皇位を世代間で引き継ぐ流れが途切れる不安が残る。皇室の将来を考えれば、女性天皇などを含めた皇位継承の議論にもなろう。それは決して不自然ではない。

...オランダやベルギーなどでは世代交代を理由に国王の退位が相次いでいる。こうした他国の例を参考に、日本にふさわしい仕組みをつくれるか。多角的で丁寧な議論が必要だ。

...お気持ちは陛下の切実なメッセージである。各種世論調査では多くが陛下の意向に共感を示している。国民全体で議論を深めたい。



読売:天皇「お言葉」 象徴の在り方を議論したい


...社会全体の高齢化が急速に進む中、陛下は「天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか」について、自身のお気持ちを示された。

...陛下は「国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます」と述べられた。摂政を置く場合についても、十分に務めを果たせないまま、天皇であり続けることになると指摘された。

 行事を完璧にこなすことこそ、象徴天皇の務めだという陛下の信念が伝わってくる。

 ご意思を尊重しつつ、様々な角度から議論を深めるべきだ。

...生前退位には、様々な難問があることも否定できない。自発的退位は、「国民の総意に基づく」という象徴天皇の位置付けと矛盾するとの意見がある。高齢を理由とすると、一代限りの話では済まなくなることも考えられる。

 政治的思惑により、強制退位させられる恐れもあるとして、生前退位を否定してきた政府の国会答弁との整合性の問題もある。

 こうした点を国民に周知する必要がある。...有識者会議などで議論を尽くしたい。


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2016/08/01(月) 「都知事選の結果が出たので社説とか」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバック 0コ-コメント 0コ

東京都選挙管理委員会:平成28年 東京都知事選挙 開票結果 確定 100.00% 平成28年 8月 1日 1時 05分 確定

11 小池 ゆりこ    2,912,628   無所属
_5 増田 ひろや    1,793,453   無所属
_4 鳥越 俊太郎    1,346,103   無所属
12 上杉 隆       179,631.018 無所属
_3 桜井 誠       114,171   無所属
_6 マック 赤坂      51,056   無所属
13 七海 ひろこ      28,809   幸福実現党
16 立花 孝志       27,241.975 NHKから国民を守る党
_1 高橋 しょうご     16,664   無所属
14 中川 ちょうぞう    16,584   無所属
_7 山口 敏夫       15,986   国民主権の会
10 岸本 雅吉       8,056   無所属
_9 後藤 輝樹       7,031   無所属
_2 谷山 ゆうじろう    6,759   無所属
20 武井 直子       4,605   無所属
17 宮崎 正弘       4,010   無所属
19 望月 義彦       3,332   無所属
_8 やまなか まさあき   3,116   未来(みらい)創造経営実践党
18 今尾 貞夫       3,105   無所属
21 ないとう ひさお    2,695   無所属
15 せきくち 安弘     1,326   無所属

(※名前左の数字は届け出番号。得票数で並べ替えた)

 と、いうワケで。
 小池百合子が自民・公明の応援を受けた増田ひろやに110万票。民進・共産・生活太郎・社民の応援を受けた鳥越俊太郎に150万票ほどの差をつけ。歴代当選者を見てみても猪瀬直樹(約439万)、美濃部亮吉(約362万)、石原新太郎(約309万)に次ぐ得票数による圧勝に終わったワケです。

 自民は引き締め策が超裏目。むしろ小池に票を流しまくるという華麗なアシストを決め、野党陣営は候補者擁立から失敗し、演説もろくに行えないまま週刊誌の報道で支持を落とし、それらを小池百合子にきれいに掬われたという感じなのですかね。特に大きなマイナスポイントを見せることなく、勝ちぬけたという感じ。

 まぁ、それはさておき今後の話。
 石原都政というのが長々と続いた理由として、よく都外の人間からは知名度があるから、発言の威勢がいいからという感じにとられてる感じなのですが。
 一番の大きな理由が知名度だとしても、その次くらいとして、「なんだかんだで手を付けていた政策が多い」のが挙げられるのですね。
 この後の社説に震災への取り組みや、待機児童、老人介護、バリアフリーあたりの話が出てくるのだけども。
 石原都政2期目辺りから、「10年後の東京」や「2020年の東京」といった長期プランで学校や橋の耐震補強、二酸化炭素軽減のための屋上・壁面緑化、ソーラーパネルの設置補助、木造密集地の再開発計画、老人ホームの設置なんかが出てきてて、実行に移しているものが多かったんだな。
 その中身について「もっとこうすべきだ」と言う意見はあるにせよ、「やってないじゃないか!」という批判が出来ないようになっていたので。
 大体、準備不足の立候補者が並ぶ都知事選挙では、「私が都知事になったらコレコレをやります」と訴えてる横で「それなら、ここまで進みました」と過去形で返すという展開がずーっと繰り返されたのだな。そうなると、ホント知名度だけで勝ちに行くのは難しいワケですよ。
 もっとも、それをやりそうだったのが東国原英夫で、石原慎太郎が引退撤回して勝ちに行くワケですが。

 まぁ、それはさておき。
 そういうワケで、中身の修正は行えるでしょうけど、基本的には割と手広く「これやります、あれやります」と長期計画を作ってしまってあるので、大枠では石原都政の路線を引き継ぎつつ、小池百合子らしさというのをその中から出していくということになるのかなぁと思います。
 それがうまくいくのかどうかは、これからの話なので分かりませんけどね。

 ではでは、社説。

朝日:小池新都知事 都民本位の改革実行を

 東京都の新しい知事に、小池百合子氏が選ばれた。初の女性都知事の誕生だ。日本の首都の顔として、持ち前の発信力を生かしてほしい。
...
 すぐに待ち受けるのは東京五輪・パラリンピックの整備費の分担見直しだ。当初7千億円と言われた全体経費は2兆とも3兆とも言われている。これをいかに削り、都負担の適正ラインをどこに引くか。
...
 朝日新聞の調査では、新知事に力を入れてほしい政策のトップは「教育・子育て」だった。
...
 約8500人にのぼる待機児童の解消に向け、都有地の活用や保育士の待遇改善など様々なアイデアが選挙戦で語られた。着実に対策を進めてほしい。

 一方、小池氏が「教育」について語ることはほぼなかった。
...
 立候補の際、小池氏は都議会自民党との対決を強調した。議場での真剣な議論を通じ、都民本位の政治を競うなら歓迎だ。

 しかし、またコップの中の争いになるなら、ごめんこうむりたい。猪瀬直樹氏、舛添要一氏と2代続いた失脚で、これ以上都政を停滞させる余裕はない。


産経:小池都知事 混乱から安定へ変貌せよ2

 東京都の新しい知事に防衛相などを務めた小池百合子前衆院議員が選ばれた。
...
 功を奏したのは、自民党都連との対立を強調し、都政刷新を望む無党派層に浸透を図る戦術だった。

 ただし、山積する都政の課題の解決は、こうした手法が通用するほど簡単なものではない。
...
 国と協調を図り、ときには厳しく注文する手腕が求められる。周辺自治体との信頼関係を築くことも欠かせない。
...
 自公が推した増田寛也氏は、岩手県知事などを務めた実績などから「実務型」と安定性をアピールしたが、知名度不足が響き、支持は広がらなかった。首相官邸側の支援も積極性に欠けていた。

 野党4党推薦の鳥越俊太郎氏は知名度こそ高かったものの、憲法問題など国政への言及が目立つ一方、都知事になって何をしたいのかが伝わらなかった。

 参院選の延長線上で、都知事選を野党連携の場に位置付けた民進党などは失敗を繰り返した。


中日:愚は繰り返すまい 新都知事に小池氏

...自民、公明の与党が担いだ増田寛也氏も、民進、共産などの野党が担いだ鳥越俊太郎氏も、惨敗を喫した。大勝したのは、古巣の自民党に反旗を翻して、独りで挑んだ小池氏だった。
...
 自民党都連は、除名処分をちらつかせ、同党議員のみならず、その親族による小池氏の応援まで事実上禁じた。...かえってアレルギー反応を招いたに違いない。

 民進党中心の野党は、出馬の意欲を見せていた元日弁連会長の宇都宮健児氏の思いを切り捨てた。政党の思惑を優先させ、草の根の声を踏みにじってもしまった。

 小池氏の勝利は、最近の米欧の政治動向をほうふつさせる。いわばエリート層や既得権層に対する不満の表明だったようだ。
...首長の政治とカネの問題に終止符をという機運は、議会側から強まってしかるべきだ。

 知事二代が辞職したのは、都議会での疑惑追及の途上だった。ところが、真相究明は中途半端のまま立ち消えになり、一連の騒動に教訓を学び、有効な再発防止策に結びつけた痕跡もうかがえない。

 都知事選で二氏を相次いで売り込んだ自民も、公明も、これまでに政治的、道義的にけじめをつけたとは言い難い。責任の所在はいまだうやむやになっている。...都議会に自省すべき点はないか。

 目の前には、政治力や行政手腕が試される難題が控えている。

 二〇二〇年東京五輪・パラリンピックの開催経費を、都はいくら負担するのか。招致時は七千三百億円余りとされたのに、今や二、三兆円という観測が飛び交う。
...
 舛添、組織委会長の森喜朗、五輪相の遠藤利明の三氏は、経費の全体像も明らかにしないまま都の負担増を合意した。密室協議を改めねば、民心は離れる。「都政の透明化」へ、試金石となろう。
...
 「都民が決める。都民と進める。東京の未来」。それが小池氏が掲げたスローガンである。

 真意ならば、他の候補二十人に投じられた票の重みも忘れてはならない。おごらず、いつも市民感覚を磨き続ける。そんなリーダーであってほしい。


日経:都政を前に進めるには調整力が必要だ

...小池氏は高い知名度を背景に、選挙戦を序盤から優勢に進め、自民党や公明党などが推薦した増田寛也氏や野党4党が推した鳥越俊太郎氏らを寄せ付けなかった。
...
 小池氏は「東京大改革」を掲げ、都政の透明化や行財政改革の推進を訴えた。都道からの電柱の一掃、東京版グラミン金融(小口無担保融資)の推進など様々な政策も打ち出している。まずこうした公約を着実に前に進めてほしい。

 小池氏が主張する五輪予算の適正化も必要だ。五輪に関係する費用の全体像を早急に明らかにして、不要な経費を削るべきだ。開催まで4年を切った今、時間との勝負になる。国などとの費用負担の見直しについて、さっそく調整力が問われる。

 子育て環境を充実し、高齢者介護の受け皿を整えることも重要な課題だ。...首都直下型地震への対応も腰を入れて取り組むべきだ。
...
 地方自治は首長と議員をともに住民が直接選ぶ二元代表制だ。有権者の支持を得たからといって、議会を抜きに物事を進められるわけではない。小池新知事にはこの点を冷静に考えてほしい。


毎日:小池東京都知事 変化への期待に応えよ

...政党の支援を得ない小池氏が勝利を収めたのは、知名度や国政での経験への評価に加え、都政に変化を求める有権者の期待感の表れだろう。都議会と健全な緊張関係を築き、首都の課題解決に取り組んでほしい。
...
 2020年東京五輪の負担などをめぐり都政の透明化を訴えた。...自民党都連は議員本人だけでなく、親族が小池氏を応援した場合も除名処分とする通知を出すなど露骨に締め付けた。だが、逆に反発を広げ、小池氏には追い風となった。
...都議会を敵と決めつけ、劇場型の対立をあおるような手法で成果は得られない。舛添都政を点検し、政策を軸に議会と議論を戦わせる覚悟がいる。

 急速な超高齢化に対応した医療・介護体制の確立や、改善しない保育所の待機児童問題、防火対策が遅れている首都防災など東京が抱える課題はいずれも重く、緊急性が高い。
...
 政党は結果を厳しく受け止めるべきだ。政策より締め付けで小池氏に対抗した自民は、舛添都政を与党として支えていた反省が乏しすぎる。

 民進、共産など野党は保守分裂の好機を生かせなかった。参院選と同様に共闘したが、政策などで鳥越氏陣営の準備不足は明らかだった。

 民進党の岡田克也代表は都知事選投票の前夜、次期代表選への不出馬を表明した。批判逃れを図ったとしか言いようがないタイミングだ。党全体で野党共闘のあり方を議論し、選挙結果を真剣に検証すべきだ。


読売:東京都知事選 小池氏は地道に重責全うせよ

...自民党都連は、親族も含めて所属議員が小池氏を応援すれば処分対象にすると通知した。強圧的で偏狭な印象を与え、小池氏を利する結果になったのは否めない。

 小池氏は都議会や都連の密室性も批判し続けた。自民党の一部有力議員に意思決定の権限が集中しているとして、「開かれた都政を実現する」などと訴えた。都議会は重く受け止めねばならない。

 自民、公明両党などの推薦を受けた元総務相の増田寛也氏は、岩手県知事などの豊富な行政経験をアピールした。他の主要候補に比べ、公約に具体性もみられたが、知名度不足が響き、小池氏に自公支持層の票を奪われた。

 民進、共産など4野党が推薦したジャーナリストの鳥越俊太郎氏は、東京から250キロ圏内の原発の廃炉など都知事の権限が及ばない政策に盛んに言及した。島嶼とうしょ部での消費税率の引き下げなど、荒唐無稽な発言も目立った。
...
 2020年東京五輪・パラリンピックでは、都の負担増は避けられない状況だ。国や大会組織委員会と、どう折り合いをつけ、都民の理解を得るのか。会場への交通手段の整備や街のバリアフリー化にも万全を期さねばならない。

 合計特殊出生率が全国で最低水準にある少子高齢化対策も重要である。...首都直下地震の対策にも猶予はない。...
 重責を全うできるよう、政治とカネの問題に襟を正すべきなのは言うまでもない。


2016/07/15(金) 「参院選前後でアタフタ」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバック 0コ-コメント 0コ

 今回の参院選から18歳・19歳に選挙権が与えられたこと。
 衆院で2/3の議席を与党が有してる中で、参院も似たような事になった場合、憲法改正の発議が可能なこと。
 その際、現在政党が掲げてる改正草案が自民党のものであり、当時の総裁で今の幹事長が「エッジを効かせた」と言うくらい、結構とんがった内容のそれであること。

 と、言うわけで。
 今回の参院選は護憲派などにはナーバスなものがあったようで、投票日当日と結果が出た翌日の社説で余りにも落差があったりしたので、並べてみました。

 参院選そのもので言えば、経済政策はアベノミクスが積極的なり消極的なり支持された、と言うか、支持されてたからそのまま勝ったという感じで、野党はその支持されてた経済政策を「失敗だ」と変えようとしたので、別に争点にしようとした「憲法改正」はそっちのけで、支持を失った……と、私は考えています。

「経済政策は間違ってないが、再配分の段階で余りにも国民に金が回されてない。それはダメだ」

 ……とかなんとか言って、基本的には継続するよってスタンスを取ってたなら、大きい違いが出ていた「憲法」が争点になっただろうにね。
 まぁ、野党共闘の段階でそれはダメだったんでしょうけども。

 では、社説。

朝日:参院選 新有権者へ 思い示すチャンスだ2016年07月10日

 18、19歳の新有権者のみなさん、きょうは参院選の投票日です。70年ぶりに選挙権年齢が引き下げられ、新たに240万人の18、19歳の人が有権者になって迎える初の国政選挙です。せっかくの権利を無駄にしてはもったいない。ぜひ、投票に行ってほしいと思います。...

 どの党の誰に投票すべきか、悩む人も多いようですね。

 参院選は3年ごとにあります。まず3年先の自分のくらしを想像し、政治にかかわる課題を考えてみませんか。...

 18、19歳のみなさんは将来を担う世代のトップランナーです。投票する人が多いほど、政治家は若者の思いを軽視できなくなります。そして票を投じた相手が期待にこたえているか、選挙後も見届けてください。それは、政治をみなさんに近づける大きな力になるはずです。


朝日:自公が国政選4連勝 「後出し改憲」に信はない 2016年07月11日

 歴史的な選挙となった。

 1956年、結党間もない自民党が掲げた憲法改正を阻むため、社会党などが築いた「3分の1」の壁。これが、60年たって参院でも崩れ去った。...

 もちろん、これで一気に進むほど憲法改正は容易ではない。...

 いまの憲法のもとでは初めての政治状況だ。まさに戦後政治の分岐点である。

... 安倍首相が...改憲案を最終的に承認するのは国民投票であることなどを指摘して「選挙で争点とすることは必ずしも必要ない」と説明した。

 それは違う。改正の論点を選挙で問い、そのうえで選ばれた議員によって幅広い合意形成を図る熟議があり、最終的に国民投票で承認する。これがあるべきプロセスだ。国会が発議するまで国民の意見は聞かなくていいというのであれば、やはり憲法は誰のものであるのかという根本をはき違えている。

...

 この選挙結果で、憲法改正に国民からゴーサインが出たとは決していえない。

...民進、共産など野党4党は、安全保障関連法廃止や改憲阻止を旗印に、32の1人区すべてで候補を統一し、一定の結果を残した。ただ、全国的に政権批判の受け皿になるには力強さを欠いた。終盤になると、与党側から野合批判、とりわけ自衛隊を違憲とする共産党との共闘への激しい攻撃を浴びた。

 もっとも、共闘していなければ、1人区の当選者はさらに限られただろうことを考えれば、共闘の試みに意味はあった。

 小選挙区制の衆院、1人区が全体の結果を左右する参院のいまの選挙制度では、巨大与党に対抗するには野党共闘が最も有効であるのは間違いない。

 政権選択を問う次の衆院選に向けて、どのような共闘ができるか。野党側が戦える態勢をととのえられなければ、自民ひとり勝ちの選挙がさらに続きかねない。


産経:投票に行こう 国の未来見据えた選択を2 2016年07月10日


 参院選の投票日を迎えた。国の未来を託せるのはどの政党、候補か。それを判断する上で、この2週間余りの間に語られた政策や理念は、けっして十分ではなかったかもしれない。

 それでも、内容を吟味し、大切な一票を投じることは、自らの将来や国の行く末をより良いものとするのに欠かせない行動だ。

...

 今回、「18歳以上」の新たな有権者約240万人の動向に注目が集まっている。政治に直接関わることのできる機会を、先輩たちよりも少しだけ早めに得られたことを大切にし、積極的に投票所に足を運んでもらいたい。

... 若者が投票所に背を向ければ、有権者の中で占める割合の高い高齢者に、政治が配慮しがちとなる「シルバー民主主義」の進展を加速するだろう。

 奨学金、結婚、子育てなど若者だからこそ身近にとらえられるテーマは少なくないはずである。

 十分満足のいく選択肢を見つけにくいとしても、投票を通じて自分の考え、立場を自覚することもできるだろう。

 日頃は政治への無関心を装い、気に入らないことがあれば暴言を浴びせる。そんな風潮がはびこれば、議会制民主主義は危うい。


産経:政策なき「野合」は否定された 直面する困難を克服するため強い政権の継続が必要だと有権者は判断したのだ23 2016年07月11日

 直面する内外の困難な課題を克服するため、強い政権の継続が必要だと有権者は判断した。

 参院選で自民、公明両党が勝利し、安倍晋三政権は衆参両院で、より安定的な基盤を得た。いまだ果たせていないデフレからの脱却を急がなければならない。

 憲法改正に賛成する勢力も3分の2を超えた。改憲や安全保障体制の強化などに総力を挙げるべきである。この勝利を懸案解決に結びつける責任を首相は負った。

 民進、共産など野党4党は安保関連法の廃止を訴え連携したが、与党圧勝を許した。国際情勢を無視した非現実的な主張だったことを有権者は正確に見抜いた。

...与党の勝利は野党の無策に助けられた面も少なくない。勝利した与党に政策を白紙委任できるものでもない。むしろ、政権政党として詳細で実現可能な政策をどれだけ提示できたかといえば、大いに疑問だ。

 最たるものが経済政策である。...

 首相が10日夜、直ちに経済対策を策定する姿勢を示したのは妥当である。成長に資する政策を反映させるべきだ。それが不十分では財政出動効果は長続きしまい。

...

 大きな懸念は改革の覚悟が見られぬことだ。...痛みを伴う改革の選択肢は最後まで示されなかった。

... 厳しい現実を包み隠さず国民に説明し、理解と協力を得るべきなのは、あらゆる政策に共通する。強力な基盤を得た今こそ、覚悟を示し、行動に移すべきである。


中日:拝啓 未来の私自身へ 週のはじめに考える 2016年07月10日


 なぜ投票してほしいのか。今日投開票の参院選が、国の形を変える選挙になり得るから。特に若い皆さんには、自分の未来を自分で決めてほしいから。

... 「十八歳選挙権」の話題が先行しています。“十八歳”が重みを持つのは、きょうのこの参院選の投票結果が、日本という国のかたちを大きく変えることになるかもしれないから。

 参議院で改憲派が三分の二以上の議席を占めれば、すでに三分の二を超えた衆議院とともに、憲法改正の発議が可能です。

 発議とはこの場合、憲法改正を国民投票にかけましょう、という提案です。十八歳は再び、重大な選択を迫られます。

 国民投票で賛成が過半数に達すると、改正が成り立ちます。つい先日の英国の出来事も、それにまつわる喜怒哀楽も、遠い国の遠い出来事ではありません。

 もしも戦争放棄を定めた憲法が“改正”されて、この国が国防軍を持つ普通の国になったとき、遠い異国の戦場へ銃を担いで出かけて行くのは、私たち“大人”でも、政治家でもありません。十八歳を含む若い世代の皆さんです。

...十八歳こそ、投票の権利を持ってしかるべきではないですか。...


中日:「白紙委任」ではない 改憲勢力3分の2 2016年07月11日


 参院選は自民、公明両党が改選過半数を確保し、改憲勢力も三分の二以上に達した。安倍政権は「信任」された形だが、有権者は「白紙委任」したわけではない。

... 民進、共産、社民、生活の野党四党は改選一人区で候補者を一本化して臨んだが、「自民一強」を崩すには至らなかった。

 自公両党に「改憲勢力」とされるおおさか維新の会、日本のこころを大切にする党、無所属の「改憲派」を加えた議席は非改選を合わせて三分の二を超え、憲法改正の発議が可能な政治状況になった。戦後日本政治の分水嶺(ぶんすいれい)である。

... 一八年十二月までには必ず衆院選がある。野党は次の国政選挙に備えて党内や政党間で議論を重ね、安倍政権に代わり得る政策を練り上げる必要がある。

... 改正手続きが明記されている以上、現行憲法は改正が許されない「不磨の大典」ではないが、改正しなければ国民の平穏な暮らしが著しく脅かされる恐れがあり、改正を求める声が国民から澎湃(ほうはい)と湧き上がるような状況でもない。

 改正に向けた具体的な議論に直ちに入ることを、参院選で有権者が認めたと考えるのは早計だ。

... 日本国憲法は先の大戦への痛切な反省に基づく国際的な宣言だ。理念である国民主権や九条の平和主義、基本的人権の尊重は戦後日本の経済的繁栄と国際的信頼の礎となり、公布七十年を経て日本国民の血肉と化した。

... 参院選は終わった。しかし、有権者としての役割はこれで終わったわけではない。一人ひとりが政治の動きや政治家の言動に耳目を凝らし、間違った方向に進み出そうとしたら声を出し、次の国政選挙で審判を下す必要がある。一人ひとりの力は微力かもしれないが決して無力ではないはずだ。

 私たちの新聞は引き続き、有権者にとっての判断材料を提供する役目を真摯(しんし)に果たしたい。覚醒した民意こそが、政治をより良くする原動力になると信じて。


日経:私たちの1票で日本の針路を決めよう2016年07月10日


 参院選の投開票日を迎えた。暑い日差しや風雨のなかで支持を訴える候補者を見かけた人もいるだろう。みんなでよく考えて1票を投じることで、日本の針路を確かなものにしたい。

... 選挙の結果は憲法改正の論議にも影響する。与党は衆院で改憲案の発議に必要な3分の2以上を占めている。参院でも改憲勢力が増えれば初の改正に向けて一歩近づく。その是非も争点だ。

... 今回は選挙権年齢が「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げられた。投票所への子どもの同伴も全面解禁になった。若い層が積極的に投票すれば、高齢者の影響力が大きい「シルバー民主主義」の流れを変えられる。...

 世界の政治は過渡期にある。米大統領選の行方は見通せず、英国は国民投票で欧州連合(EU)からの離脱を決めた。中国などの台頭で世界経済や外交の環境が変化し、政治の難しいかじ取りが求められる場面が増えそうだ。

... 有権者が選挙に背を向けても、政治の結果は必ず自分や子どもたちに跳ね返る。困難な時代だからこそ、1票に託すべき思いは大きいはずだ。


日経:改憲より先にやるべきことがある 2016年07月11日


 第24回の参院通常選挙は10日、投開票の結果、与党の自民・公明両党に、おおさか維新の会・日本のこころを大切にする党の改憲2党と無所属議員も加えた「改憲勢力」が憲法改正を発議できる3分の2に達した。

 2014年12月の衆院選で与党はすでに3分の2を超える議席を確保しており、改憲問題が具体的な政治日程に上る可能性が出てきた。1946年11月の日本国憲法公布から70年。戦後政治は大きな転機にさしかかってきた。

... 与党の勝因としては対立争点を設定しない戦術に出たことがあげられる。...

 憲法改正についても、自民党は明確なかたちで選挙公約に盛り込まず、公明党も公約で言及することさえしなかった。

 しかしこのやり方は今後、ブーメランとなって改憲側に跳ね返ってくるおそれがある。...

 国政選挙では触れないでいながら、国会の憲法審査会でいきなり具体的な発議項目を詰めていくような展開は、やはり民主的な手続きのうえからも問題と言わざるを得ない。

... 今回も伸び悩んだ民進党は、なお有権者の支持が戻っておらず、党再建の道のりが険しいことが明らかになった。とくに共産党と連携、他の野党も加えた野党統一候補を1人区で擁立するなど、民進党が左へ振れた印象を与えた点も影響したとみられる。...

 リベラル票をまとめる効果はあったとしても、保守的な議員も抱えた民進党に親和的だった中道保守の票が民進党に行きにくくなったからだ。

 結果として自民党などに流れたり、棄権に回った票もかなりあったとみられる。その意味で、-->民共連携は与党を利する一面があったといえる。

... 改憲がいよいよ政治テーマとして浮上してくるにあたり、留意すべき点がある。そもそも自民党は改憲が党是で、草案までまとめているが、2次草案は野党当時のものとはいえ、保守色が濃すぎてとても多くがのめる代物ではない。見直しの党内論議を求めたい。

...野党との議論を丁寧に尽くすべきだ。与野党合意を形成するための努力を重ねる必要がある。

 英国での国民投票をみても分かるとおり、改憲をめぐって国論を二分し、社会の分断を招くような事態は避けなければならない。

... 安倍晋三首相自身が認めているようにアベノミクスは「道半ば」である。ここはまず経済再生に政権の力を集中し改憲は議論段階として取り組んでいくのが適当だ。

...


毎日:参院選投票日 あなたの1票は重い 2016年07月10日


 きょうは参院選の投票日だ。既に期日前投票を済ませた人も多いだろう。まだ、という人はぜひ投票所に足を運んでもらいたい。

 結果によっては自民党を中心とする憲法改正派の勢力が改正案の発議に必要な3分の2以上の多数を参院でも占める可能性がある選挙だ。

... 前回参院選(2013年)の投票率は過去3番目に低い52・61%。14年の衆院選は52・66%で衆院選としては戦後最低だった。自民党は有権者の半数程度の低投票率の中で1強体制を維持してきたといっていい。

 しかも安倍政権は選挙で勝てば「全面委任された」とばかりに安全保障関連法など選挙で語らなかった政策を数の力で推し進めてきた。

 こうした手法は民主政治を揺るがすものではないのか。実は与野党の対決構図はそんなに難しいものではない。参院選で有権者に問われているのは3年半の安倍政権に対する評価である。

... アベノミクスの評価でもいい。与野党どちらにも満足していないが、どちらの議席が伸びる方が好ましいかを考えて投票する方法もある。

...若者も大人も投票に行こう。主役が不在では政治は成り立たないのだ。


毎日:参院選 改憲勢力3分の2 まず自民草案の破棄を2016年7月11日


 参院選で自民、公明両党は堅調に議席を伸ばしたのに対し、民進党など野党は総じて振るわなかった。

... さらに、今回の参院選は戦後政治史の転換点になる可能性がある。与党やおおさか維新の会など憲法改正に賛同する勢力が、非改選の分も合わせて3分の2に達したためだ。

 すでに衆院では改憲勢力が3分の2を占めている。これにより、今後の展開次第では初めて国会が改憲案を発議する事態もあり得る。

... 憲法は国民全体で共有する最重要の合意だ。したがってそのあり方を点検することに異論はない。

 ただし、審査会の再開にあたっては条件がある。自民党が野党時代の12年にまとめた憲法改正草案を、まず破棄することだ。

... 首相は「条文の改正を決めるのは国民投票だ」と語っている。確かに憲法の改正には国民投票で過半数の賛成が必要だ。ただし、それは最後の確認と考えるべきだろう。英国のように国民投票が国民を分断するようでは、憲法が国民に根付かない。最低でも、与党と野党第1党が合意している必要がある。

... 日本は内外ともに厳しい条件が課せられている。参院選を経て安倍政権は、近来にない強力な政治基盤を獲得した。その恵まれた力を、中長期的な改革にこそ生かすべきだ。

 まず、消費増税の2年半先送りで崩壊寸前となった税と社会保障の一体改革の枠組みを、早急に立て直さなければならない。

... 一方、野党第1党の民進党は選挙結果を重く受け止める必要がある。

... 民進党など野党が復調するには政権を担い得る政党として信頼回復の努力が欠かせない。共産党との共闘戦略も見直しが必要だろう。

 今回の参院選から「18歳選挙権」が実現し、全国の少なくない高校で模擬投票などの主権者教育が実施された。決して成果を急がず、若者たちの政治への関心を、じっくりと社会全体で育んでいきたい。


読売:きょう投票 未来を見据えた冷静な選択を 2016年07月10日



... 山積する内外の課題にどの政党が現実的な政策を提示し、どの候補者が説得力ある主張をしたのか。しっかりと見定め、1票を投じたい。

... 最大の争点は、経済政策アベノミクスに対する評価だ。

...与党が、おおさか維新の会、日本のこころを大切にする党との合計で78議席を獲得し、憲法改正の発議に必要な3分の2以上に達するかどうかも注目される。

... 憲法改正について、安倍首相は街頭演説で言及を避けた。公明党も「国会で議論が深まっていない」として、公約で触れなかった。

 野党側は、争点化を図ろうとした。...

 近年は、政治家の不祥事や失言が目立ち、その資質が厳しく問われている。有権者には、演説の巧みさだけに惑わされることなく、見識と責任感を有する人材を見抜く力が求められる。


読売:参院選与党大勝 安定基盤で経済再生の貫徹を2016年07月11日



...

 道半ばにある経済政策アベノミクスを強化し、デフレ脱却を確実に実現してほしい。それが有権者の意思だろう。

 第24回参院選は、自民、公明の与党が改選過半数の議席を獲得し、大勝した。

... 安倍政権は、経済最優先の方針を堅持することが大切である。秋に予定される経済対策の中身と財源の精査や、農業、医療などの成長戦略の拡充が急務だ。

... 18歳選挙権の導入が注目される中、投票率が低かったことが、固い組織票に支えられる与党に有利に働いた点も見逃せない。

 首相は、アベノミクスが全面的に支持されたと、おごってはならない。むしろ、経済再生を成し遂げるまでの猶予期間が延長されたと謙虚に受け止め、丁寧な政権運営に努めることが肝要である。

... 民進党の「左傾化」には党内外から懸念が出ている。安保関連法の廃止を求める戦術には終止符を打ち、より建設的な論戦を与党に仕掛けるべきではないか。

...自民、公明の与党と、憲法改正に前向きなおおさか維新、日本のこころを大切にする党や無所属の合計は、改正発議の要件である参院の3分の2を超えた。

...

 まずは衆参の憲法審査会で、改正テーマの絞り込みの議論を冷静に深めることが重要である。

2016/06/03(金) 「消費税増税再延期についての社説2」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバック 0コ-コメント 1コ

 記者会見後の社説編。

 なんで今の安倍内閣の支持率が落ちないのか。
 というのを勝手に考えると、個人的には「一番、景気対策がマシだから」なんじゃないかと思っていて。
 もっと言えば、「現政権・与党以外の野党に景気をよくする気がさらさら無い」ように見えていて、その野党が現政権・与党を攻撃し、しかもその内容が「一番マシな景気対策」をやめろと。20年やってきて失敗し続けた「対策にならない景気対策」をやれと。そんな事を堂々と訴えてくるもんだから、支持しようがない。
 そんな感じなんじゃないかと思っています。
 でないと最大野党の支持率が一桁で続いたり、政府・与党の支持が野党にあまり流れずに支持ナシが増えて終わってしまう事に合点が行かないので。

 「将来のツケを無くす」
 もよく出てくるフレーズなのですが、そのために将来を担う今の若者からも消費税を多くいただきましょう、なので、そんなもんが支持されるのかというと、支持されるわけもなく。
 その辺、景気関係なく絶対増税みたいな人たちはどういう風に理解を求めていくんだろうなぁ。

 何はともあれ社説です。


朝日:首相の会見 納得できぬ責任転嫁2016年6月2日

 とても納得できる説明ではない。安倍首相のきのうの記者会見はそう評価せざるを得ない。

 アベノミクスは順調だ。しかし新興国の経済が陰っている。だから来年春の10%への消費増税は延期し、この秋に大胆な経済対策をまとめる。財政再建の旗は降ろさない――。発言を要約すればこうなる。

 納得どころか、「アベノミクスのエンジンを最大にふかす」と強調されては、その危うさがさらに膨らみかねないと不安が募る。
...財政再建と社会保障財源充実のために、消費増税を予定通り実施するのが筋だ。
...
 不人気な政策の先送りを問うことで自らの公約違反にお墨付きを得ようとする。これは、国民感情を逆手にとった有権者への責任転嫁でもある。

 参院選で問われるべきは、むしろこうした首相の身勝手さではないか。


産経:消費増税の再延期 今度こそデフレ脱却を 社会保障への影響食い止めよ22016.6.2

...日本経済にとり、また安倍政権の最大課題であるデフレ脱却を実現するうえで、景気回復が遅れる中での増税実施は困難だと考えたためだ。その判断自体は現実的かつ妥当なものといえよう。
...今度こそ、増税を確実に実施できるような強い経済をつくり上げなければならない。アベノミクスを厳しく点検し、成長基盤の底上げに資する戦略を早急に描き直す必要がある。

 増税再延期に伴い、予定していた社会保障の充実や財政健全化への影響も避けられないだろう。どのように対応するのかの道筋を示すことも重要である。
...
 肝心なのは、再延期で景気が確実に上向くかどうかである。アベノミクスは、金融緩和と財政出動で景気を刺激している間に、生産性向上や成長市場創出などの構造改革を進め、持続的な成長につなげるのが基本である。

 この改革が不十分なため、いくら企業業績や雇用が改善しても先行きの展望が開けなかったのではないか。経済の実力を示す潜在成長率が0%台にとどまる現実をもっと厳しく受け止めるべきだ。

 その反省がなければ、増税再延期でさらに時間を稼いでも、景気への効果は長続きせず、同じ過ちを繰り返すことになろう。
...
 脱デフレのカギを握る個人消費の活性化には、着実な賃上げが欠かせない。産業界は一定の賃上げを実施してきたが、これをさらに加速させたい。政権は企業活力を引き出す規制緩和などで前向きな経営を後押しすべきである。

 消費を安定的に増やすには、高齢社会での暮らしへの不安を払拭するよう持続的な社会保障制度を構築する必要がある。
...
 長期金利は歴史的な低水準であり、当面、金利暴騰などは可能性が低い。ただ、国と地方の借金は1千兆円を超える。財政再建に後ろ向きな姿勢をみせれば財政への信任は保てまい。消費増税で国債発行を減らし、将来世代へのつけ回しを抑える。その重要性に変わりはない。

 食料品などへの税率を低く抑える軽減税率は増税と同時に実施するとしたのは当然だ。低所得者などの生活必需品への税負担を軽くする措置である。混乱なき導入へ準備に万全を期してほしい。


中日:「安倍政治」こそ争点だ 7月10日参院選へ2016年6月2日

 消費税率の引き上げ再延期にばかり気を取られてはいられない。七月十日の参院選。第三次安倍内閣にとって初の国政選挙は「安倍政治」こそ争点だ。
...
 逆進性が高い消費税の増税を見送ること自体は妥当ではある。
...
 しかし、結果として、経済成長を重視する首相の経済政策「アベノミクス」では、増税に耐え得る経済状況をつくり出すことはできなかった。格差を拡大し、個人消費を低迷させているからだ。
...
 衆院解散にまで踏み切った「再び延期しない」との約束を違(たが)えるのなら、アベノミクスの誤りを認めることが先決ではないのか。
...
 政権選択選挙とされる衆院選に対し、参院選は政権への中間評価を問う選挙と位置付けられる。

 七月の参院選は、一四年の衆院選を経て発足した第三次安倍内閣には補選を除けば初の国政選挙。失政と批判されるアベノミクスのみならず、他国同士の戦争に加わる集団的自衛権を行使するための安全保障関連法を成立させた強権的な政治手法など「安倍政治」全体の是非が問われるべきだ。

 加えて見過ごせないのは、七月の参院選が憲法改正に道を開くか否かの分水嶺(ぶんすいれい)となり得ることだ。
...
 「自民一強」を変え、安倍首相の下での憲法改正を阻むには、野党の結束が重要だ。政権側は「理念も政策もバラバラ」と批判するが、憲法違反と指摘される安保関連法の廃止や立憲主義の回復は、共闘の大義としては十分だろう。
...
 七月の参院選は、十八、十九歳の約二百四十万人が有権者に加わる初の国政選挙となる。
...棄権せず、投票所に足を運んでほしい。若者の声が反映されるようになれば、政治はきっと変わるはずだ。


日経:参院選でアベノミクスに国民の審判を2016/6/2付

...個人消費を腰折れさせないためだ、として消費増税の2年半先送りを表明した。その理由として日本経済は順調だが、世界経済に不安があることを強調した。民進、共産など野党は「アベノミクスの失敗が明白になった」と内閣総辞職を求めている。

 どちらの言い分に理があるのかを問う「アベノミクス選挙」である。参院選は政権選択選挙ではないが、有権者も今回の参院選は軽んじずに1票を投じたい。

 不安なのは野党も増税先送りを主張しており、違いがはっきりしないことだ。政治はいまだけをみればよいわけではない。財政再建の見通しはどう立てるのか。膨らむ社会保障費の財源をどう手当てするのか。長期的な展望をきちんと示せる政党を応援したい。
...
 今回の参院選から選挙権年齢が20歳から18歳に引き下げられる。若い有権者が加わるのに、目先にばかりとらわれた政策論争では恥ずかしい。日本の将来を見据えた骨太な論戦を望みたい。


毎日:増税再延期表明 未来への責任はどこへ

 いかにも強引な理屈だった。安倍晋三首相は記者会見し、来年4月に予定されていた消費増税を2年半先送りする方針を正式に表明した。
...聞けば聞くほどなぜ再延期なのか、疑問が募る釈明だった。
...現在はリーマン級の危機ではない。アベノミクスはうまくいっている。ただ、今後、新たな危機が発生するかもしれないため、念のため増税を再度、先送りするという乱暴な論理だ。
...確かに14年の税率8%への引き上げ後は消費が落ち込んだ。増税を再延期すれば、景気を一時的に下支えする効果はあるだろう。

 だが、増税が1年半延期されたにもかかわらず、景気は本格的に回復していない。増税の再延期で日本経済の足腰が強くなる保証もない。

 それどころか、社会保障の財源が失われてしまうことで、社会や経済の将来の不安は拡大してしまう。
...
 首相は増税を先送りしても介護や子育て支援は優先すると説明した。だが、景気に左右されやすい税収増などを財源にするというのでは、不確かだ。
...
 税と社会保障の一体改革は、少子高齢化で増大する社会保障費を、現在の世代が幅広く負担を分かち合う消費税でまかなう仕組みだ。借金を将来の世代につけ回ししないための枠組みを崩壊させてはならない。

 主要野党はそろって来春の増税実施に反対している。民進党は社会保障の施策で不足する財源に赤字国債を発行してあてるように主張しているが、新たな借金によらぬ財源を示す必要がある。

 参院選で問われるのは再延期の単なる是非ではなく、日本の未来を見据えた税や社会保障のあり方だ。与野党は責任あるビジョンを示して競い合うべきだろう。


読売:消費増税延期 アベノミクスをどう補強する2016年06月02日

 消費増税の2年半先送りを決断した以上、その間に、デフレ脱却と成長力強化を着実に実現しなければならない。
...
 アベノミクスは雇用改善などに効果を上げたが、消費のもたつきなどの課題も残る。脱デフレを確実に果たすため、消費増税の先送りはやむを得ない選択だ。
...
 肝心なのは、従来のアベノミクスに何が不足し、どう補強すべきなのか、十分点検することだ。

 企業利益の増加が賃上げで家計を潤し、消費を押し上げる。そんな「経済の好循環」の歯車が回らない。個人も企業も守りの姿勢で貯蓄を増やしているためだ。

 従来型の公共事業などで一時的にエンジンをふかすのではなく、民間の消費や投資を喚起する処方箋こそが求められる。
...
 日本の長期債務は、国内総生産(GDP)の2倍を超える、先進国で最悪の水準にある。
...
 消費税を財源に社会保障を支える「税と社会保障の一体改革」は堅持しなければならない。

 景気への影響を緩和しつつ消費税率を上げていくためにも、10%時の軽減税率導入が不可欠だ。その準備をしっかりと進めたい。


2016/06/03(金) 「消費税増税再延期についての社説」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバック 0コ-コメント 1コ

 記者会見前の社説編。

 個人的には「消費税の増税は景気が上がって、給料は毎年上がるものだと認識するまでもなくなってから」やらないと、上げても無駄だと思っているので、前回の「上がりそうだから8%にします」はふざけるなと思ってたし、案の定、上がりはしてるけど、最初の勢いからズルズルとしてて停滞気味にも思えるしで、
「また延期するのかよ!」
 という怒りよりも、

「この期に及んでまだ上げたいのかよ!」

 という感じになっています。軽減税率が云々というなら、10%に上げる代わりに全品目5%軽減すべきだと思っているので。

 まぁ、それはさておき。社説をどうぞ。

朝日:増税再延期 議論なき決定の異様さ2016年6月1日

 消費増税をどうするかは、将来世代を含む国民の暮らしを左右する重要テーマだ。政府与党内の事前の検討も、国会の議論もないまま、首相の一存で押し切っていいものではない。
...
 あまりにも強い首相の力と、その方針を議論なく追認するしかない与党の姿――。安倍政権のいびつな権力行使のあり方が象徴的に表れたと言える。
...
 だが本来なら、国会を延長して与野党で十分に議論すべき大問題である。論点は数多い。
...
 増税延期で社会保障や財政再建にどんな影響があり、どんな手立てを打つべきなのか。その財源はどう捻出するのか。
...
 民進党にも問いたい。...増税延期論の先鞭(せんべん)をつけたのは民進党だった。

 4年前、当時の野田民主党政権が主導して自民、公明両党と合意した「税と社会保障の一体改革」を思い起こすべきだ。

 消費税を引き上げて、膨らむ社会保障の財源に充てる。今を生きる世代に痛みはあっても、将来世代へのつけ回しは極力避ける。そんな一体改革の精神を忘れてはいないか。

 首相はきょう国会閉幕の記者会見で増税再延期について説明する。民進党の岡田代表もあわせ、参院選の論戦を通じて国民への十分な説明を求める。


産経:消費増税の再延期 首相は国民に説明つくせ22016.5.31

...国内景気は力強さを欠いている。このまま予定通りに増税すれば、デフレ脱却が危うくなる。そう判断したのであれば、ひとつの選択肢だ。

 ただ、その前提は、増税できる経済環境を作るという約束を果たせなかったことを首相が認め、その原因を明確に説明することだ。同時に、アベノミクスの足らざる部分を具体的にどう補強するかを示さねばならない。
...
 増税を見送れば、政府の財政再建目標や社会保障財源の確保などにも多くの課題が残る。確かな道筋を示さねばならない。
...政府は増税による税収増の一部を社会保障の充実策に充てるとしてきた。待機児童の解消なども含まれるが、どう代替財源を手当てするのか。

 首相は一昨年11月に増税延期を表明した際に「再び延期することはない」と明言した。再延期はその約束を違える重い政治責任を伴うことを忘れてはならない。

 個人消費や企業の設備投資に勢いがみられない中で、どう景気を再点火できるのか。政治や税制に対する信頼が損なわれないよう、十分に説明する責務がある。


日経:成長と財政再建の両立捨てるな 2016/6/1

...消費税は年金や医療、介護、子育てといった社会保障を支える貴重な安定財源だ。その引き上げを再び延期するのは極めて残念だ。

 現役世代や高齢者が薄く広く負担を分かち合うのが消費税である。見逃せないのは、増税の再延期で巨額の財政赤字を放置し、子や孫の世代にツケを回すことだ。
...当面、日本が財政破綻する確率が低いとしても、それが現実になった場合の日本経済や世界経済への影響は想像を超える。そのリスクが確実に高まったのではないか、と心配だ。
...
 首相は世界経済の危機回避を増税再延期の理由に挙げている。米国が再利上げを視野に入れ、中国経済の失速懸念が後退したいま、この説明には無理がある。
...
 増税は増税として実施しつつ、景気の落ち込みをカバーする別の手を打つこともできたはずだ。

 消費低迷の一因は、若年世代を中心にした将来不安とされる。また、安倍政権は社会保障の抜本的な効率化に手をつけていない。その結果、年金や医療の保険料負担が増え続け、可処分所得が伸び悩んでいる影響もある。
...
 日本経済の実力である潜在成長率はわずか0.2~0.3%程度とされる。問われるのは、増税延期で時間稼ぎをしている間に、潜在成長率を引き上げる構造改革を断行できるかどうかだ。
...
 政府・与党内では、消費増税の延期に加え、大型の補正予算案を編成し景気対策を講じるべきだとの声がある。いまはそんな政策対応が必要な経済状況ではない。

 カンフル剤で目先の成長率を押し上げても、効果はすぐにはげ落ちる。規制改革で日本経済の体質を抜本的に強化できないと、わずかなショックで頻繁にマイナス成長に陥る事態を繰り返すだけだ。
...
 人口が減り続けるなか、女性や高齢者、若者、外国人がもっと活躍できるような働き方改革を果断に実行すべきだ。

 大企業だけでなく中堅・中小企業の企業統治もさらに強化し、新陳代謝を進める。そんな改革は待ったなしだ。社会保障の抜本改革もこれ以上先送りできない。

 日本経済の最大の課題は、成長力強化と財政再建の両立だ。日本はその難題から今度こそ逃げてはいけない。


毎日:首相の増税再延期 税の議論をゆがめるな2016年5月31日

 税と社会保障の将来に大きな影響を与え、これまでの首相の発言ともつじつまが合わない判断だ。
...しかも、その根拠は著しく説得力を欠いている。

 第一の問題点は、海外の経済状況に再延期の責任を転嫁しようとしていることだ。
...
 第二の問題点は、増税再延期がもたらす社会保障への影響だ。
...
 財政再建への影響も懸念される。...
 消費税率を2段階で10%に引き上げる道筋は野田佳彦内閣時代の12年、自民、公明、民主による3党合意に基づく。選挙で逆風を呼びやすい増税問題を政争から分離することで、社会保障の安定財源を確保しようとする政治の知恵だった。...
 それが今、首相は再延期方針を固め、民主党を継承した民進党も来春の増税に反対している。合意の枠組みはもはや実質的に崩壊寸前と言っても過言ではあるまい。
...
 首相方針は与党内で十分な議論を経ないまま、いきなり示された。麻生太郎副総理兼財務相が首相の方針を聞いて難色を示し、再延期の場合は衆院を解散して民意を問うよう促したのも違和感の表れだろう。

 野党は強く反発している。4野党は、再延期は経済失政が原因として首相に退陣を求め、内閣不信任決議案の提出を検討するなど通常国会は最終盤で緊迫している。

 国民の生活に大きく影響する消費税に関する基本方針の転換だ。徹底的に議論を尽くすべきだ。


読売:消費増税延期へ 「脱デフレ」優先の説明尽くせ2016年05月31日

...重大な政策変更だ。消費増税延期の理由や、修正を迫られる財政健全化の道筋などを国民に丁寧に説明し、理解を得ることが欠かせない。
...
 景気の回復は足踏みを続けており、デフレ脱却は道半ばである。特に内需の柱の個人消費は、14年4月に実施した前回の消費増税で落ち込んだままだ。

 ここで増税を強行すれば、消費マインドがさらに冷え込む恐れがある。脱デフレによる日本経済再生を掲げる首相が、増税延期を政治決断したのは理解できる。

 気がかりなのは、首相が、世界経済の現状を08年のリーマン・ショック時の状況と比較して、増税先送りの必要性を論じていることだ。
...世界同時不況が心配されるような状況にあるとの見方は少ない。一時急落した原油価格は回復傾向にある。米国も、景気が上向いたとして、追加利上げのタイミングを計り始めている。
...
 リーマン・ショックを引き合いに出すことには違和感がある。
...
 アベノミクスを一層強化し、成長基盤を底上げしようとする政策の方向性は間違っていない。

 安倍政権が目指す「経済の好循環」の実現が遅れている状況や、世界経済の下振れが国内経済に与える影響などについて、率直に語ることが大切だ。
...
 10%への引き上げによる増収分で予定されていた社会保障の充実策の財源に、穴が開いてしまうという問題もある。
...
 これらの課題にどう対応するのか。具体策が求められる。

 増税時には、家計の痛税感を和らげるため、食品などへの軽減税率導入が不可欠だ。円滑な導入への準備は怠れない。
...
 民進、共産など野党4党は党首会談で、31日に内閣不信任決議案を提出することを決めた。安全保障法制の制定や「経済失政」を批判し、首相退陣を求めている。

 民進党も増税の2年先送りを主張している。与党は、淡々と不信任決議案を否決すればよい。


 毎度疑問でTwitterでもネタにするのですが。

「あなたは、あるメーカーの1,080円(本体1,000円)の物を毎日のように買っているとします。
 消費税が8%から10%に上がることになりました。さて、そのメーカーは、
 ・1,100円(本体1,000円)で売る。
 ・1,080円(本体982円)を維持して売る。
 どちらにすべきだと思いますか?」

 という質問を投げた時に、「1,100円」と答えられる人はどのくらいいるのかなぁ、と。それは多数派なのかなぁ、と。もし後者が多ければ、それは1.8%(18円程)のデフレ圧力になるんじゃないの?と。
 まぁ、そんなことを考えてる次第です。
 上の質問で言えば、新聞は消費税増税の際は新聞を軽減税率に含めてくれと言う程度には、1,080円で売らなきゃいけない(買ってくれなくなる)と思っているようなのですが。
 それこそ構造改革とやらで新聞安く売ってみりゃいいんじゃないですかね? SANKEI EXPRESSみたいなの。

 2016年3月31日をもって休刊になっちゃったけどねー。

2016/05/31(火) 「オバマ大統領の広島訪問についての社説・韓国編」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバック 0コ-コメント 0コ

 さて、次はどうも外交的敗北を喫したと思っているっぽい隣の国、韓国の新聞から。
 「日本とアメリカの外交成果だからこうなるでしょうよ」としか言えないのだけど、逆にそれが解っているから書くしかないみたいなそんな社説が並びました。朝鮮日報は社説では触れなかったので、中央と東亞とハンギョレから。

中央日報:惜しまれるオバマ大統領の広島訪問=韓国

71年前に米国が広島と長崎に投下した原爆で死亡した5人のうち1人が韓国人だった。...
米大統領として初めて広島を訪れたオバマ大統領は、平和記念公園にある原爆犠牲者慰霊碑に献花し、故人を追悼した。しかしそこからわずか150メートルの距離にある韓国人犠牲者慰霊碑には足を運ばなかった。現場の演説で...「数万人の韓国人」に言及しただけだ。「核兵器のない世界」を望むオバマ大統領の念願がより誠意を帯びるには、韓国人犠牲者慰霊碑に行って罪なく犠牲になった韓国人の霊を慰めるべきだった。
...依然として米国はロシアとともに世界で最も多くの核兵器を保有している。ノーベル賞が色あせるように、オバマ大統領は30年間になんと1兆ドルを投入して核兵器を現代化する作業に着手した。イランとは違い北朝鮮の核問題は悪化している。
...オバマ大統領は広島での演説で韓半島の非核化に言及さえしなかった。...米国の核兵器が韓国人に残した傷と韓半島の厳然たる現実に背を向けたまま日本との歴史的な和解に傍点を打ったオバマ大統領の広島訪問が、我々を残念な気持ちにさせた理由だ。


東亞日報:原爆慰霊碑を訪れた米大統領、北朝鮮の核を頭上に載せて暮らす韓国May. 28, 2016

米国のオバマ大統領が27日、米国の原爆投下から71年が経ち、米大統領として初めて広島平和公園を訪れた。...慰霊碑に献花した後、「原爆被害者をはじめ第2次世界大戦で犠牲になったすべての罪のない命」を追悼し、「核兵器のない世界」を呼びかけた。...
しかし、オバマ大統領は原爆慰霊碑から200メートル離れた韓国人原爆犠牲者慰霊塔には訪れず、韓国としては寂しさを感じざるを得ない。日米首脳が並んで慰霊碑に献花することで、日本の「戦争被害国イメージ」を拡大させ、「普通の国」として再出発しようとする安倍政権に免罪符を与えたも同然だ。韓国は、日本が過去の加害者から被害者に化ける状況に拍手することはできないということを米国は知らなければならない。
...
北朝鮮の核問題は、東アジアを越えて世界の安全を脅かす世界的な問題になった。G7首脳たちは、北朝鮮の挑発を強く糾弾する閉会宣言文を出した。...核のない世界を主張しながらも、いざ北朝鮮の核に対しては「戦略的忍耐」で一貫したオバマ大統領が、今回朴槿恵(パク・クンへ)大統領を招待して北朝鮮核への日米韓共同対応を強調しなかったことは残念だ。

今回のG7首脳会談で見るように、力の論理が生み出す国際情勢の流れから疎外されないよう外交力を育てる必要がある。韓国は、オバマ大統領の広島訪問に合わせて核兵器と戦争の残酷さを強調し、北朝鮮の核に対抗する国際社会の協力と連帯を呼びかける外交努力を傾けるべきだった。北朝鮮の核を頭上に載せて暮らす韓国の外交安保チームに外交安保の舵を操縦するロードマップが見えず、もどかしい。


ハンギョレ:方向を誤ったオバマ大統領の広島訪問 2016.05.28

 バラク・オバマ米大統領の27日の広島訪問は、その内容に問題がある。原子爆弾を使用した唯一の国の大統領が被爆地域を初めて訪問した真摯な思いは理解できるが、方向の設定を誤ったからだ。日本内外の平和勢力と日本の帝国主義による被害国の反発が大きくなる可能性が高い。

 まず、オバマ大統領は、原爆投下で罪なき民間人が多大な被害を受けたことについて、明確に謝罪していない。これは、自らが提唱した「核兵器のない世界」の構想とも矛盾する。特にオバマ大統領が広島平和公園内にある韓国人慰霊碑に足を運ばなかったのは言い訳の余地がない。...今回の訪問の主な目的が日米同盟の強化にあるということだ。安倍政府は就任後、歴史認識問題に対する責任を回避しており、今や平和憲法の廃棄を図っている。米国がこのような事実を無視し、同盟の強化を優先させると、アジア地域の平和と協力がさらに困難にならざるを得ない。安倍政権は早くも今回の訪問を「被害者日本」のイメージ作りに活用している。

 核兵器のない世界の構想には歴史的な正当性がある。しかし、...具体的な行動が伴わなければならない。米国が何よりも率先すべきなのは、北朝鮮の核問題を解決するための努力だ。米国など主要7カ国(G7)は同日、北朝鮮の核実験とミサイル発射を「最も強い表現で非難する」と発表したが、非核化を実質的に進展させる提案はなかった。

 核兵器の廃絶と歴史認識問題に対する日本の責任の糾明は、韓国の主要な外交・安保事案でもある。ところが、朴槿恵(パククネ)大統領は日本に行く代わりに、特別な懸案もないアフリカを歴訪している。米国と日本を批判することがかえって恥ずかくなる状況だ。

 日本とアメリカの事で韓国の要求が通ってない事に怒っており、ハタ目には日本に対して怒っているようでいて、実のところは韓国政府や大統領に「今まで何やってだんだよぉっ!」と怒ってる。そんな感じです。
 朝鮮日報はコラムで取り上げていたので、そちらも。

朝鮮日報:【萬物相】「被害国・日本」のイメージを強化したオバマ氏広島訪問

...1992年、広島と長崎に1カ月滞在し、被爆者たちの話を聞いた。...涙ながらにあの日のことを証言した。...被爆者たちは涙を流しながらも、米国を悪く言うことはなかった。被爆者が集まった場でその理由を尋ねると、...誰かが「日本が先に挑発したのだから、仕方がない」と口にした。「人類が二度とこうしたことを経験してはならないと思う」という声もあった。

 先週、広島の原爆ドームをバックにオバマ大統領が安倍晋三首相と握手した。...犠牲者の慰霊碑に花を捧げた。彼は「10万人以上の日本人、数千人の朝鮮半島出身者、十数人の米国人捕虜を含む死者を悼むために来た」と演説したが、そこから150メートルほど離れた朝鮮人の慰霊碑は訪れなかった。
...広島は国際平和都市に生まれ変わるという目標の下、欧米の知識人や芸術家、ジャーナリストを数多く招き、かつての惨状を見せた。...むごい有り様を見れば、胸が張り裂ける思いがするのは当然だ。だが、日本について原爆で被害を受けた最初の国というイメージが強くなればなるほど、第2次世界大戦の加害国という歴史はあいまいになる。
...未来に向かって進むためには、過去の出来事に絡んだ問題を解決せねばならない。だが、歴史が依然として国際政治的な現実となっている北東アジアでは別の問題だ。...日本は数十年かけてついに米国の大統領を広島に来させたが、私たちはその間、何をしていただろうか。

姜仁仙(カン・インソン)論説委員


 長々と書いてあるけど最後の「日本は数十年かけてついに米国の大統領を広島に来させたが、私たちはその間、何をしていただろうか。」が全てというか、無力感が漂ってるよなぁ。
 まぁ、仕方がない仕方がない。

2016/05/31(火) 「オバマ大統領の広島訪問についての社説・日本編」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバック 1コ-コメント 0コ

 ひどい言い方をすれば、アメリカの大統領の任期の最終盤になったので踏み込んだことが出来たのではないかなぁと思うのだ。それでも「知るか」で逃げ切ろうと思えば出来たことだし、それをしないで1時間割いて広島に行ったのだけども。
 とりあえず、後から振り返った時に日米関係を語る上で大きな一歩だったと言える出来事になったんじゃないかなぁとも思う。……まぁ、大統領変わってひっくり返すようなマネするってことがあるかも知れないけれど。日本も一回トラスト・ミーってやりかけたわけだし。

 日本とアメリカの「核兵器の問題」みたいなものは、二種類あるんだと思っていて、一つは「広島と長崎に落とした原爆の是非」で、もう一つは「今所有している核兵器の使用することの是非」と。
 アメリカではーというニュースが流れると大体前者の広島と長崎~に行ってしまってるんだけど、正直「アメリカがアメリカのために決めたアメリカのこと」なので、当地出身ではない日本人としては感想を述べる程度しかできないのだよね。
 なので日本としてはどっちかというと後者の今所有している分の話をしていて、「アレは洒落にならないんです。使っちゃダメです」と訴えてるのだけど。そのために見せるものが広島と長崎になるから、さもその時の是非を問うてるように見えてくると。
 そういう食い違いがあったのじゃないかと思う。そこを合わせる所から訴えていくってことが必要なのかも知れない。

 それはそれとして核兵器がすぐ無くなるかというとおそらくそうはならず、日本はアメリカの軍事力に頼った国防をしているので、必然的にアメリカの核の傘の恩恵にあずかってる形になってるから、じゃぁ、この先どうするのよってのはついて回るんだと思う。
 とはいえ、「だったらアメリカ追い出せばいいんですよぉ」などと端的にやると、もう一回アメリカとやりあう覚悟が必要だったりする。例えば、在日米軍全部追い出した後になって中国の軍事力が怖いーなんてなると、日本だけで軍備整えようなんて話になる。そしたら、むしろ米中が対日で組んだ……なんて事もありえたりする。パターンとかフラグとかそういうもので。
 最善の答えとかは解らないけど、日本としては日米同盟の枠の中でミサイル防衛にお金を突っ込むことになるのかも知れない。それで100%撃墜できるのかと言われると、100%絶対は難しいんだろうなぁとは思うのだけど。だけども。

 何はともあれ、社説をだーっと並べてみます。地方紙からは中日と、広島の中國新聞、あと沖縄の二紙。
 
朝日:米大統領の広島訪問 核なき世界への転換点に2016年5月28日(土)

 米国のオバマ大統領が広島を訪れた。太平洋戦争末期、米軍が広島と長崎に原爆を投下して今年で71年。現職大統領で初めて、被爆地に足跡を刻んだ。...核時代の歴史の一章として特筆されるだろう。
...
 世界には推定1万5千発超の核兵器があふれる。「核兵器のない世界」ははるかに遠い。
...
 これを一時の光明に終わらせてはならない。核なき世界に向けた時代の転換点にできるか。米国と日本の行動が問われる。
...
 広島滞在は1時間ほどだった。被爆者代表との会話も短時間だった。それでも、被爆地の願いはオバマ氏の胸に響いたと信じたい。この地球で核を再び使わせないために何をすべきか。改めて考えてほしい。

 核兵器の非人道性は世界のすべての人が直視すべきものだ。広島、長崎はその原点を確かめられる地である。とりわけ核を持つ国、核に頼る国の政治家たちにぜひ訪問してもらいたい。
...
 一方で、原爆を投下した責任に触れる表現は一切なかった。
...
 ただ、被爆者の間では「謝罪はせずとも、核兵器を使ったのは誤りだったと認めてほしい」との意見が多かった。オバマ氏がこの点に踏み込まなかったことには失望の声も上がった。
...真の和解は、相互の心情を理解し、歩み寄る努力の先にしかない。今回の広島訪問は、重い一歩ではあっても、まだスタートだととらえるべきだ。

 問われるのは日本も同じだ。

 アジアでは、原爆は日本の侵略に対する「当然の報い」と考える人が多い。オバマ氏の広島訪問にも「日本の加害責任を覆い隠すものだ」といった批判が韓国や中国で相次いだ。

 戦禍を被った国々と真摯(しんし)に向き合い、戦地での慰霊といった交流の努力を重ねる。日本がアジアの人々の心からの信頼を得るには、その道しかない。
...

 この7年間で、核廃絶への道は険しさを増している。
...
 核を持つ国々に共通するのは、核の威力に依存し、安全を保とうとする考え方だ。米国と、その「核の傘」の下にある日本もまた、そうである。
...
 だが、核保有国と同盟国が核依存から抜け出さない限り、核のない世界は近づかない。

 核兵器に頼らない安全保障体制をどうつくるか。日米両国で、核の役割を下げる協議を進めていくべきだ。核大国と被爆国が具体的な道筋を示せば、訴求力は計り知れない。

 そうした行動につなげてこそ、今回の広島訪問は、未来を切り開く大きな意義を持つ。


産経:オバマ氏広島訪問 核の惨禍防ぐ決意示した22016.5.28 05:03

...歴史的機会になったと受け止めたい。
...
 昭和天皇の終戦の詔書には「敵は新(あらた)に残虐なる爆弾を使用して頻(しきり)に無辜(むこ)を殺傷し」とあった。

 広島、長崎への原爆投下は非戦闘員を大量殺傷した残酷な無差別攻撃であり、決して許されるものではない。

 一方、米国では戦争終結を早め、日本本土上陸作戦による犠牲を防いだとの見方が強い。日米間では原爆投下への見解が今も食い違う。

 それでもオバマ氏は、国内に慎重論があった訪問を決断し、日本は受け入れた。...
 日米が応酬する歴史認識問題のワナに陥らなかったのは、安倍首相が語ったように、日米は「信頼と友情」で結ばれた同盟関係にあるからだ。

 「核兵器なき世界」の理想を追求する上でも、強固な日米同盟は欠かせない。

 日本の周囲を見渡せば、核戦力増強に余念がない中国は日本へ核ミサイルを発射できる態勢にある。...
 北朝鮮は核・弾道ミサイル開発を強行し、ロシアのプーチン大統領はクリミア併合の際、核兵器使用を準備していたと公言した。...
 核抑止を確保しつつ、核軍縮・不拡散に取り組む。困難な道であっても、オバマ氏の広島訪問を歩みを進める契機としたい。


中日:広島の願いを世界へ オバマ大統領訪問2016年5月28日

 原爆を投下した米国の大統領が被爆地を訪れたのは、歴史的な行動である。広島への思いを、直接語った。世界は核廃絶に進まなくてはならない。

 オバマ米大統領は広島の平和記念公園で演説した。...謝罪を意味する表現はなかったが、悲しみ、哀悼の気持ちが込められ、被爆者の心に届いたのではないか。
...
 オバマ氏の核政策は理想と現実の間で揺れる、複雑なものだ。自身も当初から、核兵器のない世界の実現は「自分の生きている間は難しい」と表明してきた。それでも、この日の訴えの意味は大きい。どんな政治的行動も人々の意識の改革、認識の深さから始まるからだ。
...
 オバマ政権は、イランの核開発を大きく制限する合意を達成した。核テロを防ぐための核安全保障サミット、計四回の開催を主導し、各国政府に核物質と関連施設の管理強化を呼びかけた。

 だが、軍縮では大きな成果は残せていない。オバマ政権で削減された核弾頭数は約七百発であり、冷戦終結後、二十六年間の歴代政権の中で最も少ない。ロシアと新戦略兵器削減条約(新START)を結んだものの、ウクライナ情勢などをめぐって対立し、交渉は足踏みしている。

 米国は巨額の予算を組んで核兵器近代化計画を策定し、目標を絞り込んで高い破壊力を持つ小型核の開発を進めている。核なき世界への道筋は多岐にわたり、対話がますます重要になろう。
...
 残念なことだが、現在は冷戦時代よりむしろ、核の危機が高まっているという悲観論が広がる。

 国際社会ではここ数年、「使用されたら、壊滅的な結果をもたらす」という核の非人道性を根拠にして、国際法である核兵器禁止条約をつくろうという動きが広がる。既に百を超える国々が条約制定に賛同している。
...
 核保有国はまず核実験や核物質生産を禁止するなど、段階的な軍縮が現実的だと主張し、双方の溝は深まるばかりだ。

 各国指導者、とりわけ核兵器を持つ国々の首脳には、ぜひ被爆地を訪問してほしい。核兵器の恐ろしさを伝える記録や証言を、直接見聞きすることから始めるべきではないか。ロシアや中国にも呼びかけたい。
...
 日本は唯一の被爆国である一方で、北朝鮮情勢など安全保障政策では米国の「核の傘」に依存している。

 だが、オバマ氏が広島を訪ねた後も、日本の政策に変化がないようだと、被爆国としての訴えも次第に色あせる。広島訪問は日本を後押ししている。抑止力より核の脅威、非人道性の議論に重点を移すべきではないか。

 政府は同盟国である米国に対し、ロシアとの交渉進展など、一層の軍縮を促す必要がある。国連など国際会議では、核廃絶を主張する国々と積極的に提携していきたい。

 各国の市民、指導層の意識改革を促すのは、日本が率先して取り組むべき使命である。


日経:日米和解をアジア安定に生かそう2016/5/28付

 日本に原爆が落とされてから70年以上の歳月が流れた。この長さに比べれば、時間的にはほんの一瞬のできごとだった。しかし、日米にとってはもちろん、世界にとっても極めて大きな意義をもつ訪問である。
...
 米国内の世論に配慮し、オバマ氏は原爆投下への謝罪は避けた。それでも、この訪問には2つの歴史的な意味がある。

 ひとつは、かつて敵国として戦った負の歴史を乗り越え、日米が和解をさらに深める足がかりになることだ。
...
 日本にはなお、被爆の後遺症やトラウマに苦しむ人たちがいる。一方、米国内ではいまだに「原爆投下によって戦争を早く終わらせることができ、多くの人命を救った」という肯定論がある。

 大統領による1回の訪問でこれらの溝が埋まり、被爆者が苦しみから解放されるわけではない。それでも、日米に刺さったままになっていたトゲがまたひとつ、抜けたとはいえるだろう。
...
 沖縄の米軍は、日本やアジアの安全を保つうえで欠くことのできない役割を果たしている。だからこそ、日米両政府は米兵や米軍関係者の犯罪をなくすとともに、地元の基地負担を減らす努力を急がなければならない。
...
 大戦で正面からぶつかった日米が和解を進め友情をさらに深められるなら、同じことは日本とアジア諸国にもできるはずだ。オバマ氏の広島訪問は、そんなメッセージも放っている。

 日中、日韓はいまだに歴史問題で対立し、ぎくしゃくした関係から抜け出せないでいる。過去を克服し、未来志向の関係を築くきっかけにしたい。

...もうひとつの意味は、オバマ氏が09年に唱えた「核兵器なき世界」の目標に、世界の注目があらためて集まる契機になることだ。

 残念ながら世界はいま、理想とは逆の方向に進んでいる。北朝鮮は制裁を受けても核武装をあきらめようとしない。中国も核軍拡を進めている。米ロの対立から、両大国による核軍縮交渉も足踏みしたままだ。
...
 日本は唯一の被爆国として核廃絶を訴える一方で、米国の核戦力によって守られているという矛盾した顔をもつ。核保有国に囲まれた現状では、ただちに米国の「核の傘」をなくすことはできないにせよ、核軍縮の流れを主導する責任が日本にはある。

 米大統領選では、日米同盟の現状に疑問を投げかけ、日韓の核武装を認めることすらも示唆するトランプ氏が、共和党候補の座を固めた。孤立主義の誘惑に負けず、ともに世界に関与していく。日米はこの決意を新たにしたい。


毎日:米大統領広島訪問 核なき世界へ再出発を2016年5月28日

 「憎いとか謝れとかじゃないんです。愛する人を原爆で失い、自分は生き延びた。申し訳ない。私は何をすればいいのか。あの恐ろしい出来事を繰り返さないこと、核兵器をなくすことだ。だから見ててね。そう思って生きてきた。恨みなんかない。死んだ人への使命感だけですよ」

 広島市の被爆者、小倉桂子さんは78歳の高齢ながら、年間1500人の外国人に英語で被爆体験を語る。被爆者の意見はさまざまだが、謝罪を求める声が強いとはいえない。

 被爆者の思いを米政府は長年、読み違えていなかったか。謝罪要求を過剰なまでに恐れ、被爆地に近づかなかったのではないか。...
 そんな双方の「行き違い」は、もう終わりにしたい。
...
 米国内では反対・慎重論もあったが、さまざまな障害を乗り越えて広島に来たオバマ大統領の決断を評価したい。...被爆者との対話にもっと時間を割き、声明では具体的な提案も欲しかったが、70年余に及ぶ日米のわだかまりは解消の方向へ向かいそうだ。この日を「核兵器のない世界」への新たな出発点と考えたい。
...
 原爆投下に関する「神話」、米国の苦しい説明は、もう終わりにした方がいい。オバマ大統領が「核なき世界」構想を説き、「核兵器を使った唯一の国として米国は行動する道義的責任がある」と語った時点で「神話」は大きく揺れた。オバマ氏の広島訪問で「神話」を越えた新しい地平が開かれたと考えたい。
...
 だが、「核なき世界」は遠い。米露関係は悪化したままで、中国が核軍縮に動く気配もない。核拡散防止条約(NPT)に加わらないインド、パキスタンの核軍拡も不気味だ。

 イランの核開発問題は決着を見たとはいえ、核兵器保有が確実なイスラエルとの衝突が懸念される。何より北朝鮮が核弾頭の小型化などを進め、...
 しかもオバマ政権は向こう30年で1兆ドルの巨費を投じて核兵器の近代化を進めるとされる。中露が対抗して軍拡競争に発展する可能性も無視できまい。...オバマ氏の任期はあと8カ月。大統領は残された時間を生かし「核なき世界」への足掛かりになる具体的なレガシー(政治的功績)を残してほしい。

 唯一の被爆国・日本の真価も問われよう。日韓の核武装を認めるトランプ氏(共和党)が次期大統領になれば、「核なき世界」構想は白紙に戻るかもしれない。「オバマ後」は日本が「核なき世界」への運動を主導する覚悟を持つべきである。 ...
 オバマ大統領の広島訪問を機に考えたい。私たちは核兵器による自滅をどう防げばいいか。必要なのは「人類」としての視点、学ぶべきは被爆者の「使命感」である。


読売:オバマ氏広島に 「核なき世界」追求する再起点2016年05月28日

...「核兵器のない世界」という崇高な理想に向けて、現実的な歩みを着実に進める。そのための重要な再起点としたい。
...
 唯一の原爆使用国と被爆国の両首脳が並んで平和を誓った意義は大きい。現職米大統領の歴史的な被爆地訪問を評価したい。
...
 オバマ氏は、「米国のような核保有国は、恐怖の論理から抜け出し、核兵器のない世界を追求する勇気を持たなくてはならない」と強調した。
...
 安倍首相は、「世界中のどこであろうとも、このような悲惨な経験を決して繰り返させてはならない」と同調した。

 多くの被爆者は、惨禍を二度と繰り返さないとの思いが全世界に共有されることを切実に願っている。...
 オバマ氏には、広島で体験し、感じたことを、国際社会に向けて発信し続けてもらいたい。
...
 日本側は今回、謝罪を求めなかったが、原爆投下という非人道的行為を容認したわけではない。

 米国では...「戦争終結を早め、米兵の犠牲者を減らした」とし...た一方的な論理に対する支持は徐々に減少し、若年層を中心に、原爆投下を疑問視する考え方が拡大している。この世論の変化をさらに後押しする努力が欠かせない。

 核保有国による核軍縮交渉は近年、足踏みしている。

 世界の核兵器計1万5000発超の9割を保有する米露両国は...ロシアのクリミア併合などを巡る根深い米露対立が影を落とす。

 中国は核戦力を増強し、核実験を4回強行した北朝鮮も「核保有国」を自称する。核拡散の脅威はテロ組織にも広がりつつある。

 米国の「核の傘」は、日本など同盟国の抑止力として有効に機能している。核兵器の備蓄や使用をいきなり禁止するのは、各国の安全保障を無視する議論だ。

 安保環境に配慮しつつ、核軍縮を段階的に進めることが現実的なアプローチである。

 まず米露が関係を改善し、中国を交渉に巻き込むことが肝要だ。日本は、被爆国として、核保有国と非保有国の対立を緩和する橋渡し役を粘り強く務めたい。
...
 日米同盟は、東西冷戦中も冷戦終焉しゅうえん後も、アジアの平和と繁栄に貢献する「国際公共財」と認知されてきた。今後も、韓国や豪州と連携し、政治、経済両面で主導的な役割を果たすことが重要だ。
...
 米軍の安定した駐留には周辺住民の理解が欠かせない。日米両国は、実効性ある米軍の犯罪防止策に取り組まねばなるまい。普天間飛行場の移設など米軍基地の整理縮小や、日米地位協定の運用改善を確実に進めることも大切だ。


中國:オバマ大統領と広島 核兵器廃絶の出発点に2016/5/28

 ついに、この日が訪れた。原爆を落とした米国の現職大統領が被爆地広島に立った。平和記念公園に滞在したのは1時間足らずとはいえ、私たちにとってそれ自体が大きな意味を持つ。...
 原爆慰霊碑前で世界に向けて発信した17分にわたる所感も端々にヒロシマとナガサキの経験を自分なりにかみ砕き、受け止めた努力の跡がうかがえる。...原爆の惨禍に繰り返し言及した。事前の予想通りに「謝罪」の言葉はなかったものの、一般的な戦争犠牲者とははっきり区別して「原爆死没者を追悼するために来た」とも口にした。さらにいえば朝鮮半島出身者や米国人の犠牲にも触れた配慮も注目に値しよう。...
 今回の所感は一字一句が世界中に報じられたはずだ。核保有国の首脳が被爆地を踏むことの影響力が想像以上に大きいことが確認できたのではないか。
 とはいえ、もどかしい思いも抱かざるを得ない。所感全体が核兵器というより、戦争そのものを見つめたものだからだ。
...被爆地が望んでいた核兵器廃絶という肝心の部分が薄らいだ感は否めない。...2009年のプラハ演説から一歩でも前に踏み込む廃絶への道筋も聞けずじまいだった。...これでは迫力に欠けたと言わざるを得ない。プラハで注目された核兵器廃絶に対する「道義的責任」という文言も今回は影を潜めてしまった。
 「核兵器なき世界」を唱えながら、オバマ政権が老朽化した核兵器を更新する計画を持つなど、矛盾する行動を続けている。...
 しかし、私たちは前向きに受け止めたい。所感の締めくくりの言葉が印象的だった。「広島と長崎は、核戦争の夜明けとしてではなく、道義的な目覚めの始まりとして知られるだろう」と。そうした未来を世界全体で選び取ろうという核超大国の首脳の決意とすれば評価できる。
 その思いは「サプライズ」となったオバマ氏の手土産にも表れていよう。原爆資料館に立ち寄ったのはわずか10分だったのは残念だが、手製の折り鶴を用意していた。...謝罪はないとしても被爆者に対する誠実さの表れとして受け止めたい。
...
 大切なのはこれからである。...「今日はあくまでスタートだ」と安倍晋三首相に述べたという。ならば今回は触れなかった核軍縮促進の具体的な道筋をはっきり示し、次の大統領につないでもらいたい。
 それは、ひとりオバマ氏の責務ではあるまい。むしろ世界の多数派である、私たち一人一人の「道義的責任」こそが問われている。今後もより一層、世界の首脳や国会議員たちに広島や長崎への来訪を呼び掛けていきたい。


沖縄:[オバマ氏広島訪問]核抑止論からの転換を2016年5月28日

 オバマ米大統領が27日夕、広島を訪れた。人類史上初めて原爆を投下した国の現職大統領が被爆地の土を踏んだ意義は大きい。 ...
 オバマ氏は、被爆の悲惨な実態を伝える原爆資料館を訪れた。資料館で凄惨(せいさん)な原爆の実相を感じることができたのならば、プラハ演説の「核なき世界」の理念に、魂が吹き込まれたに違いない。

 オバマ氏は原爆投下の謝罪をしなかった。米国内に「原爆正当化論」が根強く残るからだ。日米の両方をにらんだぎりぎりの行動である。
...
 所感で「核なき世界」を表明したが、道筋を明らかにすることはできていない。核政策に関しては希望と現実の乖(かい)離(り)が激しく、核保有国は核軍縮に消極的である。
...しかし、プラハ演説でノーベル平和賞を受賞した大統領として、最後まであきらめることなく具体的なアプローチを示すよう努力を尽くしてほしい。

 核保有国の元首であるオバマ大統領の広島訪問をきっかけに、核保有国のトップの広島訪問を呼び掛けたい。 ...
 だが、翻って、日本は唯一の被爆国としての責務を果たしているだろうか。

 米国の「核の傘」から離脱せず、核抑止力を肯定するような外交政策をとるなど矛盾している。

 「核と人類は共存できない」ことを国際社会の先頭に立って訴えることこそが日本の存在意義である。


琉球:オバマ氏広島訪問 核廃絶へ率先して行動を2016年5月28日

 現役の米大統領として、初めて広島を訪れたオバマ氏は...核兵器のない世界へあらためて決意を示した。
 被爆者らを前にした所感で謝罪はなかったが、原爆投下は「人類の道義的な目覚めとすべきだ」と位置付け、71年前の悲劇を教訓とする考えも強調した。
 オバマ氏は、言葉通りに残り約8カ月の任期で核兵器廃絶へ向けてさらなる道筋をつけてもらいたい。それが世界で唯一、核兵器を使用した国家の指導者としての責任だ。米国が行動を起こし、全ての核保有国に廃絶を呼び掛け、オバマ氏が「核なき世界」の実現へ向け主導的役割を果たすべきだ。...米国は非保有国が主導する「核兵器禁止条約」を支持しない方針を表明している。まず米国は非保有国の意見に耳を傾け、条約の実現可能性を真剣に検討すべきではないか。...
 世界の半数近い核弾頭を保有する米国が、真剣に取り組むことこそが核廃絶への近道だ。今こそ率先して行動すべき時である。...
 歴史的な米大統領の広島訪問を儀式に終わらせてはならない。次世代へ、さらには遠い未来の人類へ「核なき世界」をもたらすための新たな一歩と位置付けたい。


2015/09/18(金) 安保法案が参院特別委員会をなんか通ったので社説
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 0コ

 久しぶりに立ち位置が明確に分かれるテーマが来て、社説見比べが地味に趣味な私としてはとても楽しいものであります。

 正直な感想を言えば、与党や政府の法案もかなりグレーなトコを突いた、政権が変わった時に危なっかしい気がする感じのものだったんですが。実際、違憲かどうか最高裁に投げて「違憲です」って言われたら「ですよねー」って言っちゃいそうなんですが。
 反対派や反対する野党があんまりにも「戦争だー戦争だー」言うから「そうじゃねぇ」って言うだけで延々と時間が過ぎてったという感じでもあります。こうなると説明どころでもない。説明不足と言われても「そりゃ、そーなるだろ」って感じで、正直うんざりした。

 サイレント魔女リティもといサイレントマジョリティもそうだったのか、政権支持率はじわじわ落ちたりしたものの、政党支持率は与党はそこまで激減するでもなく、野党は増えるということもなく、むしろ減ってたりして。野党の態度ってのが相当「アホらしい」と感じられたんじゃないかなぁ、と勝手に思っています。

 「安倍晋三は戦争したがりさんである」と信じて疑ってないところから物事を考えるので、「ぼくのかんがえたどくさいしゃ」に勝手にされて「ぼくのかんがえたどくさいしゃがおこすせんそう」を勝手にやることにされて、批判されてたようにも見え。
 それで反対派が支持増えるんかいな、と思えば、やっぱり増えませんでしたね。という話かもしんない。


 まぁ、結局のところ。
 今回のこの法案ってPKOに関しては今までやってたことの追認にしか思えないんだよね。それを国連以外の枠でやることも増えてきたから、もうちょっとだけ広げましょう。っていうね。
 今までそれで戦争に近づいてたんなら、そりゃ近づくんだろうけど。そうでもないと思ってれば、今、杞憂してる程には近づかないと思うんだよね。……もっとも、今の自民党が政権でいる限りは、だけど。

 なにはともあれ。
 社説をざざっと流してみましょう。SEALDsにもちょっと触れてる社もあったし、どう捉えているかが見えて面白いですよ。多分。

朝日:安保法案、採決強行―日本の安全に資するのか

...
 この法案は、憲法9条の縛りを解き、地球規模での自衛隊の海外派遣と対米支援を可能にするものだ。

 成立すれば、9条のもと、海外の紛争から一定の距離をとってきた戦後日本の歩みは大きく変質する。
...
 政権が強調するように、新たな法制で日本は本当により安全になるのか。そこに深刻な疑問がある。

 確認したいのは、安全保障政策は抑止力だけでは成り立たない、ということである。

 軍事的に一定の備えは必要だが、同時に、地域の緊張をやわらげる努力が欠かせない。
...
 中国の軍拡や海洋進出にどう向き合うかは日本の大きな課題だ。だがそれは、抑止偏重の法案だけで対応できる問題ではない。仮に南シナ海での警戒・監視に自衛隊を派遣したとしても、問題は解決しない。

 これからの日中関係を考えるカギは「共生」であるべきだ。日中は経済はもとより、環境、エネルギー問題など、あらゆる分野で重要な隣国同士だ。

 必要なのは協力の好循環である。対立の悪循環に陥ることはお互いの利益にならない。
...
 日米同盟を考えるうえでも、法案の問題は大きい。

 戦後の日本政府は、米国の数々の戦争に対して、真っ向から批判したことはない。
...
 米国が大義なき戦争に踏み込んだ場合、自衛隊の海外活動の縛りを解く日本が一線を画していけるか。これまで以上に難しい判断と主体性が問われる。
...
 海外で一人も殺さず、殺されないできた自衛隊が、殺し殺される可能性が現実味を帯びる。

 それなのに、自衛官が人を殺した時に対応する法制に不備がある。拘束された時に捕虜として遇される資格もない。そんな状態で自衛隊を海外の紛争地に送り出してはならない。
...世界各地で携わる日本のNGO(非政府組織)には、自衛隊の軍事面での活動が拡大すれば、日本の平和イメージが一変し、NGOの活動が危険になるとの声がある。
...
 法案によって、かえって日本の貢献の手足が縛られるとすれば、政権が掲げる「積極的平和主義」とは何なのか。
...
 安全保障政策の面からも、この法案には危うさがある。広範な「違憲」との指摘に耳を貸さず、合意形成の努力も欠いたまま、成立させてはならない。


産経:安保関連法案 採決こそ議会制の根幹だ2

...
 採決にあたり、民主党議員らは国会の一部を占拠し、鴻池祥肇特別委員長の移動を封じようとするなど、物理的妨害を重ねた。

 他の反対勢力ともども「民意に反した強行採決は許されない」などと批判しているが、まったく的外れだ。審議を経た法案を採決するのは立法府として当然だ。
...
 とくに問題なのは、審議の終盤から、民主党などが国会周辺で法案に反対するデモ隊と連動するように、同様のスローガンを叫び続けていたことである。

 学生グループ「SEALDs(シールズ)」の行動を称賛し、「採決は民主主義に反する」といった主張にまで同調している。

 国民には当然ながらデモをする権利がある。だが、一部のデモ隊が国民の声を代表しているかのように、民主党が位置付けているのは大きな誤りだ。
...政府の説明が的確さを欠いてきた面はある。

 だが、自らの安保政策を確立しないまま「違憲法案」などと決めつけてきた。深みのある論戦を展開できなかった大きな要因は民主党にある。...
 参院での関連法案の審議は100時間を上回った。衆院の116時間を加え、戦後の安全保障分野の法案審議としては最長だ。

 採決では、国会の事前承認について政府と同意した日本を元気にする会、次世代の党など野党3党も賛成した。与党単独採決にはあたらない。現実の脅威を踏まえて行うべき安保政策の論議に、もっぱら抵抗の姿勢を見せる目的のパフォーマンスは不要だ。


日経:参議院は何のために存在しているのか

...
 特別委員会の開会をめぐり野党議員が通路をふさぎ、法案採決では与野党議員が入り乱れて激しくもみあう混乱ぶりは、言論の府にはやはり似つかわしくない光景と言わざるをえない。

 野党は参院本会議で閣僚の問責決議案などを連発し、衆院にも内閣不信任決議案を提出、さらには長時間の討論で採決阻止をめざそうとしている。...こうした議事妨害は一概に否定できないとしても決して議会政治の王道ではない。

 言論には言論で、正々堂々と向き合うのが基本のはずだ。...
 第二院である参院には衆院とは別の役割が期待されているはずだ。それは「良識の府」や「再考の府」といった言葉であらわされている。

 第一院である衆院の行きすぎをチェックし、足らない点を補う「反省の院」だ。採決阻止から議事妨害まで衆院と似たようなことをやっていては参院の存在意義は薄れてしまう。
...作家・山本有三が書いた、無所属の議員で組織した会派「緑風会」の結成趣意書の一節に次のようなくだりがある。

 「参議院は、衆議院と一緒になって政争をこととするようであっては、第二院としての存在価値はなくなると思う」

 いま一度しっかりかみしめていい言葉だ。


毎日:安保転換を問う 参院委採決強行

...
 衆参両院で200時間を超す審議を経ても、政府は法案の合憲性や「なぜ必要か」について納得できる説明ができなかった。...
 今回の法整備のそもそもの誤りは、中国の台頭など安全保障環境の変化に対応した冷静な議論もないまま、集団的自衛権の行使容認という結論を押し付け、実現しようとした安倍内閣の姿勢にある。

 議会制民主主義の下では、国民の代表である国会議員の手に立法機能が確かに委ねられている。だが、それはあくまで熟議を重ね、合意形成の努力が尽くされるのが大前提だ。
...
 国会での議論を通じ、主要な野党と修正協議で接点を探る選択肢も与党にはあったはずだ。安保関連法案は11本もの法案をたばねたものだ。国連平和維持活動(PKO)に関する部分などは切り離すべきだった。

 そもそも、首相は国民と正面から向き合い、理解を得ようとする発想に乏しかったのではないか。
...あるべき安全保障の姿が現行憲法の枠を超えると仮に判断したのであれば、主権者である国民の投票による憲法改正というゴールを追求すべきだった。

 法整備に対し、学界、法曹界、地方議会に加え、幅広い世代を巻き込んだ広範な反対運動が起きている。...学生団体「SEALDs(シールズ)」の奥田愛基(あき)さんが特別委の中央公聴会で「現在の状況を作ったのは与党のみなさんだ」と指摘したのは的外れではない。

 民主党など大半の野党は採決に強く反発している。論戦を通じ、野党が法案の中身や政権の姿勢の追及に一定の役割を果たしたのは事実だ。

 ただ、採決を阻止できなかった原因は議員の数不足だけではない。民主党は集団的自衛権の行使について結局、対案を示さなかった。...
 だが、合意をないがしろにした政治は、国民を分断してしまう。政権の目的を優先させ、国民の理解を二の次にするような手法は政治への信頼を根底から損なう。

 国のありかたに関わる法律をこれほど乱暴な手続きで作っていいのか。成立に改めて強く反対する。


読売:安保法案可決 民主の抵抗戦術は度が過ぎる

...与党は18日までに、法案を参院本会議で可決、成立させる方針である。

 これに対し、野党側は、中谷防衛相の問責決議案などを参院に提出した。衆院への内閣不信任決議案の提出も含め、法案成立に抵抗し続ける構えだ。

 看過できないのは、民主党が主導して、国会内で連日、度を越した審議妨害・引き延ばし戦術を展開していることである。

 委員会室前の通路で、多数の女性議員らを「盾」にして、委員長や委員の入室を邪魔する。委員長らの体を激しく押さえつけたり、マイクを奪ったりする。

 どんな理由を挙げても、こうした物理的な抵抗や暴力的な行為を正当化することは許されまい。
...
 民主党議員らの言動は、国会外のデモとも連動し、法案成立をあらゆる手段で阻止する姿勢をアピールするための政治的パフォーマンスだと言うほかない。...
 特別委の採決では、与党に加え、元気、次世代、改革の野党3党も賛成した。この意義は大きい。
...
 中東での機雷掃海など、日本攻撃が差し迫っていない存立危機事態時の防衛出動は、例外なく国会の事前承認を求める。重要影響事態でも、国民の生死に関わる場合を除き、事前承認を求める。これらが5党の合意の柱である。

 3党は、法案修正を求めたが、付帯決議や閣議決定で合意を担保することで歩み寄った。与党も、より緊急な事例を除き、3党の主張する事前承認を受け入れた。

 双方が協議を重ね、現実的な妥協を図ったことは評価できる。安全保障に関わる法案は、より多くの政党の賛成で成立させることが望ましい。成立した法律の安定的な運用を可能にするからだ。


中日:憲法を再び国民の手に 「違憲」安保法制

 政府が憲法解釈を勝手に変えてしまえば、国民が憲法によって権力を律する「立憲主義」は根底から覆る。憲法を再び国民の手に取り戻さねばならない。

 安全保障法制をめぐる安倍政権の強硬姿勢は最後まで変わらなかった。国会周辺や全国各地で響きわたる「九条壊すな」の叫びに、耳を貸さなかったようだ。

 他国同士の戦争に参戦する「集団的自衛権の行使」を法的に可能にするのが安倍政権が進める安保法制の柱である。多くの憲法学者らがどんなに「憲法違反」と指摘しても、安倍内閣と与党側は「合憲」と強弁し続ける傲慢(ごうまん)さだ。
...
 集団的自衛権を行使しなければ国民の生命や財産、暮らしが守れないというのなら、その賛否は別にして、衆参両院でそれぞれ三分の二以上の賛成を得て改憲を発議し、国民投票に付すのが憲法に定められた手続きだ。

 その労を惜しみ、憲法そのものではなく、閣議決定による解釈変更で、それまで「できない」と言い続けていたことを一転、「できる」ようにするのは、やはり「禁じ手」だ。憲法軽視がすぎる。

 首相は、徴兵制は憲法が禁じる苦役に当たるとして否定したが、一内閣の判断で憲法解釈の変更が可能なら、導入を全否定できないのではないか。現行憲法が保障する表現の自由や法の下の平等ですら、制限をもくろむ政権が出てこないとも限らない。

 政権が、本来の立法趣旨を逸脱して憲法の解釈を自由に変えることができるのなら、憲法は主権者たる国民の手を離れて、政権の意のままに操られてしまう。
...
 国会周辺をはじめ全国各地で行われている安保関連法案反対のデモは収束するどころか、審議が進むにつれて規模が膨らんだ。

 憲法破壊に対する国民の切実な危機感に、首相をはじめ自民、公明両党議員はあまりにも鈍感ではないのか。

 憲法はもちろん、国民のものである。特に、膨大な犠牲を経て手にした戦争放棄の九条や国民の権利を定めた諸規定は、いかなる政権も侵すことは許されない。
...
 憲法を再び国民の手に取り戻すまで、「言わねばならないこと」を言い続ける責任を自らに課したい。それは私たちの新聞にとって「権利の行使」ではなく「義務の履行」だからである。



2015/08/16(日) 2015年8月15日前後70年安倍晋三談話の受けての社説
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 0コ

 安倍晋三談話については、謝罪をメインに据えた村山談話やそれを踏襲した小泉談話と違って、反省と今後の話をメインに据えて、未来指向というものをドンと芯に据えた談話になったなぁと思います。
 それが良いとか悪いとかは各々の判断に任せますが、各紙の社説は怒るものあり、感動するものあり、危機感を覚えるものあり……と、そんな感じでした。ノーカットでどうぞ。

朝日:戦後70年の安倍談話―何のために出したのか

 いったい何のための、誰のための談話なのか。

 安倍首相の談話は、戦後70年の歴史総括として、極めて不十分な内容だった。

 侵略や植民地支配。反省とおわび。安倍談話には確かに、国際的にも注目されたいくつかのキーワードは盛り込まれた。

 しかし、日本が侵略し、植民地支配をしたという主語はぼかされた。反省やおわびは歴代内閣が表明したとして間接的に触れられた。

 この談話は出す必要がなかった。いや、出すべきではなかった。改めて強くそう思う。

■「村山」以前に後退

 談話全体を通じて感じられるのは、自らや支持者の歴史観と、事実の重みとの折り合いに苦心した妥協の産物であるということだ。

 日本政府の歴史認識として定着してきた戦後50年の村山談話の最大の特徴は、かつての日本の行為を侵略だと認め、その反省とアジアの諸国民へのおわびを、率直に語ったことだ。

 一方、安倍談話で侵略に言及したのは次のくだりだ。

 「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」

 それ自体、もちろん間違いではない。しかし、首相自身が引き継ぐという村山談話の内容から明らかに後退している。

 日本の大陸への侵略については、首相の私的懇談会も報告書に明記していた。侵略とは言わなくても「侵略的事実を否定できない」などと認めてきた村山談話以前の自民党首相の表現からも後退している。

 おわびについても同様だ。

 首相は「私たちの子や孫に、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」と述べた。

 確かに、国民の中にはいつまでわび続ければよいのかという感情がある。他方、中国や韓国が謝罪を求め続けることにもわけがある。

 政府として反省や謝罪を示しても、閣僚らがそれを疑わせる発言を繰り返す。靖国神社に首相らが参拝する。信頼を損ねる原因を日本から作ってきた。

■目を疑う迷走ぶり

 謝罪を続けたくないなら、国際社会から偏った歴史認識をもっていると疑われている安倍氏がここで潔く謝罪し、国民とアジア諸国民との間に横たわる負の連鎖を断ち切る――。こんな決断はできなかったのか。

 それにしても、談話発表に至る過程で見せつけられたのは、目を疑うような政権の二転三転ぶりだった。

 安倍氏は首相に再登板した直後から「21世紀にふさわしい未来志向の談話を発表したい」と表明。村山談話の歴史認識を塗り替える狙いを示唆してきた。

 そんな首相の姿勢に中国や韓国だけでなく、米国も懸念を深め、首相はいったんは閣議決定せずに個人的談話の色彩を強めることに傾く。

 それでは公式な政府見解にならないと反発した首相側近や、公明党からも異論が出て、再び閣議決定する方針に。節目の談話の扱いに全くふさわしくない悲惨な迷走ぶりである。

 この間、国内のみならず欧米の学者も過ちの「偏見なき清算」を呼びかけた。世論調査でも過半数が「侵略」などを盛り込むべきだとの民意を示した。

 そもそも閣議決定をしようがしまいが、首相の談話が「個人的な談話」で済むはずがない。日本国民の総意を踏まえた歴史認識だと国際社会で受け取られることは避けられない。

 それを私物化しようとした迷走の果てに、侵略の責任も、おわびの意思もあいまいな談話を出す体たらくである。

■政治の本末転倒

 国会での数の力を背景に強引に押し通そうとしても、多くの国民と国際社会が共有している当たり前の歴史認識を覆す無理が通るはずがない。

 首相は未来志向を強調してきたが、現在と未来をより良く生きるためには過去のけじめは欠かせない。その意味で、解決が迫られているのに、いまだ残された問題はまだまだある。

 最たるものは靖国神社と戦没者追悼の問題である。安倍首相が13年末以来参拝していないため外交的な摩擦は落ち着いているが、首相が再び参拝すれば、たちまち再燃する。それなのに、この問題に何らかの解決策を見いだそうという政治の動きは極めて乏しい。

 慰安婦問題は解決に向けた政治的合意が得られず、国交がない北朝鮮による拉致問題も進展しない。ロシアとの北方領土問題も暗礁に乗り上げている。

 出す必要のない談話に労力を費やしたあげく、戦争の惨禍を体験した日本国民や近隣諸国民が高齢化するなかで解決が急がれる問題は足踏みが続く。

 いったい何のための、誰のための政治なのか。本末転倒も極まれりである。

 その責めは、首相自身が負わねばならない。





産経:戦後70年談話 世界貢献こそ日本の道だ 謝罪外交の連鎖を断ち切れ234



 70回目の終戦の日を前に、安倍晋三首相が戦後談話(安倍談話)を発表した。

 先の大戦の歴史をめぐり、日本が進むべき針路を誤ったとの見方と、おわびや深い悔悟の念を示した。そのうえで、戦後生まれの世代に「謝罪を続ける宿命」を背負わせてはならないと述べた。

 戦後生まれの国民は人口の8割を超える。過去の歴史を忘れてはならないとしても、謝罪を強いられ続けるべきではないとの考えを示したのは妥当である。

 首相は平和国家として歩んだ戦後に誇りを持ち、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献していく決意を披瀝(ひれき)した。

 《積極的平和主義を貫け》

 未来志向に基調を置く談話を目指したのは当然である。首相は会見で「歴史の教訓をくみとり、目指すべき道を展望したい」と語った。平和を実現する責任をいかに実践していくかが、これからの日本の大きな課題となった。

 「繁栄こそ平和の礎」であると談話は強調し、自由、公正で開かれた国際経済システムの発展と途上国支援の強化を挙げた。自由と民主主義、人権といった基本的価値を共有する国々と力を合わせ、「積極的平和主義」の旗を掲げるという。

 戦後の日本は、西側の国際秩序と日米同盟による安全保障の下で経済力を培い、途上国への政府開発援助(ODA)など経済協力によって国際秩序を支えてきた。

 現在は米国の力が相対的に衰退する一方、中国、ロシアという国際ルールを軽んじ「力による現状変更」を目指す国が台頭した。

 そうした国際情勢の下で、談話が日本を国際秩序の守り手と位置づけたのは当然のことだ。それには、安全保障面での協力を充実することも欠かせない。新たな安全保障法制の実現も、その努力の一環といえる。

 一方で談話は、先の大戦について「痛切な反省とおわびの気持ちを表明してきた」歴代内閣の立場について「今後も、揺るぎないもの」とし、村山富市首相談話などを引き継ぐ姿勢を示した。

 村山談話は、過去の歴史を一方的に断罪し、度重なる謝罪や決着済みの補償請求の要因となるなど国益を損なってきた。

 首相はもともと、村山談話の問題点を指摘し、修正を志向していた。会見で「政治は歴史に対して謙虚であるべきだ」と述べたのは、村山談話に向けるべき言葉だったのではないか。

 談話の内容をめぐり、公明党など与党内にも村山談話を重視すべきだとの声があった。平成10年の日中共同宣言には村山談話が明記されるなど、首相の選択肢が狭められていた側面もある。

 首相は「国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」と日本が誓ったこととして、「事変」「戦争」とともに、「侵略」を挙げた。

 《「歴史戦」に備える時だ》

 首相は侵略について、具体的な定義は歴史家に委ねるとしつつ、全体としてはこれらを認め、おわびに言及した。

 重要なのは、この談話を機会に謝罪外交を断ち切ることだ。

 「国際政治と謝罪のリスク」の論文もある米ダートマスカレッジのジェニファー・リンド准教授は「謝罪は和解の前提ではない」との指摘を重ねてきた。

 歴史で政府が謝罪すれば国内に反発が生じ、改めて相手国の不信を高める。結果として、より大きなマイナスをもたらす。まさに日本の謝罪外交の構図である。

 中国、韓国は今後、歴史問題をカードにすることをやめるべきだ。談話の表現を材料として、日本をおとしめ、いっそうの謝罪など不当な要求は許されないし、応じられない。

 中韓は70年の節目に日本の戦争責任などを追及する歴史戦を展開してきた。曲解に基づく攻撃もためらわない。

 政府は、反論と史実の発信を止めてはならない。

 終戦の日、追悼とともに問われるのは、祖国や家族を守ろうと戦地に散った人々に、今を生きる日本人が何を約すかだろう。

 戦争の惨禍を繰り返さないとの祈りにとどまらない。国民の生命と国家の名誉が損なわれないよう努める覚悟が欠かせない。

 国民を萎縮させる謝罪外交に終止符を打つことに、首相は重い責任を負った。





日経:70年談話を踏まえ何をするかだ



 「歴代内閣の立場は今後も揺るぎない」。安倍晋三首相が戦後70年談話でこうした考えを明確にした。戦後50年の村山談話を大きく書き改める談話になるとの見方もあった。おおむね常識的な内容に落ち着いたことを評価したい。

 談話作成の過程で注目されたのは、村山談話にある「侵略」「植民地支配」「痛切な反省」「心からのおわび」の4つのキーワードの有無だった。安倍首相が「侵略の定義は定まっていない」として戦前日本の行いが侵略かどうかについて明言を避けてきたからだ。



キーワード盛り込む



 「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」。安倍談話は1931年の満州事変以降の日本が「世界の大勢を見失って」「進むべき針路を誤り、戦争への道を進んでいった」と断定した。「戦争の苦痛をなめ尽くした中国人」など、中国の国民にじかに語りかけたかのような記述もあった。

 韓国を念頭に置いた部分は少ないが、「植民地支配から永遠に決別」すると誓い、戦地での女性の被害にも言及した。

 村山談話の「遠くない過去の一時期、国策を誤り……」という表現と比べて、何を反省すべきかをはっきりさせたのはよいことだ。憲法9条を引用したような言い回しは憲法改正論議にも影響を与えよう。

 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を掲げ、村山談話や従軍慰安婦に関する河野談話に否定的な発言を過去にしてきた。

 だが、昨年取り組んだ河野談話の検証は中身を全否定することにはならなかった。今回の安倍談話も村山談話と基本線は同じだ。

 「できるだけ多くの国民と共有できる談話づくりを心がけた」。首相は記者会見でこう語った。今回の談話づくりでは閣議決定せずに安倍首相の個人的な見解の形で表明することが検討された。閣議決定のあるなしのニュアンスの違いなどは政権の内部でしか通用しない話だ。きちんと公明党と与党内調整を行い、閣議決定したのは当然である。

 談話を発表し終えたから、これで一件落着ではない。大事なのは談話を踏まえ、これから何をするかだ。安倍首相は歴史の細部にこだわるのではなく、どうすれば未来志向の外交関係を築けるかに傾注してもらいたい。

 4月のインドネシアでの日中首脳会談で中国の習近平国家主席は「歴史を直視する積極姿勢を発信してほしい」と注文を付けた。中国は9月3日、北京での軍事パレードなど「抗日戦争勝利70年」の記念行事を予定する。中国にとって特別な年である点も踏まえた日本へのけん制だった。

 安倍首相の談話に対し、中国内からは批判的な見方も出ている。

 とはいえ、キーワードがすべて盛り込まれたことで、中国政府は「主張が一定の範囲で取り入れられた」と自国民に説明できるのではないか。

 3年もの長い間、停滞した日中関係は昨年11月以来、2回の首脳会談を経て、交流拡大に動き出している。特に4月のインドネシアでの会談では、習主席が首相に9月訪中を直接、招請した。



未来志向の外交を



 軍事パレード参観は難しいにしても、首相は時機をはかって中国を訪れ、談話の中身を直接、丁寧に説明すべきだ。あわせて、談話でも意識したように、中国の一般民衆に向けたメッセージを現地で発信するのが望ましい。これを未来志向の新しい日中関係の礎にすべきだろう。

 韓国ではメディアが安倍談話を早速批判した。日韓の和解は容易ではないが、今年は国交正常化50年という節目の年でもある。日韓はともに米国の同盟国で、主要な貿易相手国でもある。安全保障や防衛、経済で協力する余地はいくらでもある。日韓双方が未来に向けた善隣協力を進めるときだ。

 いまだ実現していない日韓首脳会談を早期に実現させる必要がある。朴槿恵(パク・クネ)大統領に安倍政権の歴史認識への疑念があるのなら直接ただし、互いの信頼を築いていく道もある。

 「できるだけ多くの国民と共有できる」というフレーズは70年談話にだけ当てはまることではない。安全保障関連法案への国民の理解はなぜ広がらないのか。安倍首相はこの機会にそうしたことにも思いを広げてほしい。

 首相は日本という国を代表する立場にある。国民の多数の意見を幅広くくみ取って政権運営に努めねばならない。





毎日:戦後70年談話 歴史の修正から決別を



 日本を滅亡の際に追いやり、アジア諸国でおびただしい数の人命を奪った戦争の終結から70年を迎えた。

 安倍晋三首相はきのう、戦後70年談話を閣議決定し、発表した。

 歴史の節目にあたって、国政の最高責任者の発する言葉が担う責務とは何であろうか。私たちは、近現代史について国民の共通理解を促し、かつ、いまだに道半ばである近隣国との和解に資することだと考える。

 安倍首相は「深い悔悟の念」や「断腸の念」を談話に盛り込んだ。だが、その歴史認識や和解への意欲は、必ずしも十分だとは言えない。

 ◇曖昧さ残した「侵略」

 談話は、満州事変と国際連盟からの脱退を挙げ、日本が「進むべき針路を誤った」との認識を示した。記述の有無が焦点になっていた「侵略」については「事変、侵略、戦争」と単語を羅列したものの、日本の行為かどうかの特定は避けた。

 戦後50年時に出された村山富市首相談話が「わが国は過去の一時期、国策を誤り」「植民地支配と侵略」によってアジアに損害を与えたと明確に記したのとは対照的だ。

 先にまとめられた有識者会議の報告書が「満州事変以後、大陸への侵略を拡大」したと認定したのと比べても、表現が緩められている。

 もう一つの焦点だった「痛切な反省と心からのおわび」は、過去に日本が行ってきた事実として言及された。そのうえで首相は「歴代内閣の立場」を継承すると約束した。

 全体に村山談話の骨格をオブラートに包んだような表現になっているのは、首相が自らの支持基盤である右派勢力に配慮しつつ、米国や中国などの批判を招かないよう修辞に工夫を凝らしたためであろう。

 しかし、その結果として、安倍談話は、誰に向けて、何を目指して出されたのか、その性格が不明確になった。歴代内閣の取り組みを引用しての「半身の言葉」では、メッセージ力も乏しい。

 村山談話は、日本が担うべき道義的責任を包括的に表明したものだ。歴史認識の振れを抑える目的と同時に、近隣諸国との長期的な和解政策の一つと位置づけられた。

 当時、談話の作成にかかわった田中均元外務審議官は「私たちが最も大事だと考えたのは、言葉のごまかしをしてはならないという点であった」と書き残している。

 村山談話の論理は、1998年10月の日韓共同宣言、11月の日中共同宣言、2002年9月の日朝平壌宣言などに受け継がれた。談話は日本外交の資産であるとともに、日本外交を拘束する力も持ってきた。

 この村山談話に否定的な態度を示してきたのが安倍首相である。

 村山談話に先立つ95年6月、衆院本会議で戦後50年決議が採択された際、当選1回の若手だった安倍氏は内容に反発して欠席している。

 また05年8月、当時の小泉純一郎首相が村山談話を踏襲して戦後60年談話を出した際、自民党幹事長代理だった安倍氏は「村山談話のコピペ(複写と貼り付け)ではないか」と周囲に不満を漏らしたという。

 その後、首相に返り咲いてからも「全体として引き継ぐ」と曖昧な態度をとり続けた。「侵略」「反省」「おわび」などの文言を引き継ぐかどうかを、必要以上に政治問題化させた責任は首相自身にある。

 ◇プラスに転化させよ

 ただし、消極的ながらも安倍首相は村山談話の核心的なキーワードを自らの談話にちりばめた。「何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を与えた」と加害性も認めた。その事実を戦後70年の日本はプラスに転化させる必要がある。

 すなわち、すでに定着した歴史の解釈に異を唱え、ストーリーを組み替えようとする歴史修正主義からきっぱりと決別することだ。

 歴史にはひだがあり、正邪の二分論で完全には割り切れないこともある。しかし、政治指導者が痛切な反省を口にしても、政権党内部からそれを覆す発言が飛び出す、不毛な事態には終止符を打つべきだ。

 審議中の安全保障関連法案に国民が厳しく反応する要因の一つに、安倍首相を支える勢力の戦前を肯定するかのような態度がある。大戦を侵略と認め、真摯(しんし)に反省するのをためらってきた姿を見て、国民が法案に不安を抱くのは理解できる。

 通商国家である日本にとって、中国や韓国をはじめアジアとの友好的な関係は存立に必須の条件だ。70年談話も安保法制も、日本がアジアでどう生きていくのかという問いへの回答でなければならない。

 戦後日本の骨格を作った吉田茂は「戦争に負けて外交で勝った歴史はある」との言葉を残した。与えられた条件で国益を守ろうとした吉田のプラグマティズムだ。国家のメンツにこだわって大局を見失わないようにという戒めでもある。

 節目を過ぎても、日本は引き続き和解への努力を続けなければならない。外交上のたしなみを保ち、道義的な責任から目を背けないことが、いずれはアジアの平和に寄与する。

 歴史をめぐって、とげとげしい言葉が飛び交うような環境から脱却することは、とりもなおさず日本の利益になる。




読売:戦後70年談話 歴史の教訓胸に未来を拓こう



 ◆反省とお詫びの気持ち示した◆


 先の大戦への反省を踏まえつつ、新たな日本の針路を明確に示したと前向きに評価できよう。

 戦後70年の安倍首相談話が閣議決定された。

 談話は、日本の行動を世界に発信する重要な意味を持つ。未来を語るうえで、歴史認識をきちんと提示することが、日本への国際社会の信頼と期待を高める。

 首相談話には、キーワードである「侵略」が明記された。

 ◆「侵略」明確化は妥当だ

 「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」との表現である。「先の大戦への深い悔悟の念と共に、我が国は、そう誓った」とも記している。

 首相が「侵略」を明確に認めたのは重要である。戦後50年の村山談話、戦後60年の小泉談話の見解を引き継いだものだ。

 1931年の満州事変以後の旧日本軍の行動は侵略そのものである。自衛以外の戦争を禁じた28年の不戦条約にも違反する。

 特に、31年10月の関東軍による中国東北部・錦州攻撃は、民間人に対する無差別・無警告の空爆であり、ハーグ陸戦規則に反する。空爆は、上海、南京、重慶へと対象を拡大し、非戦闘員の死者を飛躍的に増大させた。

 一部の軍人の独走を許し、悲惨な戦争の発端を日本が作ったことを忘れてはなるまい。

 首相は記者会見で、「政治は歴史に謙虚でなければならない。政治的、外交的意図によって歴史がめられるようなことは決してあってはならない」と語った。

 的を射た発言である。

 「侵略」の客観的事実を認めることは、自虐史観ではないし、日本をめることにもならない。むしろ国際社会の信頼を高め、「歴史修正主義」といった一部の疑念を晴らすことにもなろう。

 談話では、「植民地支配」について、「永遠にし、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」という表現で触れた。

 談話は、国内外で犠牲になった人々に対し、「深くを垂れ、痛惜の念を表すとともに、の、哀悼の誠をげる」と記した。

 ドイツ首脳の言葉を一部踏襲したもので、村山談話などの「おび」に相当する表現だ。首相の真剣な気持ちが十分に伝わる。

 談話は、日本が先の大戦について「痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきた」として、村山談話などの見解に改めて言及した。さらに、「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないもの」と明記している。

 ◆女性の人権を尊重せよ

 今回の表現では納得しない一部の近隣諸国もあろう。それでも、反省やお詫びに触れなくていい、ということにはなるまい。

 欧米諸国を含む国際社会全体に向けて、現在の日本の考え方を発信し、理解を広げることこそが大切な作業である。

 その意味で、安倍談話が、戦後の日本に手を差し伸べた欧米や中国などに対する感謝の念を表明したことは妥当だろう。

 「戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続ける」との表現は、慰安婦を念頭に置いたもので、韓国への配慮だ。

 談話が表明したように、「21世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードする」ことが、今、日本に求められている。

 談話は、戦争とは何の関わりのない世代に「謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」とも強調している。

 この問題に一定の区切りをつけて、子々孫々にまで謝罪行為を強いられないようにすることが大切である。中国や韓国にも、理解と自制を求めたい。

 ◆次世代の謝罪避けたい

 首相は記者会見で、談話について「できるだけ多くの国民と共有できることを心掛けた」と語った。歴史認識を巡る様々な考えは、今回の談話で国内的にはかなり整理、集約できたと言えよう。

 談話は、日本が今後進む方向性に関して、「国際秩序への挑戦者となってしまった過去」を胸に刻みつつ、自由、民主主義、人権といった価値を揺るぎないものとして堅持する、と誓った。

 「積極的平和主義」を掲げ、世界の平和と繁栄に貢献することが欠かせない。こうした日本の姿勢は、欧米や東南アジアの諸国から幅広く支持されている。

 「歴史の声」に耳を傾けつつ、日本の将来を切りきたい。




中日:真の和解とするために 戦後70年首相談話



 戦後日本の平和と繁栄は、国内外での膨大な尊い犠牲の上に、先人たちの努力で勝ち得てきたものだ。戦後七十年の節目に、あらためて胸に刻みたい。

 安倍晋三首相はきのう戦後七十年の首相談話を閣議決定し、自ら記者会見で発表した。

 戦後五十年の一九九五年の終戦記念日には村山富市首相が、六十年の二〇〇五年には小泉純一郎首相が談話を発表している。

 その根幹部分は「植民地支配と侵略」により、とりわけアジア諸国の人々に多くの損害と苦痛を与えた歴史の事実を謙虚に受け止め「痛切な反省と心からのお詫(わ)びの気持ち」を表明したことにある。

村山、小泉談話は継承

 安倍首相はこれまで、歴代内閣の立場を「全体として引き継ぐ」とは言いながらも、「今まで重ねてきた文言を使うかどうかではなく、安倍政権としてどう考えているのかという観点で出したい」と述べるなど、そのまま盛り込むことには否定的だった。

 戦後七十年の「安倍談話」で、「村山談話」「小泉談話」の立場はどこまで引き継がれたのか。

 安倍談話は「わが国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきた」として村山、小泉談話に言及し、「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものだ」と受け継ぐことを言明した。

 この部分は評価するが、気になるのは個々の文言の使い方だ。

 首相が、七十年談話を出すに当たって参考となる意見を求めた有識者会議「二十一世紀構想懇談会」の報告書は「満州事変以後、大陸への侵略を拡大」と具体的に言及したが、安倍談話では「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」という部分だけだ。

侵略主体、明確でなく

 この表現だと、侵略の主体が日本なのか、国際社会一般のことなのか、明確にはなるまい。

 一九三一年の満州事変以降の日本の行為は明らかに侵略である。自衛以外の戦争を禁止した二八年の不戦条約にも違反する。アジア解放のための戦争だったという主張も受け入れがたい。

 安倍首相が、有識者による報告書のようにかつての日本の行為を「侵略」と考えているのなら、一般化したと受け取られるような表現は避け、日本の行為と明確に位置付けるべきではなかったか。

 「植民地」という文言も、談話には六カ所出てくるが、いずれも欧州列強による広大な植民地が広がっていたという歴史的事実を述べる文脈だ。

 「植民地支配から永遠に訣別(けつべつ)し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない」との決意は当然としても、日本による植民地支配に対する反省とお詫びを表明したとは、受け取りがたい。

 特に、日韓併合の契機となった日露戦争について「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた」と意義を強調したのは、朝鮮半島の人々への配慮を欠くのではないか。

 いわゆる従軍慰安婦については「二十世紀において、戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続ける」と言及し、「二十一世紀こそ、女性の人権が傷つけられることのない世紀とするため、世界をリードしていく」と述べた。

 その決意は妥当だが、日韓関係改善を妨げている従軍慰安婦問題の解決に向けて問われるのは、今後の具体的な取り組みだろう。

 安倍談話は「七十年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たちは静かな誇りを抱きながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります」と表明した。

 その決意に異議はない。

 戦後日本は新憲法の下、平和国家として歩み続け、非軍事面での国際貢献で国際的な信頼を勝ち得てきた。先人たちの先見の明と努力は今を生きる私たちの誇りだ。

負の歴史に向き合う

 将来にわたって、過去と同じ轍(てつ)を踏まないためには、侵略や植民地支配という「負の歴史」とも謙虚に向き合って反省し、詫びるべきは詫びる勇気である。

 戦争とは何ら関わりのない将来世代に謝罪を続ける宿命を負わせないためには、聞く者の心に響くような言葉で語る必要がある。それが戦後七十年を生きる私たち世代の責任ではないのか。

 安倍談話が国内外で評価され、近隣諸国との真の和解に資するのか否か、引き続き見守る必要はあろうが、負の歴史とも謙虚に向き合い、平和国家としての歩みを止めないのは、私たち自身の決意である。戦後七十年の節目に、あらためて誓いたい。




信濃:戦後70年に 安倍首相談話 言葉の裏を見極めたい



 安倍晋三首相がこだわり続ける「戦後レジーム(体制)からの脱却」への布石と考えるべきだろう。

 政府がきのう閣議決定した戦後70年の首相談話である。

 かつての日本が無謀な戦争に走り、アジアの人々や自国民に多大な損害と苦痛を与えた歴史とどう向き合うか、日本の針路をどう示すか、内外が注目していた。

   <キーワードを巧妙に>

 戦後50年の村山首相談話、60年の小泉首相談話は「植民地支配」や「侵略」を認めた上で「痛切な反省」と「心からのおわび」を表明。平和への決意も含め、簡潔で分かりやすかった。

 今回の安倍首相談話は形式、内容を大きく変えている。「侵略」「植民地支配」「痛切な反省」「心からのおわび」の四つのキーワードは入っていた。

 言葉の使い方は巧妙だ。「進むべき針路を誤り」との言い方で、かつての日本の行為を否定的に捉える一方で、侵略戦争や植民地支配が続いてきた世界の歴史に言及している。言い訳と受け取られかねない表現だ。

 反省や謝罪も過去の取り組みとして紹介する形で、安倍首相自身の言葉にはなっていない。歴代内閣の立場を継承すると言いながら、ぼやかした感が否めない。

 本音ものぞく。将来の世代に「謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」とし、区切りとしたい思いをにじませた。

 首相自身の歴史認識が中国や韓国から問題視され、関係改善が進んでいないのに、おざなりな印象が拭えない。

 このような形にしたのは過去の談話の継承を求める公明党への配慮や、批判が強まる安全保障関連法案に影響が及ぶことを回避する狙いが透ける。

 首相は何より談話に独自色を出したかったのだろう。かねて強調してきた「未来志向」に沿い、自身の政策をアピールしている。「積極的平和主義」の旗を掲げて世界に貢献するとした。

 積極的平和主義は第2次政権になって使い始めた。首相はこの曖昧な言葉を使いながら集団的自衛権の行使容認や武器禁輸政策の撤廃に踏み切った。今、自衛隊の海外での武力行使に道を開く安保法制を整備し、軍事重視路線をさらに突き進もうとしている。

   <改憲への地ならし>

 憲法の平和主義とは全く異なるものだ。首相は憲法に裏打ちされた戦後日本の歩みを転換させるこれらの政策で「戦後レジームからの脱却」実現の風穴をあける考えのようだ。70年談話もこの中に含まれるとみていい。

 来月の自民党総裁選で再選を果たし、来年の参院選に勝って憲法改定に臨む。首相はこんな青写真を描いているとされる。

 首相が戦後体制に強い疑問を持っていることはよく知られている。連合国側が日本の戦争責任を裁いた東京裁判、旧体制を根本から変えようとした現行憲法や教育基本法の制定をはじめとする米国主導の占領政策などだ。

 この歴史認識には祖父の岸信介元首相が影響しているとされる。岸元首相は東京裁判を批判し、自主憲法を制定してはじめて独立が完成すると考えた。改憲による戦後体制からの脱却を悲願とする安倍首相と共通する。

 問題は、祖父譲りの政治信条に固執する首相が日本をどのような国に変えていくつもりなのかだ。自民党が2012年に決定した改憲草案がヒントになる。

 草案では自衛隊を「国防軍」に改め、集団的自衛権も行使できる普通の軍隊へ近づける。

 緊急事態条項を新たに設け、有事の際には首相が緊急事態を宣言し、内閣が法律と同じ効力を持つ政令を出せるようにする。時の指導者に独裁的な権限を与える恐れがあるものだ。

 その一方、個人を尊重する普遍的な価値観が損なわれている。国民の自由や権利も「公益及び公の秩序」に反しない限りとの制限が付く。基本的人権は「侵すことのできない永久の権利」と規定した現行憲法97条も自民草案は削除してしまった。

 現行憲法は個人の権利を守り権力の勝手を許さない立憲主義と、非軍事を貫く平和主義に基づく。自民はそれを書き換え、国民のための憲法から国家のための憲法にしようとしている。

   <戦後の価値が空洞化>

 安倍首相は談話で自由と民主主義、人権といった価値を堅持すると訴えたけれど、足元の日本はどうなのか。国家の利益やメンツを重視し、国民をおろそかにしているのではないか。疑問が残る。

 戦後70年の節目を迎え、首相は民意を顧みずに国の針路を変えようとしている。日本が曲がりなりにも「平和国家」と名乗れたのは私たち国民が強く望んできたからだ。首相が描く将来像は、その大切な取り組みを崩す。




沖縄:[戦後70年談話]主語漂流 真意はどこに



 安倍晋三首相は終戦記念日前日の14日、戦後70年談話(「安倍談話」)を閣議決定し、発表した。

 安倍談話は「侵略」「植民地支配」「痛切な反省」「心からのおわび」など肝の言葉を盛り込んだ。戦後50年の「村山談話」、戦後60年の「小泉談話」を踏襲した形だ。表面的な言葉だけみれば過去の談話を引き継いでいるようにみえる。だが、心に響くことがなかった。なぜだろうか。

 四つのキーワードを踏襲しながらどの国に向けて語っているのか明示せず、一般的あるいは間接的にしか表現していないからだ。安倍首相自身の肉声に乏しく、どこか傍観者的に感じられてならない。

 たとえば「侵略」。「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」と表現している。先の大戦における中国などに対する日本の行為を侵略とは言い切っていないのである。その後の記者の質問にも「具体的にどのような行為が侵略に当たるか否かについては、歴史家の議論に委ねるべきだ」と答えているから、よけい疑念が募る。

 「植民地支配」については「植民地支配の波は、19世紀、アジアにも押し寄せてきた」「日露戦争は、植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた」などと使用している。侵略や植民地支配とも主語がはっきりせず、加害者としての立場を意図的にぼかしていると言わざるを得ない。

 村山談話、小泉談話では「わが国は…多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えた」と対象をはっきり示し、「痛切な反省」と「心からのおわび」につなげている。

 安倍談話では「痛切な反省」と「心からのおわび」は、「わが国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきた」と過去の談話を引用し、「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものである」と表明している。歴代内閣の姿勢を説明することによって間接的に安倍内閣の立場を示したもので、安倍首相自身の言葉による直接的なおわびではないのである。

    ■    ■

 中曽根康弘元首相は月刊誌で先の大戦をめぐり中国や東南アジア諸国に対する日本の行為について「現地の人からすれば日本軍が土足で入り込んできたわけで、まぎれもない侵略行為だった」と断言。「歴史を正視し得ない民族は、他の民族からの信頼も尊敬も得ることはできない」と書いている。

 戦後70年の節目の安倍談話でありながら、どうしてこのようなあいまいな談話になってしまったのだろうか。

 連立を組む公明党はおわびを含め四つのキーワードを談話に取り入れることを求める一方、安倍首相の側近をはじめ保守層からは「おわびは必要ない」との声が出る。

 両立できないことをあえて両立させようとしたのが安倍談話である。それを象徴しているのが談話の「子や孫、その先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」としながら、「それでもなお、日本人は、世代を超えて、過去の歴史に真正面から向き合わなければなりません」の下りである。両方に目配りするあまり意味を成さない文章となった。

    ■    ■

 安倍談話は「未来志向」になるとの触れ込みだった。冷え切った日中、日韓関係の改善に向けてなぜ、明確なメッセージを出さなかったのか。残念でならない。

 安倍首相は記者の質問に答え「ウクライナ、南シナ海、東シナ海など、世界のどこであろうとも、力による現状変更の試みは決して許すことはできない」と触れている。中国を念頭に置いた発言である。関係改善を促す方策を提示しないままでは緊張緩和を遠ざけるばかりではないか。

 歴代内閣が村山談話に基づく政府見解を内外に示しながらなぜ、隣国と和解できないのだろうか。誠実に過去と向き合い中国や韓国との協力・連携を進め、東アジアの新しい未来を築いていくというメッセージを示すべきだった。




琉球:戦後70年終戦記念日 不戦の誓いを新たに 評価できない首相談話



 戦後70年の終戦記念日を迎えた。ことしは多くの人が不戦の誓いを新たにしているのではないか。
 言うまでもなく、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を可能にする安全保障関連法案が国会で審議されているからだ。
 法案は7月中旬に衆院を通過したが、国民からは新たな戦争に巻き込まれかねないとの懸念が消えない。それにもかかわらず、安倍晋三首相は今国会中の成立を目指すという。戦後70年間、日本が培ってきた平和主義や専守防衛の国是は根本から揺らいでいる。

直接の謝罪避ける

 政府は戦後70年の安倍首相談話を決定した。戦後50年の村山富市首相談話が明記した先の大戦をめぐる「おわびの気持ち」「侵略」などの言葉が盛り込まれた。
 中曽根康弘元首相の言葉を借りるまでもなく、大戦でのアジア諸国に対する日本の行為が「紛れもない侵略」だったことは動かしようのない事実だ。アジアに多大な犠牲と苦痛を与えた歴史と向き合い、謝罪するのは当然である。
 だが安倍首相の談話には違和感を覚えた部分も少なくない。主語や対象を明確にせず、首相自身の考えに曖昧な点が数多く残った。
 おわびは「わが国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきた」と歴代内閣による謝罪の経過を紹介する中で触れた。「歴代内閣の立場は、今後も揺るぎない」と付け加えたが、直接的な謝罪は避けた。
 侵略に関しては「事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、二度と用いてはならない」「植民地支配から永遠に決別しなければならない」としたが、客観的表記にとどまる。「戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた」ことに触れたが、加害の立場に言及しなかった。
 一方で「戦争に関わりのない世代に、謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」と述べた。これは「歴史に真正面から向き合う」姿勢と矛盾しないのか。それとも謝罪はもう十分ということなのか。
 首相は過去の国会答弁で「侵略という定義は学問的も国際的にも定まっていない」と述べて物議を醸した。14日の会見でも「どのような行為が侵略に当たるかは歴史家の議論に委ねるべきだ」などと述べている。
 公明党や中韓両国など国際世論への配慮から渋々「おわび」したのではないか。そうした疑念はかえって深まった。率直に加害の過去を反省し、アジアにわびる言葉がなかった点など評価できない。

軍隊は住民を守らない

 沖縄は戦争で本土防衛の捨て石となり、県民の4人に1人が命を落とした。その沖縄戦から私たちが得た最大の教訓は「軍隊は住民を守らない」ということだ。
 沖縄戦で日本軍が守ろうとした「国」とは何か。12日に琉球新報社の「琉球フォーラム」で講演した戦史・紛争史研究家の山崎雅弘氏から含蓄に富む話があった。
 山崎氏はドイツに降伏したフランスが国家体制、領土の順に切り捨てて国民の生命・財産を守ろうとしたのに比べ、日本は逆に国民を最初に切り捨てて国家体制を守ろうとしたと報告。戦後日本の安保論議から、軍と市民の関係性の総括が欠落していると指摘した。
 談話で首相は「いかなる紛争も、法の支配を尊重し、力の行使ではなく、平和的・外交的に解決すべきだ」と表明したが、一方では多くの国民が「戦争法案」と懸念する安保法案の成立に突き進んでいる。不戦の誓いに逆行するような動きが、国民に「新たな戦前」の不安をかき立てている。
 首相は会見で「未来に向け世界で日本はどういう道を進むべきか」と問うたが、憲法の国民主権や平和主義に基づく戦後の歩みを続けることこそがその答えだ。市民よりも国家が優先された過ちを繰り返さないために、今こそ不戦の原点を見詰め直すべきだ。




北海道:終戦から70年 不戦の誓い、未来に継承を



 太平洋戦争の敗戦から70年を迎えた。日本は焼け野原から再出発し、奇跡の復興、経済大国へと成長を遂げた。

 近年では東日本大震災や福島第1原発事故があり、その道は決して平たんではなかった。それでも一度も戦争に加わらず、平和国家として歩んできた。

 その憲法に基づく平和主義が瀬戸際に立たされている。終戦の日、例年にも増して自覚したいのは平和の大切さだ。

 将来世代のために何を守り、何を引き継ぐのかが問われる。

■和解の意図伝わらぬ

 安倍晋三首相はきのう、戦後70年談話を閣議決定し発表した。

 談話は▽大戦への反省▽戦後の平和国家としての歩み▽今後の国際貢献のあり方―を柱に構成し、分量が膨らんだ。

 戦後50年の村山富市首相談話は過去の国策の誤りを率直に認め、痛切な反省と心からのおわびを表明し、日本外交の基本となった。

 今回の談話では「植民地支配と侵略」「痛切な反省」など引き継ぐべき大事な文言は入れたつもりなのだろう。

 だが朝鮮半島などでの植民地支配は明言せず、西欧列強による植民地化の歴史に触れただけだった。先の大戦の「おわび」も「わが国は繰り返し表明してきた」と、間接的な表現にとどまった。

 中国や韓国とのこじれた関係を打開する和解のメッセージなのか―。国際社会も注視していた談話だが、これでは十分な説得力を持って伝わったとは言い難い。

 「子供たちに謝罪を続ける宿命を負わせてはならない」とも述べた。ならば近隣諸国との間の問題の解決、和解を急ぐべきだ。

 中国や韓国が歴史問題を政治宣伝に利用するのであれば相互不信を招く。ただアジア諸国に計り知れない人的、物的被害を与えた日本の首相が率直に「おわび」を表明するのは当然だ。一般論にとどまったのは残念だ。

 積極的平和主義に基づく国際貢献も、その中身に疑問が残る。

 国際貢献を農村援助や復興、貧困対策など日本が得意とする非軍事分野に限るのならうなずける。

 しかし平和維持のためには軍事的手段もいとわず、脅威を排除するというのであれば平和主義とは相いれない。

 「未来志向」と言うが、これが今後の日本の進む道なら危うい。

■個人より国家なのか

 安倍政権は国民に大きな不安を巻き起こしている。

 与党は安保関連法案を強行採決で衆院通過させた。法案は政府が違憲としてきた集団的自衛権の行使を容認し、自国が攻撃されていなくても武力行使に道を開く。

 限定容認と言うが行使は政府の判断次第だ。歯止めはないに等しい。憲法が権力を縛る立憲主義の精神にも反する。

 政権批判に対し、首相の応援団的な自民党の勉強会では、言論の自由を顧みず「マスコミを懲らしめる」などの発言が飛び交った。

 この勉強会に出席した若手議員は安保法案に反対する学生団体に対し「『戦争に行きたくないじゃん』という利己的考えに基づく」と筋違いの言葉を投げつけた。

 個人よりも国家が大事。戦争の苦難は受忍されるべきだ。そうした戦前の風潮と似ていないか。

 多大な犠牲を払って手にした戦後の平和主義が危うい。なぜ日本はこんな地点にきたのだろう。

 戦争の悲惨さを知る人が少なくなったことが要因の一つだろう。殺し殺される恐ろしさを自分に引きつけて考えられない。

 戦争の本質を直視し、どんな経緯で開戦して惨禍を招き、経験したのかを考えることから始めたい。戦争体験を学び、次世代に継承する意味はかつてなく重い。

■被爆者の声聞かねば

 長崎の平和祈念式典は静かに進行する中、被爆者代表の「平和への誓い」で突然拍手がわいた。

 代表の谷口稜曄(すみてる)さん(86)は安保法案を推進する政府を強く批判し、「戦時中に逆戻りしようとしている」と言い切った。拍手は出席者の共感によるものだ。

 16歳で郵便配達中に被爆し、背中を熱線で焼かれた。被爆者こそが生き証人として戦争反対の先頭に立つ。その決意だろう。

 70年前の敗戦。国民は二度と戦争はするまいと誓った。権力にただ従うのではなく、自分たちで考えて決める。民主主義を定着させる誓いでもあったはずだ。

 最近目を引くのは安保法案反対の市民の集会やデモだ。労組や政党ばかりではない。若者や学生ら自発的、自然発生的なデモが目立つ。若い母親までもがベビーカーを押して街頭に出始めた。

 自分で考え、声を上げる。その積み重ねが政治の方向を誤らせず、確かな未来を開くと信じる。




北國:戦後70年談話 「不戦の誓い」が伝わった



 安倍晋三首相は終戦記念日を前に、戦後70年談話を発表した。戦後50年の村山首相談話と、60年小泉首相談話に盛り込まれたキーワード「植民地支配」「侵略」「反省」「おわび」が明記されているかどうかが注目されたが、安倍首相はこれらを全て盛り込んだうえで、満州事変以来の日本の歩みを冷静かつ客観的に振り返り、平和国家として歩んでいく決意を述べた。さらに国家としての日本、また日本人の歩みを「未来志向」で語り、「いかなる武力の威嚇(いかく)や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない」と訴えた。

 村山談話などと比べて格段に長く、格調があり、よく練られている。抑制気味ながらも安倍政権が掲げる「積極的平和主義」の理念を押し出し、訴える力もあった。

 先の大戦について「わが国は痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきた」と指摘したうえで、「こうした歴代内閣の立場は今後も揺るぎない」と述べたことで、平和国家日本の「不戦の誓い」は国際社会にも十分伝わったはずである。多くの国民の胸にも響いたのではないか。

 天皇陛下は毎年、全国戦没者追悼式に出席し、「お言葉」を述べる。例年、文面もほぼ同じだ。「歴史を顧み、戦争の惨禍が再び繰り返されないことを切に願い、全国民とともに戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心から追悼の意を表し、世界の平和とわが国の一層の発展を祈ります」。

 陛下のお言葉と、安倍談話にある「国内外に倒れた全ての人々の命の前に深くこうべを垂れ、痛惜の念を表すとともに、永劫の哀悼の誠をささげる」とした文面には強い同調性が感じられる。

 きょうの終戦記念日は、東京で政府主催の全国戦没者追悼式が開催されるのをはじめ、石川、富山県内でも追悼の催しが行われる。無謀な戦争で犠牲になった約310万人を悼み、心静かに平和の祈りをささげたい。

 70年続いた平和を維持し、守っていくために、同盟国との関係を深め、備えを厚くしていく必要がある。国会で論議中の安保関連法案の成立を急ぎ、平和の裏付けとなる抑止力の強化を急ぎたい。




中央日報:光復・分断70年…過去を踏まえて未来に進もう



日帝の36年間の植民地統治から解放されて今日でちょうど70年だ。光復(解放)70年を迎える我々の感慨は格別だ。日帝の圧制と収奪、戦争の惨禍を踏んで、我々は世界が奇跡と呼ぶ政治・経済的な発展を成し遂げた。第2次世界大戦以前に植民地統治を経験した人口5000万人以上の規模の国のうち、産業化と民主化に同時に成功した国は韓国しかない。しかし偉大な成就への自負心と誇りだけで今日を迎えられないのが、我々の現実だ。

日帝の強占から抜け出して70年、日本と国交を正常化してから50年が過ぎたが、今日の韓日関係は歴代最悪という言葉が合うほど悪化している。光復70年は分断70年だ。最後に残った冷戦の真ん中に位置する南北関係も極度にふさがっている。光復70年の共同行事は実現しなかった。朴槿恵(パク・クネ)大統領の写真を標的にして北朝鮮の軍人が射撃訓練をする場面が今の南北関係を象徴している。韓日関係と南北関係で突破口を見いだせなければ、光復と分断の70年はただ通過していく数多くの記念日の一つに埋もれてしまう。

好き嫌いに関係なく韓国と日本は隣国として付き合っていくしかない。両国が消耗的な葛藤と反目を続けるのはお互いマイナスだ。韓国は植民地支配の旧怨とコンプレックスから自由になれるほど国家発展を成し遂げたにもかかわらず、韓日関係が逆回りしている最も大きな理由は、言うまでもなく現日本首相である安倍晋三の退行的な歴史認識のためだ。

安倍首相は「侵略の定義は定まっていない」と公開的に発言し、太平洋戦争のA級戦犯が合祀されている靖国神社を参拝することで「歴史修正主義」論争に火をつけた。旧日本軍従軍慰安婦動員の強制性を認めた「河野談話」を覆す動きを見せて韓国人の傷口に塩を塗った。昨日発表した戦後70年談話(安倍談話)も我々の期待には及ばない。

安倍首相は終戦50周年に発表された「村山談話」の4つのキーワード「侵略」「植民地支配」「反省」「おわび」などに言及したが、誰が誰に何のためにする謝罪なのかをあいまいにした。「わが国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきた」と過去形で謝罪に言及した。気持ちを込めた真の謝罪と反省と見るには物足りない。国際社会の厳しい目を意識してやむをえず出した談話という印象が強い。

しかし韓日関係がこのように悪化したのは韓国政府の責任もなくはない。朴槿恵政権は慰安婦問題が解決されるまでは日本と首脳会談をしないとあらかじめ線を引き、自らを束縛する愚を犯した。国益のために外交的柔軟性を発揮できる余地を自ら失くしたことで、日本首相の口ばかり眺める状況を自ら招いたのだ。「安倍談話」の内容を見て朴大統領が光復70年演説の程度を調節するしかないのなら、他の人々が韓国をどのように見るだろうか。安倍首相が何と述べようと、我々は我々のメッセージを込めなければならない。日本の過ちをすべて忘れて許そうということではない。胸に刻んでおいて実利に立脚した冷静な外交をしようということだ。

朴槿恵政権は世襲独裁体制である北朝鮮の特殊性を度外視したまま、我々が理性的で合理的な姿勢を見せれば北朝鮮も誠意を見せるだろうという純粋な発想で接近した。我々の善意を信じて北朝鮮がついてくることを期待するのは無理だ。北朝鮮の挑発には国家安保レベルで断固対応するものの、平和を構築するための対話の努力を併行しなければいけない。しかし最近の北朝鮮の地雷挑発に対する対処に見られるように、朴槿恵政権は国家安保、南北対話ともに期待に達しなかった。南北関係はますます絡んでいる。本当に平和と統一を考えるなら、より柔軟かつ創意的な接近で分断70年の障壁を越えなければならない。

いま北東アジア情勢は前例のない不安定性を見せている。米国は中国牽制のための軍事的圧力を強化している。日本は「積極的平和主義」という美名のもと、米国との軍事的密着に拍車を加えている。集団的自衛権の行使のための立法措置を通じて、平和憲法9条を無力化する手続きも着々と進めている。日本が戦争可能な普通の国になれば、北東アジアで日中の葛藤がさらに深まるのは明白だ。

韓日中関係は北東アジアの平和と安定の核心だ。その中で韓日、日中の葛藤も解消され、北朝鮮核問題の解決の糸口も見えてくる可能性がある。朴槿恵政権が韓日中首脳会談の再開のために努力するのは望ましいが、韓日中3カ国関係の復元のためには何より韓日関係が改善に向かわなければいけない。

光復70年を契機に韓国の外交は変わる必要がある。過去を踏まえて未来に進まなければならない。安倍首相の言葉と行動に一喜一憂し、過去の問題で言い合う偏狭な争いはもうやめるべきだ。北朝鮮に対しても過去よりも未来に重心を移すことが求められる。韓国は毅然とした文化国家、魅力国家に生まれ変わる第3の開国を通じて、北東アジアの大きな絵を描く主役にならなければならない。我々にはその資格がある。




朝鮮日報:巧妙に植民地支配への謝罪を避けた安倍談話2



 安倍晋三首相が14日、第2次大戦の終戦から70年を決算する談話を発表した。当初、侵略に対する反省はしても謝罪はしないだろう考えられていたのとは異なり、「植民地支配」「侵略」「反省」「謝罪」といった単語は全て含められた。安倍首相は、これまで「(村山談話を)そのまま継承はしない」「侵略の定義は定まっていない」といった発言を繰り返し行ってきた。そうした安倍首相の立場からすると、進展した内容を盛り込んだと見ることができる。



 日本政府は、1995年の村山談話、2005年の小泉談話を通して「植民地支配」と「侵略」について「痛切な反省」と「心からの謝罪」を明確に表明した。しかし安倍首相の場合、村山談話の表現を引用しつつも巧みなやり方で真剣な謝罪を避けようとした痕跡が、談話の各所に現れている。談話では「わが国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました」「こうした歴代内閣の立場は、今後も、揺るぎないものであります」と語られた。あたかも、他人の口を借りて反省・謝罪しているような印象を与える。



 安倍談話が反省・謝罪する対象は、ほとんどが中国・米国に対して行った満州侵略と第2次大戦に関するものだった。植民地支配をめぐっては、むしろ合理化しようとするかのような説明を付け加えた。談話は、当時の国際情勢を長々と説明した。西欧列強による植民地争奪戦がアジアにまで拡大し、日本の危機意識を呼び起こした-というのだ。さらには、1905年の日露戦争の勝利が、アジア・アフリカの人々に勇気を与えたとまで言った。1910年の日本による韓国併合の後、36年間も植民地の抑圧下にあった韓国の立場からみると、心から反省して謝罪したと受け入れることは到底できない内容だ。



 また安倍談話は「戦争の苦痛を嘗め尽くした中国人」「日本軍によって耐え難い苦痛を受けた元捕虜」を挙げて、明示的に謝罪した。「私たちの子や孫、そしてその先の世代の子どもたちに、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」とも言った。その一方、植民地の圧政の中、数多くの人間が拷問で命を落とし、数十万人が強制徴用・強制移住の苦痛を味わった韓国に対しては、一言の言及もなかった。日本の首相の談話は、その時代の国際情勢をみる日本の視点を反映してきた。今回の安倍談話は、日本が対米、対中関係には気を使いつつも、対韓関係には大して重きを置いていないということを示している。



 安倍談話は、慰安婦の強制動員について「慰安婦」という単語は使わなかったが、「戦場の陰には、深く名誉と尊厳を傷つけられた女性たちがいた」と言い、さらに「何の罪もない人々に、計り知れない損害と苦痛を、我が国が与えた事実。(中略)断腸の念を禁じ得ません」と言った。それが本心なら、安倍政権は、すぐさま「名誉と尊厳を傷つけられた」元慰安婦に対して心からの謝罪をすべきだ。



 韓国政府は、今回の談話発表に先駆けて「両国関係の試金石になるだろう」という立場を明らかにしてきた。下半期に韓日関係を本格的に正常化させる、という構想も立てていた。安倍首相は、こうした雰囲気を知りつつも、韓国に対しては少しも自分の考えを譲歩する気がない、ということを示した。



 だからといって、談話一つを理由に日本との関係で全てを断つ、というのは賢明な選択ではない。北東アジア地域は現在、数十年ぶりの勢力転換期を迎えている。韓国は、今回の談話に現れた安倍首相とその内閣の属性を記憶しつつ、間違った歴史認識に立ち向かう国際協調をさらに強化する必要がある。



2015/05/01(金) 「安倍晋三内閣総理大臣がアメリカ議会の上下両院合同会議で日本人で初めて演説したそうなので社説」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 1コ


 を並べてみます。右にはその演説の日本語訳もあげておきます。
 個人的な感想ではアメリカ人のツボを突いて「立って拍手をせざるをえない」演説にしつつ、言いたい放題言いやがったなぁ、という感じではあるんですが。
 各社の思惑が出やすい演説になったんじゃないかなーと思って、いくつか並べてみます。あと、謝罪が謝罪が書いてあったんで、韓国の新聞も最後の方に。


朝日:首相の演説―痛みに寄り添う言葉を

 日本の首相として初めてだった米上下両院合同会議での安倍首相の演説は、戦後の日米和解を強調するものだった。
...注目されていた歴史認識は、よくも悪くも無難な内容だった。...「日本国と国民を代表し、先の戦争に斃(たお)れた米国の人々の魂に深い一礼を捧げます」と語った。

 一方、アジアに対しては「自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではありません」と述べた。...
 「アジア諸国民に苦しみを与えた事実」とは何か、それに首相がどんな思いを抱いているのかは、この演説からは伝わってこなかった。

 もうひとつ残念だったのは、日米同盟を「希望の同盟と呼びましょう」と高らかに訴える一方で、同盟のコストの大きな部分を背負う沖縄への言及がなかったことだ。...国会審議が始まってもいない安保法制の「成就」を約束する前に、沖縄県民への謝意や思いやりを米国民と分かち合おうという気持ちは、わが国の指導者にはなかったのだろうか。

 政治家が未来に向けてビジョンを語るのは大切なことだ。だがそのとき、植民地支配や侵略の被害にあったり、過剰な負担を押しつけられたりしている側の人々に寄り添う姿勢がなければ、説得力は生まれない。

 先のアジア・アフリカ会議とあわせた首相の二つの演説では、歴史認識であつれきを生まないためのレトリックが目についた。戦後70年談話は、それでは通るまい。首相の賢明な判断を期待したい。

産経:首相の米議会演説 語られた青写真支持する234

戦後70年談話も未来志向貫け

 新時代の日米関係のあり方と日本の青写真が存分に語られた。

 安倍晋三首相の米上下両院合同会議での演説の「キーワード」は、「世界の中の日米同盟」と「日本の新しい旗」だ。さきの大戦で相まみえた両国が、固い絆を確認し、世界の平和と安定を支えることを鮮明にしたことを大いに歓迎したい。...
 あくなき軍拡を続け、海洋進出をはかる中国の行動は国際秩序への挑戦だ。首相の発言はこれを念頭に置いていることは明らかだ。...
 大きな約束には「裏付け」も必要だ。首相は、安保法案を夏までに成立させることを表明した。法案が整う前から、他国にそういう約束をすることへの批判が日本国内にあるが、首相は国民の理解を得ながら、断固として信念を貫いてほしい。...
 首相は、日本の国内問題にも言及した。農業、人口問題、女性活用などだ。...
 これらとの関連で、重要なのは、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)だ。...日米両国は、台頭する中国を念頭に貿易・投資ルール作りで結束を強めねばならない。首相だけでなく、オバマ大統領にも指導力と決断力を強く求めたい。...
 今回の演説で、首相がさきの大戦について、謝罪しなかったことへの批判が中国、韓国そして米国内の一部にもある。

 しかし首相は、米国との和解に言及し、「悔悟」という表現を用いたうえで、「痛切な反省を胸に歩みを刻んだ」「アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない」とも述べている。戦後、日本がアジアで実践してきた貢献は、胸を張って語るべきものだ。

 オバマ大統領も記者会見で「日本は数十年にわたって、平和的に歩んできた。過去から教訓を学び、侵略にかかわることもなかった」と称賛した。...
 過去にとらわれるばかりでは決して生産的ではあるまい。

 8月の談話も未来志向を貫き、日本の将来の、より詳細な青写真を示してほしい。

中日:「変えない」という重み 戦後70年 憲法を考える

 憲法は永遠に「不磨の大典」たり得ませんが、これまで変えなかったことにも意味があります。戦後七十年、私たちの憲法は重大な岐路に立っています。

 ワシントンの米下院議事堂に安倍晋三首相の登場を告げる声が響きました。...
 「希望の同盟へ」と題された演説は、英語で四十五分間行われました。出席議員や傍聴者が総立ちで拍手を送る場面も十数回あり、おおむね好意的に受け止められたようです。...
 その中で、首相はこう語っています。

 「アジアの海について、私が言う三つの原則をここで強調させてください。第一に、国家が何か主張するときは、国際法に基づいてなすこと。第二に、武力や威嚇は自己の主張のため用いないこと。そして第三に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること」

 このくだりは、東シナ海や南シナ海で海洋進出の動きを強める中国をけん制したものですが、何かに表現が似てはいませんか。...
 そう、憲法九条第一項です。九条に込められた理念は、今でも国際的に通用する「普遍の価値観」にほかなりません。...
 しかし、この憲法が今、重大な岐路に立っています。

 一つは、政府が昨年七月の閣議決定で憲法解釈を変更し、それまで違憲としていた「集団的自衛権の行使」を認めたことです。...今月中旬には安全保障関連法案を国会に提出します。自衛隊の役割を大幅に拡大し、活動地域も地球規模に広げるものです。「戦争法案」とも呼ばれます。

 もう一つは、憲法改正に向けた動きが大型連休明けに本格化することです。...他条項の改正を九条改正に向けた「アリの一穴」としてはなりません。

 平和憲法をつくり、七十年近く改正しなかった先人の選択の重さを今こそ深く考えるべきではないか。それが戦後七十年の節目を生きる私たちの使命と思うのです。

日経:過去にも言及した米議会演説

 安倍晋三首相が米議会演説で、先の大戦への「痛切な反省」を表明した。過去への言及は、海外にある「日本は歴史の改変を企図している」との懸念を払拭するうえで欠かせない要素だった。...
 硫黄島で戦った米軍人と、玉砕した守備隊の司令官の孫を会場に招いた。演説に盛り込まれた挿話の登場人物が演説に同席し、聴衆に見える形で感動を広げるのは米国では定番のやり方だ。

 首相の姓がリンカーン大統領の名と同じに読めるという話題を枕にして米国の民主主義の伝統をたたえた場面を含め、日米両政府が周到な準備をして臨んだことがうかがえる。

 戦いから和解への歩みを振り返る。日米首脳会談での合意を踏まえ、未来志向の同盟の深化をうたいあげる。日米関係だけでいえばよく練られた演説といってよい。

 残る焦点は、米国が事前に入れるよう求めていた東アジアの緊張緩和につながるようなくだりの書きぶりだった。首相は「侵略」に間接的に触れた先週のバンドン会議演説と同じ手法を選んだ。...
 こうした間接話法には賛否があろう。8月に出す戦後70年談話に向け、日本人の心情に沿い、アジアの人々の気持ちをくみ取った表現をさらに模索してもらいたい。...安倍首相の「痛切な反省」を台なしにする言動は厳に慎まねばならない。

毎日:日米同盟強化 中国けん制に偏らずに2

 日米両国は、戦後70年という歴史の節目でかつての交戦国同士が和解し、「不動の同盟」に発展したことを確認し合った。そのこと自体は意義がある。しかし、同盟を強化する動機が、台頭する中国をけん制することに偏り過ぎてはいけない。...
 米国は国際政治から軍事、経済、文化の各方面でいまだに絶大な力を持った国だ。...そんな米国との関係が日本外交の基軸であることは間違いない。

 しかし、演説で際立ったのは、中国の軍事的拡張や中国中心の経済秩序を日米同盟によって抑止またはけん制しようとする意図だ。

 首相はアジアの海について「三つの原則」を提起した。国際法に基づいて主張すること、自己主張のために武力や威嚇を用いないこと、そして紛争の解決は平和的手段によること、である。

 名指しこそ避けたものの、中国向けに語られたことは明らかだ。環太平洋パートナーシップ協定(TPP)についても「単なる経済的利益を超えた、安全保障上の大きな意義がある」と強調した。...今回の日米同盟強化は、中国をにらんでの打算の産物でもある。しかし、中国の国力は今後も伸びていく。日米中3カ国がアジア太平洋で共存していく長期ビジョンがなければ、日米同盟がかつての旧ソ連向けと同様に、中国封じ込めを主目的にするものになってしまう。...
 演説で看過できないのは、首相が新たな安保法制について「この夏までに成就させます」と、事実上の対米公約に踏み込んだことだ。...まだ法案の閣議決定すらなされていない。...国会をはなはだしく軽視するものだ。野党がいくら抵抗しようとも、強行採決で成立させるという宣言に等しい。

 歴史認識に関しては「先の大戦に対する痛切な反省」を表明した。歴代首相の認識と変わりはないとも語った。...

 演説に先立つ日米首脳会談では、沖縄県宜野湾市にある米軍普天間飛行場の移設問題が話し合われた。...首相は「辺野古移設が唯一の解決策という立場は揺るぎない」と伝えている。

 これは明らかに間違っている。

 日米同盟の中核である在日米軍基地の4分の3が集中する...沖縄から辺野古移設は受け入れられないという明確な意思が繰り返し示されているのに、首相は直視しようとしない。...首相は沖縄とのこじれた関係を解きほぐすために全力を注ぐべきだ。

 その方法とは、辺野古移設の実現がもはや政治的に困難であることを認め、普天間の危険性除去という原点に立ち返って米国との再交渉に臨むことだと私たちは考える。

読売:首相米議会演説 「希望の同盟」へ問われる行動

 かつて戦火を交えた日米両国が和解し、強固な同盟を築き、さらに「希望の同盟」を目指す。

 そんな未来志向のメッセージは、米側に十分伝わったのではないか。...
 首相演説について、米議会では、好意的な反応や前向きの評価が大勢を占めた。
...多くの米国人の心の琴線に触れるような演説内容と、考え抜かれた表現が奏功したと言える。

 今回は、米議会での演説のうえ、日米関係が主要テーマだったためか、首相は「侵略」や「お詫(わ)び」には言及しなかった。

 しかし、今夏に発表される予定の戦後70年談話では、安倍首相の歴史観そのものが問われる。「侵略の定義は定まっていない」という立場のままでいいのか。...
 首相演説は、日米同盟の強化に力点が置かれた。...集団的自衛権の行使を限定容認する安全保障法制を今夏までに整備するとの方針も表明した。

 日本とアジアの平和と安全を確保するうえで欠かせない法制整備を確実に成し遂げたい。

 新しい日米防衛協力の指針(ガイドライン)を踏まえ、自衛隊の海外派遣や安保協力の拡大によって、安倍政権の「積極的平和主義」を具体化することも大切だ。

 首相は演説で、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の早期妥結を呼びかけた。...
 日本が米国と緊密に連携し、政治、経済両面で世界に着実に貢献する。それこそが、「希望の同盟」を実現する道だろう。

北國:首相の米議会演説 未来志向の重要性に理解

 安倍晋三首相が米議会で行った演説は、先の大戦で敵同士だった両国が和解し、親密なパートナーになった歴史を振り返り、戦後日本の平和国家としての歩みと、日米の経済的、地政学的な重要性を指摘する印象深い内容だった。...
 米議会での演説の評価は、一般的にスタンディングオベーション(総立ちでの拍手)の回数で分かるとされる。安倍演説の十数回は、十分高い評価といえ、出席した議員の大多数は「未来志向」の同盟関係の重要性を理解し、支持してくれたのではないか。...
 一方で、中国や韓国は、明確な謝罪の言葉がなかったことに不満を表明し、中国系や韓国系の在米団体から資金援助などの支持を受けている一部米議員も、同じような理由で安倍演説を批判した。

 第2次世界大戦で、日本と激しく戦った当事国が安倍演説を評価しているのに、中国や韓国の批判は残念だ。日本と韓国は戦火を交えたことはなく、中華人民共和国の建国は終戦の4年後である。

 安倍首相は昨年7月、豪州議会で演説している。やはり謝罪の言葉はなかったが、戦争犠牲者を悼み、未来志向の関係強化を訴えた内容は高く評価された。安倍演説が一定の評価を得たことで、「戦後70年談話」の骨格はほぼ固まったとみてよいのではないか。

北海道:首相米議会演説 独り善がりが目に余る

 安倍晋三首相が米上下両院合同会議で演説した。...戦後50年の村山富市首相談話に明記された「植民地支配と侵略」や「心からのお詫(わ)び」に言及しなかった。

 先の大戦への「痛切な反省」こそ表明したが、十分な説得力を持って伝わったとは言い難い。

 集団的自衛権行使を可能にする安全保障関連法案成立を「この夏までに実現する」と言明し、環太平洋連携協定(TPP)を「一緒に成し遂げよう」と呼びかけた。

 いずれも日本国内で賛否が分かれている問題である。

 国民の声を無視し、自身の考えや方針を押し通そうとする首相の独善的な姿勢は目に余る。...
 首相は「(歴史認識に関する)思いは歴代首相と全く変わるものでない」とも述べた。それならばなぜ率直に「侵略」の事実を認め、「お詫び」を表明しないのか。...掲げる「積極的平和主義」...は、自衛隊が国際紛争に幅広く関与する口実になっており、国民の理解を得ているとは言い難い。...安保関連法案の国会提出は今月中旬である。まだ閣議決定さえしていないのに「夏まで」と期限まで区切って成立を約束するのは、国会軽視どころか無視に等しい。

 TPPについて衆参両院の農林水産委員会は、重要5農産物を「聖域」として確保できない場合、脱退も辞さないと決議している。...
 演説で際立ったのは、軍事的拡張や自国に有利な経済秩序樹立を図る中国への強い対抗意識だ。...日米同盟一辺倒では日中の溝は深まるばかりだ。首相に求められるのは、米国だけでなく、成長する中国とも共存していくための大局的な視点である。

沖縄:[首相の米議会演説]国民軽視の危うい追従

...「希望の同盟へ」と題した演説には、二つの特徴がある。一つは、米国に対する、まるで属国のような追従姿勢であり、もう一つは中国に対するむき出しの対抗意識だ。
...集団的自衛権行使を可能とする安保関連法案を「この夏までに、成就させます」と宣言した。...
 いまだ自国で国会提出すらしていない法案を、夏までに成立する、と外国の議会で約束したのである。...
 続くくだりも気になる。首相は、日本がオーストラリアやインドと戦略的な関係を深め、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国や韓国と多面にわたる協力を深める考えを示した。日米同盟を基軸にこれらの国々が加わることで「私たちの地域は格段に安定します」と言い切った。南シナ海などで攻勢を強める中国を念頭に置いているのは明らかだ。...
 安保でも経済でも、中国への対抗心ばかりが前面に表れた。だが、本来まず語るべきは、東アジア全体の望ましい将来像ではなかったか。...
 戦後70年談話とのつながりで注目された歴史認識については、明確さを欠いた。...
 同盟強化のためなら自責の念を強調するが、アジアへの配慮は最低限で構わない、と考えているのであれば、首相の歴史認識は極めて危うい。...
 今回の首相の訪米で浮き彫りになったのは、日米の軍事的な連携を重んじ、強行しようとする政権の姿勢だ。...首相の国会軽視に対し、野党は怒りをもって徹底的に追及すべきだ。

琉球:首相米議会演説 米追従姿勢は本末転倒だ

 米国への追従を誓う言葉を羅列しながら自国民への配慮が見えない。過去の戦争への反省はうかがえず、歴史観の希薄もあらわとなった。本末転倒の内容である。...
 過去の戦争に対する姿勢にも批判が出ている。
...演説の中に「侵略」や謝罪の言葉はなかった。「紛争下、常に傷ついたのは女性でした」と述べたが、「慰安婦」という言葉を使用することは避けた。...中国や韓国のメディアから「謝罪どころか自賛だけ」という批判が上がった。安倍首相はこのような批判を直視すべきだ。
 演説の中で安倍首相は「民主主義」という言葉を多用した。しかし、沖縄での選挙結果に背き、辺野古での新基地建設を強行する安倍政権の姿勢は民主主義とは正反対ではないか。
 米国への追従姿勢に終始し、国民、県民、日本の侵略行為によって傷ついたアジアの人々を置き去りにするような演説であった。歴史に耐え得るとは言い難い。

朝鮮日報:米日新同盟は北東アジアに対立を生んではならない2

 日本の安倍晋三首相が29日(現地時間)、日本の首相としては初めて、米国議会の上下両院合同会議で演説を行った。...この日の安倍首相の演説は、米日両国の新たな蜜月時代の幕開けを宣言したものだといえる。

 また、安倍首相は「戦後の日本は先の大戦に対する痛切な反省を胸に歩みを刻んだ」との表現を用い、米国との開戦に踏み切ったことについて謝罪した。だが、日本がアジアで引き起こした侵略戦争については「アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない」と短く...最も大きな被害を与えたアジア諸国に対しては「謝罪」や「反省」という言葉を最後まで口にしなかった。

 安倍首相がこのような演説を行うことはある程度予想されていたことだ。...このような政治指導者を相手にしなければならないというのは、今日の韓国に与えられた宿命であり不幸だ。

 だが、韓国の外交が今後直面するもっと重要な課題は、今回の安倍首相の訪米を通じて形成された米日両国の新たな同盟関係にどう対処していくかということだ。...
 オバマ大統領はこのような米日同盟の強化が、中国を包囲し孤立させるためのものではないと主張した。だが、米国が今回、70年間残っていた日本に対する「戦犯国家」という烙印を消し、安倍首相に最高級のもてなしをしたことは、日本を通じて中国をけん制しようという戦略を反映したものといえる。韓国にとって望ましくないのは、米日両国と中国の覇権争いの構図が、韓半島(朝鮮半島)を間に置いたまま形成されているということだ。今回の安倍首相の訪米が、韓国外交に投げかけた最大の宿題がまさのこの問題だ。朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は今年夏ごろに米国を訪問する予定だ。これは韓米同盟を強化できる絶好の機会となる。一方、韓中関係もまたおろそかにしてはならない。韓国外交が過去2年余りの無能と無気力から脱却し、国家の生き残りのための戦略を掲げ、これを行動に移していくべき時だ。

中央日報:歴史的な機会を逃した安倍首相の米議会演説

安倍晋三首相は歴史的な機会を逃した。アジア諸国との不幸な過去を整理し、未来に進むことができる絶好のチャンスを失った。...終戦70年を迎えて周辺のアジア諸国と和解できる機会を自ら蹴った格好だ。
...米議会でする演説であるだけに両国関係に焦点を合わせるのが当然かもしれないが、それでも終戦70年に米上下院でする初めての演説であるだけに、より大きな意味を込めるものと期待した。...
しかし安倍首相は...簡単に言及した。...侵略と植民地支配という表現もなく、お詫びという表現もなかった。慰安婦問題には全く触れなかった。日本との戦争で犠牲になった米国人に対しては最大限の礼を尽くして哀悼を表しながらも、日本のために犠牲になった隣国の人々に対する哀悼はなかった。
...過去のない未来はない。8月15日に発表される終戦70年談話までこのような状況が続けば、どうやって日本と共同の未来を図るのか。韓国の外交の大きな宿題だ。

ハンギョレ:米日の“新蜜月’を警戒する

 米国と日本の関係が新たな蜜月時代を迎えている。29日(米国時間)まで3日間続いた外交・国防長官会談、首脳会談、安倍晋三日本首相の米上下両院合同演説は、米日同盟の強化を確認する舞台となった。東アジアはもちろん世界の情勢に相当な影響を及ぼす変化だ。分断国として超大国の間に位置した我が国(韓国)では、肯定的な側面より否定的な問題が先に起きる。私たちの外交と国家進路に対する総合的な点検が必要な状況にある。

 まず、東アジアの国々に大きな苦痛を与えた日本帝国主義の過去の問題が薄められている。...安倍首相の演説内容を肯定的に評価した米国政府も問題だ。米国は日本との同盟強化に埋没し、歴史の定義を破っているという批判は避け難い。
...こうした形の米日同盟強化は、日本の軍事大国化と平和憲法の廃棄をもたらし、アジアで対決構図を深化させることは明らかだ。両国は同盟強化の主な目的が対中国牽制にあることを隠そうとしない。...特に南シナ海で葛藤が大きくなることを予告する。

 米日の新蜜月は、北朝鮮核問題をはじめとする朝鮮半島関連事案を解決させるのに否定的な影響を与える可能性が高い。...米国は北朝鮮の脅威を口実に韓米日三国軍事協力のレベルを高めようとする。韓米および米日の軍事一体化を超え、韓米日軍事一体化を成し遂げるのが米国の意図だ。...こうした動きは朝鮮半島関連事案の解決を難しくし、我が国が主導力を発揮できる余地を狭めるだろう。

 米日の新蜜月は我が国に新たな戦略と決断を要求する。最善の選択は、日本に歴史認識問題の解決を誘導し、北朝鮮の核など朝鮮半島関連事案を進展させ、東アジアの平和・協力構図を作っていくことだ。...6月に予定された朴槿恵大統領の訪米にも慎重な再検討が要求される。


米国連邦議会上下両院合同会議における安倍内閣総理大臣演説

 議長、副大統領、上院議員、下院議員の皆様、ゲストと、すべての皆様、
 1957年6月、日本の総理大臣としてこの演台に立った私の祖父、岸信介は、次のように述べて演説を始めました。
 「日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信しているからであります」。
 以来58年、このたびは上下両院合同会議に日本国総理として初めてお話する機会を与えられましたことを、光栄に存じます。お招きに、感謝申し上げます。
 申し上げたいことはたくさんあります。でも、「フィリバスター」をする意図、能力ともに、ありません。
 皆様を前にして胸中を去来しますのは、日本が大使としてお迎えした偉大な議会人のお名前です。
 マイク・マンスフィールド、ウォルター・モンデール、トム・フォーリー、そしてハワード・ベイカー。
 民主主義の輝くチャンピオンを大使として送って下さいましたことを、日本国民を代表して、感謝申し上げます。
 キャロライン・ケネディ大使も、米国民主主義の伝統を体現する方です。大使の活躍に、感謝申し上げます。
 私ども、残念に思いますのは、ダニエル・イノウエ上院議員がこの場においでにならないことです。日系アメリカ人の栄誉とその達成を、一身に象徴された方でした。

 私個人とアメリカとの出会いは、カリフォルニアで過ごした学生時代にさかのぼります。
 家に住まわせてくれたのは、キャサリン・デル-フランシア夫人。寡婦でした。亡くした夫のことを、いつもこう言いました、「ゲイリー・クーパーより男前だったのよ」と。心から信じていたようです。
 ギャラリーに、私の妻、昭恵がいます。彼女が日頃、私のことをどう言っているのかはあえて聞かないことにします。
 デル-フランシア夫人のイタリア料理は、世界一。彼女の明るさと親切は、たくさんの人をひきつけました。その人たちがなんと多様なこと。「アメリカは、すごい国だ」。驚いたものです。
 のち、鉄鋼メーカーに就職した私は、ニューヨーク勤務の機会を与えられました。
 上下関係にとらわれない実力主義。地位や長幼の差に関わりなく意見を戦わせ、正しい見方なら躊躇なく採用する。
 この文化に毒されたのか、やがて政治家になったら、先輩大物議員たちに、アベは生意気だと随分言われました。

 私の苗字ですが、「エイブ」ではありません。アメリカの方に時たまそう呼ばれると、悪い気はしません。民主政治の基礎を、日本人は、近代化を始めてこのかた、ゲティスバーグ演説の有名な一節に求めてきたからです。
 農民大工の息子が大統領になれる、そういう国があることは、19世紀後半の日本を、民主主義に開眼させました。
 日本にとって、アメリカとの出会いとは、すなわち民主主義との遭遇でした。出会いは150年以上前にさかのぼり、年季を経ています。

 先刻私は、第二次大戦メモリアルを訪れました。神殿を思わせる、静謐な場所でした。耳朶を打つのは、噴水の、水の砕ける音ばかり。
 一角にフリーダム・ウォールというものがあって、壁面には金色の、4000個を超す星が埋め込まれている。
 その星一つ、ひとつが、斃れた兵士100人分の命を表すと聞いたとき、私を戦慄が襲いました。
 金色(こんじき)の星は、自由を守った代償として、誇りのシンボルに違いありません。しかしそこには、さもなければ幸福な人生を送っただろうアメリカの若者の、痛み、悲しみが宿っている。家族への愛も。
 真珠湾、バターン・コレヒドール、珊瑚海、メモリアルに刻まれた戦場の名が心をよぎり、私はアメリカの若者の、失われた夢、未来を思いました。
 歴史とは実に取り返しのつかない、苛烈なものです。私は深い悔悟を胸に、しばしその場に立って、黙祷を捧げました。
 親愛なる、友人の皆さん、日本国と、日本国民を代表し、先の戦争に斃れた米国の人々の魂に、深い一礼を捧げます。とこしえの、哀悼を捧げます。

 みなさま、いまギャラリーに、ローレンス・スノーデン海兵隊中将がお座りです。70年前の2月、23歳の海兵隊大尉として中隊を率い、硫黄島に上陸した方です。
 近年、中将は、硫黄島で開く日米合同の慰霊祭にしばしば参加してこられました。こう、仰っています。
 「硫黄島には、勝利を祝うため行ったのではない、行っているのでもない。その厳かなる目的は、双方の戦死者を追悼し、栄誉を称えることだ」。
 もうおひとかた、中将の隣にいるのは、新藤義孝国会議員。かつて私の内閣で閣僚を務めた方ですが、この方のお祖父さんこそ、勇猛がいまに伝わる栗林忠道大将・硫黄島守備隊司令官でした。
 これを歴史の奇跡と呼ばずして、何をそう呼ぶべきでしょう。
 熾烈に戦い合った敵は、心の紐帯が結ぶ友になりました。スノーデン中将、和解の努力を尊く思います。ほんとうに、ありがとうございました。

 戦後の日本は、先の大戦に対する痛切な反省を胸に、歩みを刻みました。自らの行いが、アジア諸国民に苦しみを与えた事実から目をそむけてはならない。これらの点についての思いは、歴代総理と全く変わるものではありません。
 アジアの発展にどこまでも寄与し、地域の平和と、繁栄のため、力を惜しんではならない。自らに言い聞かせ、歩んできました。この歩みを、私は、誇りに思います。
 焦土と化した日本に、子ども達の飲むミルク、身につけるセーターが、毎月毎月、米国の市民から届きました。山羊も、2,036頭、やってきました。
 米国が自らの市場を開け放ち、世界経済に自由を求めて育てた戦後経済システムによって、最も早くから、最大の便益を得たのは、日本です。
 下って1980年代以降、韓国が、台湾が、ASEAN諸国が、やがて中国が勃興します。今度は日本も、資本と、技術を献身的に注ぎ、彼らの成長を支えました。一方米国で、日本は外国勢として2位、英国に次ぐ数の雇用を作り出しました。

 こうして米国が、次いで日本が育てたものは、繁栄です。そして繁栄こそは、平和の苗床です。
 日本と米国がリードし、生い立ちの異なるアジア太平洋諸国に、いかなる国の恣意的な思惑にも左右されない、フェアで、ダイナミックで、持続可能な市場をつくりあげなければなりません。
 太平洋の市場では、知的財産がフリーライドされてはなりません。過酷な労働や、環境への負荷も見逃すわけにはいかない。
 許さずしてこそ、自由、民主主義、法の支配、私たちが奉じる共通の価値を、世界に広め、根づかせていくことができます。
 その営為こそが、TPPにほかなりません。
 しかもTPPには、単なる経済的利益を超えた、長期的な、安全保障上の大きな意義があることを、忘れてはなりません。
 経済規模で、世界の4割、貿易量で、世界の3分の1を占める一円に、私達の子や、孫のために、永続的な「平和と繁栄の地域」をつくりあげていかなければなりません。
 日米間の交渉は、出口がすぐそこに見えています。米国と、日本のリーダーシップで、TPPを一緒に成し遂げましょう。

 実は、いまだから言えることがあります。
 20年以上前、GATT農業分野交渉の頃です。血気盛んな若手議員だった私は、農業の開放に反対の立場をとり、農家の代表と一緒に、国会前で抗議活動をしました。
 ところがこの20年、日本の農業は衰えました。農民の平均年齢は10歳上がり、いまや66歳を超えました。
 日本の農業は、岐路にある。生き残るには、いま、変わらなければなりません。
 私たちは、長年続いた農業政策の大改革に立ち向かっています。60年も変わらずにきた農業協同組合の仕組みを、抜本的に改めます。
 世界標準に則って、コーポレート・ガバナンスを強めました。医療・エネルギーなどの分野で、岩盤のように固い規制を、私自身が槍の穂先となりこじあけてきました。
 人口減少を反転させるには、何でもやるつもりです。女性に力をつけ、もっと活躍してもらうため、古くからの慣習を改めようとしています。
 日本はいま、「クォンタム・リープ(量子的飛躍)」のさなかにあります。
 親愛なる、上院、下院議員の皆様、どうぞ、日本へ来て、改革の精神と速度を取り戻した新しい日本を見てください。
 日本は、どんな改革からも逃げません。ただ前だけを見て構造改革を進める。この道のほか、道なし。確信しています。

 親愛なる、同僚の皆様、戦後世界の平和と安全は、アメリカのリーダーシップなくして、ありえませんでした。
 省みて私が心から良かったと思うのは、かつての日本が、明確な道を選んだことです。その道こそは、冒頭、祖父の言葉にあったとおり、米国と組み、西側世界の一員となる選択にほかなりませんでした。
 日本は、米国、そして志を共にする民主主義諸国とともに、最後には冷戦に勝利しました。
 この道が、日本を成長させ、繁栄させました。そして今も、この道しかありません。

 私たちは、アジア太平洋地域の平和と安全のため、米国の「リバランス」を支持します。徹頭徹尾支持するということを、ここに明言します。
 日本は豪州、インドと、戦略的な関係を深めました。ASEANの国々や韓国と、多面にわたる協力を深めていきます。
 日米同盟を基軸とし、これらの仲間が加わると、私たちの地域は格段に安定します。
 日本は、将来における戦略的拠点の一つとして期待されるグアム基地整備事業に、28億ドルまで資金協力を実施します。
 アジアの海について、私がいう3つの原則をここで強調させてください。
 第一に、国家が何か主張をするときは、国際法にもとづいてなすこと。第二に、武力や威嚇は、自己の主張のため用いないこと。そして第三に、紛争の解決は、あくまで平和的手段によること。
 太平洋から、インド洋にかけての広い海を、自由で、法の支配が貫徹する平和の海にしなければなりません。
 そのためにこそ、日米同盟を強くしなくてはなりません。私達には、その責任があります。
 日本はいま、安保法制の充実に取り組んでいます。実現のあかつき、日本は、危機の程度に応じ、切れ目のない対応が、はるかによくできるようになります。
 この法整備によって、自衛隊と米軍の協力関係は強化され、日米同盟は、より一層堅固になります。それは地域の平和のため、確かな抑止力をもたらすでしょう。
 戦後、初めての大改革です。この夏までに、成就させます。
 ここで皆様にご報告したいことがあります。一昨日、ケリー国務長官、カーター国防長官は、私たちの岸田外相、中谷防衛相と会って、協議をしました。
 いま申し上げた法整備を前提として、日米がそのもてる力をよく合わせられるようにする仕組みができました。一層確実な平和を築くのに必要な枠組みです。
 それこそが、日米防衛協力の新しいガイドラインにほかなりません。昨日、オバマ大統領と私は、その意義について、互いに認め合いました。皆様、私たちは、真に歴史的な文書に、合意をしたのです。

 1990年代初め、日本の自衛隊は、ペルシャ湾で機雷の掃海に当たりました。後、インド洋では、テロリストや武器の流れを断つ洋上作戦を、10年にわたって支援しました。
 その間、5万人にのぼる自衛隊員が、人道支援や平和維持活動に従事しました。カンボジア、ゴラン高原、イラク、ハイチや南スーダンといった国や、地域においてです。
 これら実績をもとに、日本は、世界の平和と安定のため、これまで以上に責任を果たしていく。そう決意しています。そのために必要な法案の成立を、この夏までに、必ず実現します。
 国家安全保障に加え、人間の安全保障を確かにしなくてはならないというのが、日本の不動の信念です。
 人間一人ひとりに、教育の機会を保障し、医療を提供し、自立する機会を与えなければなりません。紛争下、常に傷ついたのは、女性でした。わたしたちの時代にこそ、女性の人権が侵されない世の中を実現しなくてはいけません。
 自衛隊員が積み重ねてきた実績と、援助関係者たちがたゆまず続けた努力と、その両方の蓄積は、いまやわたしたちに、新しい自己像を与えてくれました。
 いまや私たちが掲げるバナーは、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」という旗です。
 繰り返しましょう、「国際協調主義にもとづく、積極的平和主義」こそは、日本の将来を導く旗印となります。
 テロリズム、感染症、自然災害や、気候変動。日米同盟は、これら新たな問題に対し、ともに立ち向かう時代を迎えました。
 日米同盟は、米国史全体の、4分の1以上に及ぶ期間続いた堅牢さを備え、深い信頼と、友情に結ばれた同盟です。
 自由世界第一、第二の民主主義大国を結ぶ同盟に、この先とも、新たな理由付けは全く無用です。それは常に、法の支配、人権、そして自由を尊ぶ、価値観を共にする結びつきです。

 まだ高校生だったとき、ラジオから流れてきたキャロル・キングの曲に、私は心を揺さぶられました。
 「落ち込んだ時、困った時、目を閉じて、私を思って。私は行く。あなたのもとに。たとえそれが、あなたにとっていちばん暗い、そんな夜でも、明るくするために」。
 2011年3月11日、日本に、いちばん暗い夜がきました。日本の東北地方を、地震と津波、原発の事故が襲ったのです。
 そして、そのときでした。米軍は、未曾有の規模で救難作戦を展開してくれました。本当にたくさんの米国人の皆さんが、東北の子供たちに、支援の手を差し伸べてくれました。
 私たちには、トモダチがいました。
 被災した人々と、一緒に涙を流してくれた。そしてなにものにもかえられない、大切なものを与えてくれた。
 希望、です。
 米国が世界に与える最良の資産、それは、昔も、今も、将来も、希望であった、希望である、希望でなくてはなりません。
 米国国民を代表する皆様。私たちの同盟を、「希望の同盟」と呼びましょう。アメリカと日本、力を合わせ、世界をもっとはるかに良い場所にしていこうではありませんか。
 希望の同盟。一緒でなら、きっとできます。
 ありがとうございました。


 まぁ、沖縄の新聞と韓国がてんやわんやになってる感じですかね。
 沖縄は集団的自衛権の辺り、つまりは米軍基地関連で。韓国はアメリカ辺りと連携して日本に謝罪と賠償を求めていきたかっただろうから。今回の一件でその路線が大コケしたと見てよさそうなので。
 で、韓国人のプライドをくすぐりながら、こうしてくれんかとお願いする傾向のある朝鮮日報は鮮于鉦のコラムをノーカットで。

【コラム】なぜ米国は日本に過去を問わなかったのか2

安倍首相が紹介した「和解の象徴」は戦争犯罪を否定する靖国参拝の極右派だった
彼に向けた米議会の拍手は過去にこだわる韓国に冷水を浴びせた


 安倍首相の行動は冒険のように見えた。先月29日の米上下両院合同会議演説中、傍聴席に座っていた日本の右派政治家・新藤義孝議員(前総務大臣、57)を米国の退役軍人と並ばせ、立ち上がらせたことだ。安倍首相は新藤氏を「日米和解の象徴」だと言った。新藤氏の祖父は第二次世界大戦時、この米国の退役軍人と同じ戦場で戦ったため、2人の対面は奇跡だというのだ。新藤氏は2011年に「竹島(独島の日本側呼称)に行く」と言って金浦空港で足止めを食ったことで注目を浴びた人物だ。安倍首相の極右系腹心を代表する人物で、靖国神社参拝も欠かさない。靖国神社が日本の米国に対する戦争責任を正面から否定する施設だということは誰もが知っていることだ。

 安倍首相が立った演壇は74年前の米国大統領が日本に対し宣戦布告した所だった。この場所で安倍首相は大声で叫ぶように「歴史の奇跡」だとして極右議員を立ち上がらせた。この議員が元米兵と握手した時、米上下両院の議員たちは一斉に総立ちとなり、拍手を送った。この時、誰かが新藤氏の前歴を取りざたして抗議したとしたら、安倍首相の訪米はその成果とは関係なく大恥をかいて終わったかもしれなかった。それでも安倍首相は思い切って新藤氏を立たせた。なぜだろうか? それは自身に対する米政界の関心が「過去」にないことを見抜いていたからだ。

 韓国政府はどう思ったのだろうか。安倍首相の訪米直前、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領が南米で「(過去や歴史認識問題に対する)誠意ある行動」を日本に要求した。米議会演説の前日には外交部(省に相当)の尹炳世(ユン・ビョンセ)長官が「歴史認識問題と関連、世界の目が安倍首相に注がれている。安倍首相がドイツのように過去をきれいに断ち切る『黄金の機会』を逃さないよう強く求める」と述べた。韓国の当局者が安倍首相の誠意を信じてこうした言葉を発したとは思わない。信じていたのはむしろ米国の誠意ではなかっただろうか。米政府と議会が誠意に基づき安倍首相に圧力を加えるというシナリオを思い描いていたのかもしれない。

 ところが、日米両国が発表した声明には、歴史認識問題に関する話が1行もなかった。首脳会談直後の記者会見も同様だった。オバマ大統領は一言も過去の問題を口にしなかった。米国人記者がぶつけた従軍慰安婦関連の質問に、安倍首相がオウムのように繰り返した答弁が歴史問題に関するすべてだった。あの時の安倍首相のうんざりした顔を見れば、その胸に歴史問題がどのような形で存在しているのか大体分かる。しかも、答えが書いてあった紙はワシントンの強風に飛ばされ、爪の垢ほどの誠意すら決まり悪そうな笑いと共に消えてしまった。

 尹長官は、日本に過去の問題をスッキリと解決する「黄金の機会」を逃すなと警告した。しかし、日本は自国の軍事力を世界に拡大する「黄金の機会」を逃さなかった。米国も日本の軍事力を引き込んで中国の「海上の万里の長城」をけん制する「黄金の機会」をつかんだ。「過去の反省」要求が「不動の同盟国」という形になって戻ってきたのだ。その結果が日中の北東アジア軍備競争につながるかもしれないということぐらいは中学生でも分かる。それでも、韓国外交部が出したコメントは「誠意ある謝罪がなかったのは遺憾だ」と、歴史認識問題に関するものだけだ。未来を語る日米に向かって、韓国はしつこく過去を語ろうとしている。

 韓国政府は依然、米国をテコにすれば安倍首相の歴史観を変えられると期待しているようだ。「日本の首相が米国で韓国(慰安婦)に謝罪しなかった」と嘆く不自然な現実の根底には、そう信じる気持ちがある。もちろん、米国は今も世界の中心であり、強力なテコだ。米国を通じて日本を動かすこともできる。だが、それには米国に対する韓国の「品ぞろえ」が少なくとも日本並みでなければならない。日本は中国主導のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)への参加を保留した。日本は米国の対中戦線に重要なパートナーとして加わった。韓国にこれができるだろうか。こうすることが韓国の国益になるだろうか。自分がどっちつかずなのに米国に日本への圧力を求めるのは、米兵に向かって「ギブ・ミー・チョコレート」と叫んだ半世紀前の子どもと変わらない。

 自分の利益と一致しなければ、200年前の歴史問題でも暴き出すのが米国だ。逆に、自分の利益と合えば靖国神社を参拝する極右に拍手喝采するのも米国だ。大統領が言う「誠意」がこのように冷たい世界でどれだけ理解されると思っているのか。元慰安婦の弱々しい声が日米同盟のすき間にどれだけ食い込めると思っているのか。韓国外交もそろそろ大人になってほしい。

国際部=鮮于鉦(ソンウ・ジョン)部長


 「韓国人向けである」ので、"硫黄島の防衛側の司令官である栗林大将の孫"とは書かなかったり、靖国の位置づけを強調したり、"栗林大将の孫と攻撃側の大尉を握手させた事"が「日米和解の象徴」なんだけど"極右の議員が~"としてたりとか、まぁ、いくつか誤解なのか演出なのかそういった所があるんですが。
 「アメリカは"韓国がアメリカの利益になる"と思わんと拍手もしてくれないんだよ」「韓国が言う過去がアメリカにロクな利益を生んでないんだよ」「別の手考えろよ」みたいな感じの、伝えたいことに繋いでる感じですね。
 ハンギョレ社説の最後にある「最善の選択」と並べると、外交で失敗したって相当感じたんだろうなぁ……と思うのであります。
 アメリカの議会で「ごめんなさい」して拍手喝采された安倍晋三見てウェーイとか喜ぼうと思ったら、安倍晋三はほっとんど言及しないわ、そんな演説にスタンディングオベーションが何度もあるわ、反対言うのはいつもの数名の議員だけだわ、アメリカのマスメディアもそこまで大きく騒いで無さそうだわ。
 この状態で、例えば韓国で日韓首脳会談だの、韓国議会で演説してもらうだのしたって、若干のファンサービス的コメントが入るかも知れないけど、相当日本の言い分飲まされそうだものね。過酷だねぇ。

 とまぁ、そんな感じで。
 8月15日の戦後70年談話が最後の山になりそうですが、そこで安倍晋三がどこまで踏み込むというか振り抜くかですね。
 とはいっても基本的に村山談話から大きく逸脱するとは思わないんですが……でも、時折予想外のことをぶち上げるからなぁ。あの人達……。

2014/12/15(月) 「衆院選総選挙で与党が圧勝しましたのでね」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 1コ

 社説も負け惜しみだったり叱咤激励だったりで。まぁ、どうぞ。

朝日:自公大勝で政権継続―分断を埋める「この道」に

 安倍首相にとっては思い通りの、いや、それ以上の勝利だったに違いない。...
 ただし、それは決して「何でもできる」力を得たことにはならない。憲法に基づく民主主義は、選挙の勝利によって生まれた政権に全権を委任するものではない。...
 「この道しかない」

 安倍首相が繰り返したこのフレーズは、様々な意味で今回の選挙を象徴していた。...
 消費税率再引き上げを先送りしての解散・総選挙。「社会保障と税の一体改革」3党合意の当事者だった民主党も、首相の表明前からこの判断を受け入れ、争点にはならなかった。...
 この選挙を考える上でさらに重要だったのは、野党第1党の民主党が定数の半分も候補者を立てられなかったことだ。...
 争点を巧みにぼかし、野党の準備不足を突いた電撃解散。安倍氏の選挙戦略は、有権者を自民勝利への「この道」に導く極めて周到なものだった。

 そうした条件のもとで勝利を得た安倍首相は何をすべきか。過去2年の政策がみな信任され、いっそうのフリーハンドで政策を進められると考えたとしたら、間違いだ。...
 安倍政権は、まずは首相が約束した景気回復を確かにし、その果実を国民に適切に分配して格差是正に努めるべきだ。

 この2年の経済政策で株価は上がり、求人倍率も賃金も上がったとのデータはある。ただし、首相自身認めるように、その恩恵が国民にあまねく行き渡っているとは言えない。...富はやがて社会全体に滴り落ちるという「トリクルダウン」を悠長に待つのではなく、抜本的な底上げ策が急務だ。

 次に取り組むべきは、分断された国民の統合である。

 特定秘密保護法や集団的自衛権、原発再稼働などをめぐり、安倍政権はいくつもの分断線を社会に引いた。特にねじれを解消した昨夏の参院選後、その動きはペースを上げた。

 自民党が得た議席数は死票の多い小選挙区制の特性も一因だ。その自覚を欠いたまま、憲法改正のような国民の意見が割れる政策を強引に進めれば、溝は深くなるばかりだ。...
 株価を上げ、円安誘導を図る安倍政権への政治献金が、その恩恵を受ける大企業からを中心に去年は4割も増えた事実を思い起こそう。ここで市井の有権者が声を上げなければ、格差はますます拡大し、社会の分断線はさらに増えかねない。

 自分の立場を嘆き、分断線の内側にこもって不満を言い募るだけでは、社会も政治も変わることはない。

 日本より大きな格差社会である米国のありように警鐘を鳴らす元米労働長官のロバート・ライシュ・カリフォルニア大教授は、近著「格差と民主主義」で次のように説いている。

 政治を中間層に振り返らせ、格差を減らしていく。その具体的政策に取り組むよう、一人ひとりが当選した政治家に働きかけていくべきだと。そしてこう呼びかけるのだ。

 「投票日の翌日こそが、本当の始まりである」


産経:自公圧勝 安倍路線継続への支持だ 規制緩和と再稼働で成長促せ2345

 「強い日本」を取り戻す路線を継続、加速することに国民は強い支持を与えた。

 第47回衆院選は与党の自民、公明両党が3分の2の議席を維持する圧勝を収めた。野党側は民主党の海江田万里代表が落選するなど存在感を示せず、「1強多弱」の状況を打開できなかった。...
 政権基盤を安定的なものとした安倍首相に求められるのは、...「この道しかない」と訴えたアベノミクスについて、今度こそ具体的成果を上げること...デフレ脱却を確かなものとし、...継続的な賃上げを行うにも、その原資となる企業収益を安定的に伸ばすことが必要となる。

 法人税減税や規制緩和を具体化し、企業活動を後押ししてもらいたい。...円安に悩む中小企業に対する経営支援はもとより、最低賃金の引き上げにつながる事業環境の整備も急ぐ必要がある。

 経済再生には、低廉で安定した電力の供給が不可欠だ。首相はその責任を果たすと選挙中に語った。安全性が確認された原発の再稼働を円滑に進めるべきだ。

 成長戦略の柱の一つと位置付けている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉についても、膠着(こうちゃく)状態の打開へ首相の強い指導力が求められる。
...今後は、自公両党が憲法改正にどう臨むかが問われよう。...国民的議論を盛り上げてほしい。改正案発議には参院でも3分の2が必要だ。憲法改正をめぐる与党協議にも着手すべきだ。...
 尖閣諸島をねらい、国際ルールを無視した海洋進出を図る中国の台頭など、厳しさを増す安全保障環境に備えることが急務だ。

 それには日米同盟の抑止力強化が欠かせない。集団的自衛権の限定行使を実際に可能にする安全保障関連法制を来年の通常国会で確実に成立させてほしい。
...政権交代を掲げず、過半数に届かぬ候補者しか擁立できなかった民主党の責任は重い。

 維新も第三極勢力として踏みとどまったものの、存在感の低下は否めない。...具体的な代替案を示して有権者の心をつかむことができなかった。これでは自公連立政権の受け皿と認知されるのは難しい。...
 民主党は「分厚い中間層の再生」を掲げたものの、政策の肉付けを図れなかった。生活者重視の看板を掲げても、現実的な道筋を示さずに戦う限界を露呈した。

 国益を守る現実的な外交・安全保障政策を持ちながら、与党とは異なる日本の再生策をまとめられる勢力の存在が不可欠だ。健全な民主主義のため、国家像を論じあえる受け皿の構築が急務だ。


中日:「声なき声」に謙虚たれ 安倍政権継続へ

 衆院選結果を受けて安倍内閣は継続するが、懸案は山積だ。選挙結果には表れない「声なき声」にも謙虚に耳を傾け、政権運営に誤りなきを期すべきだ。...その足元は、強固とは言い難い。

 投票率は史上最低の52%台にとどまる見通しだ。与党の得票率が40%程度だとしても、全有権者数に占める得票数の割合「絶対的得票率」は30%にも満たない。

 それが選挙制度だと言ってしまえば、それまでだが、安倍政権の側はまず、全有権者の三割に満たない支持しか得られていないことを自覚しなければならない。

 有権者の側も、政権への支持が全有権者の三割に満たなくても、憲法改正を発議できる議席を与えてしまう事実に、もっと関心を払う必要があるだろう。...一票を投じても政治は変わらないという諦めが有権者側にあったのなら見過ごせない。

 序盤から終盤まで一貫して、自民党の優勢が伝えられた。あくまで調査に基づく選挙情勢の報道ではあるが、有権者に先入観を与えることはなかったか。報道の側にも自戒が必要だろう。

 首相は選挙結果を安倍政権の信任と受け止め、政策遂行や政権運営の推進力とするに違いない。...首相は衆院選で集団的自衛権の行使容認も支持されたとして、安全保障関連の法整備を進める方針を明言した。...
 公示直前の共同通信世論調査では、安倍政権の安保政策を支持しない人は53%に達する。このまま進めていいわけがない。

 原発再稼働も同様だ。...
 安倍首相の祖父である岸信介首相は一九五八(昭和三十三)年、国会でこう述べている。

 「最後の審判は選挙で決まりますが、世論の動向、国民の意向には絶えず十分に耳を傾け、『声なき声』にまで耳を傾けて誤りなきを期することは、政権を担当しているわれわれが、かねがね考えていることであり、考えていかなければならぬと思います」

 選挙結果に傲(おご)ることなく、野党はもちろん、選挙結果に表れない国民の声にも耳を傾けねばならない。「一強」であればなおさら、胸に刻むべき政治の要諦である。



日経:「多弱」による勝利に慢心は許されぬ

 第47回衆院選は自民、公明両党が320を上回る議席を獲得、引き続き定数の3分の2を超えて、与党で圧倒的な勢力を確保することになった。

 野党では民主党が議席をやや回復、共産党が躍進したものの、自民党1強と野党多弱の構図には変化のない選挙に終わった。...
 与党の勝因の第1は、4年の衆院任期の折り返し地点にも達しない段階での抜き打ち的な解散で野党の選挙準備ができていなかったことがあげられる。...
 第2に反自民の受け皿がなかったことがある。野党第1党の民主党については政権を担当した3年3カ月の統治の混乱ぶりへの有権者の怒りがなお収まっておらず、自民党に代わって政権を任せようとの信頼回復には至っていない。

 前回の衆院選では比例票が民主党を上回り第2党になった日本維新の会や、みんなの党といった第三極に関しても、この間の党の分裂・解党劇などを通じて有権者の支持をつなぎとめることができなかった。

 与党の勝利は自らの実力というより、むしろ野党の敵失によるところが大きい。

 選挙戦術で巧みだったのは、解散の大義名分だった消費再増税の延期には各党間で大きな差異がないのを踏まえ、争点をアベノミクスにしぼり込んだことだ。これが第3の勝因である。...
 アベノミクス選挙と規定し、それに勝利したわけで、確かにアベノミクスを進めることへの信任は得たといえるだろう。しかし忘れてはならないのは、野党が体をなしていない中での選挙だったということだ。

 棄権した有権者の中には自民党に批判票を投じようにも、適当な政党や候補者がいなかった向きがあるに違いない。

 安倍自民党は決してこの勝利におごってはならない。アベノミクスへの将来期待はそれが実績となり有権者にもたらされてはじめて評価されることを肝に銘じておく必要がある。...期待だけなら、それは必ずや失望に変わる。...民主党と同じような展開にならないという保証はどこにもない。...
 野党の出直しは、より切迫している。はたして民主党は今のままで再建できるのだろうか。維新の党も含めリベラル勢力を結集して、自公の対抗軸をつくることを本気で検討すべきだ。

 もし16年夏の参院選までに反自民の受け皿ができていなければ、投票率がもっと下がり政党政治そのものが重大な岐路に立つ事態になりかねない。


北國:衆院選で与党圧勝 「北陸版アベノミクス」を魚拓

 大方の予想通り、与党が圧勝し、安倍政権が信任された。...野党の準備不足と戦後最低の低投票率という事情を割り引いても、国民の多くは安倍政権の2年間に合格点を与え、経済政策「アベノミクス」の継続を支持した。どの党にも有利な風が吹かず、党の本当の実力、力量が試された選挙で、与党にこれほどの支持が集まった理由は何だったのか。
 直近の世論調査によれば、アベノミクスを評価する国民は37・1%で、51・8%は「評価しない」だった。...与党が言うほど、自分たちの生活は楽になったという実感がないからだろう。

 それでも投票所に足を運んだ有権者の多くは、与党に票を投じた。半信半疑ながらもアベノミクスの成功に望みをかけ、経済再生の夢を託したのではなかったか。...ほかに、現実的な選択肢がなかったからともいえる。

 これから安倍晋三首相が性根を据えてやるべきことは、はっきりしている。公約通り、政権の命運を賭けてアベノミクスを成功に導き、経済に好循環を生むことだ。...

 リーマン・ショック後の景気低迷を金融の大幅緩和で乗り切った米国は、景気回復が確認されるまで6年かかっている。アベノミクスの真価が問われるのはこれからであり、第3の矢となる成長戦略を真剣かつ大胆に押し進めてもらいたい。アベノミクスのスタート時のように、初心に帰って、経済再生と脱デフレに本気で向き合うよう求めたい。...
 選挙中、野党はアベノミクスを失敗と断じ、「雇用は増えたが、非正規労働者ばかり」「格差が拡大した」などと批判した。だが、アベノミクスに対抗しうる現実的な経済対策を提示できず、論議は深まらなかった。「分厚い中間層を復活」などとスローガンを並べても具体的な処方せんがなければ説得力を持ち得ない。

 加えて、特に民主党が外交・安全保障分野で、現実的な方向性を示せなかったことも大きい。...厳しく問われたのは野党の存在意義ではなかったか。民主党を筆頭に、政権交代の可能性をつゆとも感じさせないひ弱さが浮き彫りになった。現実的な提言や建設的な要求を行う力量を備えた「責任野党」の復活も待ったなしである。

 安倍首相は今選挙での圧勝を背景に、これまで以上の力を得た。政策遂行の推進力に期待する一方、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」の句のごとく、謙虚で丁寧な政権運営に徹してほしい。解散前、複数の閣僚に「政治とカネ」の問題が相次いだが、古い自民党の体質改善にも力を注ぐ必要がある。


北海道:衆院選、自公が圧勝 異論も聞き入れる政治を

 衆院選は自民、公明の政権与党の圧勝となった。 ...
 だが、与党は公示前勢力を下回った。全てが信任を得たと考えるのは早計だろう。

 個別政策に異論はあるが、他に頼るべき党がない―。そんな消極的選択が多かったのではないか。 ...
 「今こそ流れを変える時」と訴えたのは民主党だ。ところが有権者が納得できる具体策を示し切れなかった。首相への批判票の受け皿がなかったことが、与党圧勝の最大要因だったと言える。

 野党の準備不足は明らかだ。...意表を突く解散という作戦勝ちの側面が大きい。

 圧勝の背後にはかなりの批判が潜んでいると考えるべきだ。首相は肝に銘じなければならない。

 たとえば、沖縄県の小選挙区で自民党は全敗した。米軍普天間基地を名護市辺野古に移設する計画に対し、野党が「オール沖縄」で対抗した結果だ。首相には重く受け止めてもらいたい。

 圧勝という結果だけ見て過剰な自信を抱くのではなく、冷静に民意を分析する必要がある。 ...
 大企業優遇型の成長戦略には疑問が多い。増税と一体のはずの社会保障制度改革を具体化しなければならない。同時に財政再建に道筋を付けることも欠かせない。

 選挙結果を白紙委任を受けたかのように解釈することは言語道断である。安全保障政策についてとくに言えることだ。 ...
 自民党公約は「積極的平和主義」を掲げながら、対中国で強硬姿勢が目立った。首相の歴史認識をめぐり悪化した対中関係の改善は首相に課された大きな責任だ。

 原発再稼働には自民党支持層の中にも慎重論がある。多様な意見を丁寧に政治に反映する手法が何より大事だ。 ...
 深刻なのは野党である。

 民主党は海江田万里代表が落選した。3桁の獲得議席目標にも及ばなかった。敗因は政権転落後も内部対立を繰り返し、選挙態勢を整えられなかったことにある。

 これでは与党と対抗し得る票が集まるはずがない。党を根本からたたき直さなければならない。

 維新の党は低迷が顕著だ。野党間連携を強めるのか、与党に接近するのかはっきりさせるべきだ。

 目立ったのは共産党の躍進である。この先、他の野党と政策ごとの協力を広げることが、与党との対抗軸づくりにつながる。

 与野党が切磋琢磨(せっさたくま)するのでなければ政治不信が深まるだけだ。民意を背に新たな道を切り開くのが当選した議員らの責任だ。



毎日:衆院選 「冷めた信任」を自覚せよ2

 高揚感なき信任である。...
 追い風も逆風も感じられなかったが、結果はほぼ一方的だった。...
 2年前の衆院選で政権から転落した民主党をはじめ、野党は受け皿となる構想を示せなかった。...この審判で「安倍政治」全般が信任されたわけではない。...
 原発再稼働の是非、超高齢化・人口減少社会での社会保障のあり方、特定秘密保護法による情報管理などさまざまな課題はほとんど語られずやり過ごされた。集団的自衛権の行使を認めた憲法解釈の変更の是非すら与党は正面から提起しなかった。

 肝心の経済政策にしても格差の拡大を含め、本当に議論が尽くされたと言えるだろうか。国民の多くは景気好転を実感していない。野党から具体的な対案が示されない以上、「成果を待とう」と期待をつないだのが実態だろう。

 だからこそ、首相は何もかも授権されたかのように民意をはきちがえてはならない。有権者の約半数しか投票に参加しない選挙であり、国会での優位が続くとはいえ自民党は公示前の勢力よりわずかに数を減らした。...
 それにしても民主党など野党の不振は深刻だ。共産党が気を吐いたとはいえ、低投票率は政権に批判的な人の多くが棄権した結果でもある。国会で監視機能を果たせるか、このままでは心もとない。建設的論戦を挑めぬようでは議会政治の根幹が揺らいでしまう。

 わが国はかつて政党政治が機能不全を来し、やがて戦争への道を歩んだ苦い歴史がある。野党が頼りにならなければ、自民党政権が行き詰まった時に政治が誤った方向に走りかねない。

 戦後最低の投票率はそれほどに危うい。投票率を回復するために何が必要か、今後政党が総力を挙げて取り組むべき課題である。


読売:衆院選自公圧勝 重い信任を政策遂行に生かせ

... 経済政策「アベノミクス」を継続し、デフレ脱却を確実に実現してもらいたい。そんな国民の意思が明確に示された。...示された民意を、新しい安全保障法制の整備、原発の再稼働など、世論の分かれる様々な重要政策の推進力として活用し、政治を前に進めることが肝要だ。...
 どの党にも追い風はなかった。その中で、安倍首相が、「この道しかない」と強調し、政権の実績と、円高などに無策だった民主党政権との比較を有権者に問う戦略を取ったことが、一定の成果を上げたのは間違いない。...
 政策の基本的な方向は維持し、成長戦略など一部を補強することが、今の日本にとって、現実的かつ効果的な経済運営と言える。

 首相の電撃的な衆院解散に対して、選挙準備が遅れた民主党は、過去最少の候補者擁立となり、無党派層などの受け皿になれなかった。「常在戦場」の構えを怠った海江田執行部の責任は大きい。...
 一方、首相は、自民党が突出する「1強多弱」体制を維持しても手放しで喜べる状況ではない。...
 与党に対する国民の支持は、積極的ではなく、「野党よりまし」という消極的な面が強いことを、きちんと自覚する必要がある。...強引な政権運営は慎むことが大切だ。

 民主党は、歴史的大敗だった前回よりは議席を増やしたが、目標の100議席には遠く及ばず、伸び悩んだ。海江田代表が落選したのが象徴的だ。...今回、安倍政権を批判し、「豊かな中間層の復活」「人への投資」など、有権者に心地よいスローガンは掲げた。だが、アベノミクスに対抗する政策ビジョンとしては説得力に欠けた。

 安全保障政策でも、集団的自衛権の行使の是非に関して、党内に賛否両論を抱え、党見解さえまとめられない実情を有権者に見透かされたのではないか。

 政権時代の失政で低下した国民の信頼の回復は依然、険しい。

 「第3極」の政党は苦戦した。...維新の党は今回、「身を切る改革」を唱えたが、説得力ある改革の道筋を示せたとは言い難い。解散前から意欲を見せる野党再編の展望も開けていない。...
 代わって躍進したのが共産党だ。行き場を失った政権批判票の取り込みに成功した。ただ、「安倍政権の暴走をストップさせる」と訴え続けるだけでは、更なる勢力拡大を図るのは難しかろう。...
 衆院選挙制度の抜本改革は、選出された議員の正統性にも関わる待ったなしの課題だ。有識者による第三者機関の検討を加速し、抜本改革を早期に実現すべきだ。



 中日とか毎日とかが「投票率戦後最低だから、支持されたなんて思うなよー」みたいな捨て台詞みたいな社説を吐いてますが、今回の選挙に限って言えば、「そうは言っても、選挙ってそういうもんですからね」としか言えないんですよね。

 とはいえ。
 あんまり好き勝手やって、次回の選挙の投票率が例えば65%くらいになっちゃったら、今回の投票者の約2割以上の勢力が自公政権にノーを突きつけるかも知れないよ?……ってのは、一応、政権の人達も頭に入れておいてほしいなーと。
 でも、まぁ、たぶん、その辺は頭に入ってるでしょうけどね。


 憲法改正に関しては多分止まります。参院選の結果次第とも言えますけど、一般的に「左派」「左翼」な民主とか共産とかが議席を増やしましたからね。安倍晋三のストッパーとしてガチガチ護憲の共産党が選ばれた、と思っておけば大体間違ってない気がするのです。
 参院選におけるちょっとした脅しとして
 民主党は固定票をがっちりキープしたのが強みになったでしょう。100議席っていう目標には届かなかったにしても、議席増やしてるんだから、候補者用意できなかったとか、まだ逆風が吹いてるだろう中とかでは十分すぎる勝ちだったと思う。……結果として党代表が小選挙区で負けた挙句に比例でも落ちたけど。


 そういえば、見出しだけとは言え、沖縄タイムスと琉球新報が正反対な雰囲気だったので、それは別個に並べておきます。
 今回沖縄は「反米軍基地」を掲げた候補が小選挙区で勝利しましたからね。……まぁ、負けたのも比例復活したりしてるんですけど。

沖縄:[移設反対派全勝]揺るがぬ民意を示した

1月の名護市長選、11月の県知事選に続いてまたも、歴史的な選挙結果が示された。 ...翁長雄志知事を誕生させた余勢を駆って、県内4選挙区のすべてで自公候補などを破り、劇的な完全勝利を収めた。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する沖縄のマグマは、衆院選でも噴火し、溶岩流となって地上に流れ出したのである。

 自民前職の強固な支持基盤を崩した1区の赤嶺政賢氏(共産)、準備期間ゼロの超短期決戦を強いられた4区の仲里利信氏(無所属)の当選は、この陣営の勢いが知事選だけの一過性のものでないことを物語っている。 ...
 この結果を踏まえ日米両政府は、辺野古の埋め立て工事を直ちに中止し、計画見直しに向けた話し合いに入るべきである。 ...
 この期に及んで民意を無視し、辺野古移設を強行するようなことがあれば、嘉手納基地を含む米軍基地の一大撤去運動が起こり、政府と沖縄の関係は...危機的状況に陥るだろう。 ...
 なぜ、全国と沖縄でこのような対照的な結果が生じたのか。
...沖縄選挙区では、知事選に勝利した翁長陣営が「党派を超えて翁長新知事を国政から支えよう」と、短期間の間に候補者調整を進め、自公候補に対抗する受け皿づくりに成功した。辺野古移設という明確な争点が存在したことも結果を左右した。 ...
 知事選で仲井真氏が約10万票の大差で敗れ、今回、衆院選の選挙区で自民候補がそろって敗れたのは、端的に言えば、公約を翻し、辺野古移設を認めたからだ。

 「辺野古ノー」の沖縄の民意は、政府が考えるよりもはるかに根強い。見たい現実だけを見て、沖縄の滔々(とうとう)たる世論に目をつぶることは、もはや許されない。


琉球:安倍政権に信任 平和憲法が危機に オール沖縄の民意尊重を

 第47回衆院選は自民党が絶対安定多数を獲得し、大勝した。
 自民党は政権公約に「憲法改正を目指す」と明記した。選挙結果を受けて安倍晋三首相は「改憲の必要性を訴えていく」と述べた。...憲法改正の動きが加速する恐れがある。国民投票などの関門がまだあるとはいえ、国民は危機感を持つ必要がある。...私たちは今、大きな岐路に立っていることを自覚せねばならない。...
 安倍首相の党内での存在感が増し、長期政権となる公算が大きい。...憲法9条改正が射程に入る。日本が戦争のできる国へとまた一歩近づく危険性が高まることを危惧する。
 歴代内閣が堅持した憲法解釈を国会議論も経ずに変更し、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した安倍首相である。憲法改正まで一気に突き進む可能性がある。
 ただ、憲法改正の発議には参院でも「3分の2」以上の賛成が必要で、発議後の国民投票では、有効投票総数の過半数の賛成が改憲の要件となる。
 2016年の参院選が大きなヤマ場となる。憲法を改正すべきか否か。国民一人一人が真剣に考えることを求めたい。...
 安倍首相はこの2年、強引な政権運営に終始した。巨大与党だからこそ、謙虚かつ丁寧な政権運営を心掛けてもらいたい。
...
 沖縄選挙区では、政府が推し進める米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する4氏全員が当選した。移設推進の自民党4氏全員は支持を得られなかった。...
 政権公約に地元が三度(みたび)反対を明確に打ち出したこと、さらには衆院選沖縄選挙区で自民党公認が全敗したという現実を安倍政権は重く受け止め、移設を断念すべきだ。地元の民意をこれ以上無視することは民主主義国家として許されない。...
 「普天間の危険性除去」の一方で、辺野古に新たな危険をもたらす移設を沖縄の政治家が推進していいのか。「一日も早い危険性除去」なら普天間飛行場の即時閉鎖しかない。
 沖縄の代表として、過重な米軍基地負担を沖縄だけに押し付ける差別政策を今後も認めていいのかを、いま一度考えてもらいたい。


 これも大きい選挙結果だとは思うんですよね。
 「決まった事ですから」で進めると、国会議員から地方議会から市民団体から反対に大きく騒ぐのは目に見えているので。妥協点を探りつつ、計画を進めていくっていうそんな感じになるのかなぁ、と。
 反対の声をいいよいいよでシカトしてやるほど日本はまだ独裁的な国じゃない……はず……なのでね。うん。

 とはいえ、結果として普天間がなんとなーくなし崩し的に「なくなりませんなぁ」ってなったら、何をしたかったのかよく解らない事になっちゃうからなぁ。
 

2014/11/20(木) 「消費税増税延期&解散記者会見から社説」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 0コ

 まぁ、そういうワケで。
 明日には解散するワケですが、記者会見後の11月19日付社説から、だーっとまとめてみました。
 各紙言いたい事がようさんあるみたいですけど、見てるところはいろいろバラバラで。こういう時が一番新聞の性格が出て面白かったりします。
 んでは、朝日・産経・中日・日経・毎日・読売の順にどうぞ。

朝日:衆院選 首相の増税先送り 「いきなり解散」の短絡

...
 国会審議をへて法改正し、アベノミクスの足らざる部分を補う。安倍政権がまず全力で取り組むべきことである。

 その努力をする前のいきなりの衆院解散は、短絡に過ぎる。別の政治的打算が隠されていると考えざるを得ない。...
 首相は昨年の特定秘密保護法案の審議や今夏の集団的自衛権の容認をめぐる議論の過程では、国民の審判を仰ぐそぶりすら見せなかった。
...
 首相は先の通常国会で、憲法解釈の変更について「最高の責任者は私だ。そのうえで私たちは選挙で国民の審判を受ける」と答弁した。「選挙で勝てば何でもできる」と言わんばかりの乱暴な民主主義観である。

 来年にかけて安倍政権は、原発の再稼働や集団的自衛権の行使容認に伴う法整備など、賛否がより分かれる課題に取り組もうとしている。

 世論の抵抗がより強いこれらの議論に入る前に選挙をすませ、新たな4年の任期で「何でもできる」フリーハンドを確保しておきたい――。

 そんな身勝手さに、有権者も気づいているにちがいない。


産経:首相解散表明 「安倍路線」の継続を問え 経済再生へ実りある論戦を2345


...延期の是非とアベノミクスの成果を争点とした解散は、それ自体妥当なものだが、今度の衆院選はそれにとどまらない。

 安倍政権は国の平和と安全を守るために集団的自衛権の行使容認を決断し、力ずくで尖閣諸島の奪取を図る中国に対処しようと、「法の支配」などの価値観を国際社会に訴えてきた。

 4年の衆院議員任期の折り返し点にあたり、こうした外交・安全保障政策への評価も下されてしかるべきだ。...
 この解散には「大義がない」との異論がつきまとう。景気動向による増税の停止は法律も規定しており、解散は必要ないといった考え方や、年末選挙は予算編成の遅れなど国民生活に悪影響をもたらす、などだ。...首相は再増税を延期した理由や延期後の段取り、必要な追加対策について国民に丁寧に説明する必要がある。...
 税と社会保障の一体改革は、民主党政権時代に自公両党との3党合意で動き出した。民主党は再増税延期自体は認め、「アベノミクスの失敗」を強調する構えだ。...頭から否定するばかりでは議論は深まらない。野党側が体系的な経済対策や成長戦略を示していない問題もある。...財源論とともに実現可能な具体策を競い合ってもらいたい。...
 野党は、集団的自衛権の行使容認の決定や秘密保護法の制定などをとらえ、安倍政権が民意を無視した政治を進めているなどと批判してきた。なぜ、それらの問題で解散を求めなかったのか。

 集団的自衛権で日米共同の抑止力を高めることは極めて重要である。安全保障法制の見直しとともに、自衛隊にどのような活動が可能になるのかを与党は分かりやすく説明する必要がある。

 首相は米軍普天間飛行場の辺野古移設や憲法改正を引き続き目指す姿勢も明確に打ち出したうえで、国民の信任を得るべきだ。


中日:「安倍政治」問う機会に 衆院21日解散へ

...
 二〇〇五年、郵政民営化を掲げて衆院を解散、圧勝した小泉純一郎元首相を意識したのだろうか。...
 ただ今回は増税ではなく増税先送りの決断だ。消費税増税を決めた当事者である民主党も先送りに賛成で、あえて国民に是か非かを問うにしては切迫性は乏しい。

 政治空白をつくるべきでないとの主張にも一定の説得力はある。

 とすれば、首相がこの時期に解散する理由は、むしろ別にあると考えた方がいいのではないか。...内閣支持率は下落傾向だ。

 来年以降、集団的自衛権の行使容認を受けた安全保障法制整備や原発再稼働など、国民の反発が必至の課題が続く。さらなる支持率低下は避けられまい。

 その一方、野党側は選挙態勢を十分整えているとは言い難い。

 自民党にとって年内解散の方が議席減を最小限にとどめられる。与党で過半数を維持すれば来年九月の自民党総裁選での再選、政権延命を確実にできる-首相側はそう考えたのだろう。...私たち有権者は大義に惑わされず、二年にわたる安倍政治を冷静に検証し、貴重な一票を投じたい。

 まずは、経済政策である。...
 経済だけではない。

 安倍内閣の二年間を振り返ると特定秘密保護法の成立強行や原発再稼働の推進、歴代内閣が積み重ねてきた憲法解釈を、一内閣の判断で変えた集団的自衛権の行使容認などが、やはり思い浮かぶ。...
 その一方、国民と約束した「身を切る改革」は手付かずだ。...
 今回の衆院選では、自らの「延命」を優先する首相の政治姿勢も含めて、問われるべきだろう。...
 首相が信を問うとした経済政策はもちろん、私たちの命と暮らしにかかわる社会保障、安全保障や原発政策にも特に注目したい。

 各党の公約を整理・吟味し、有権者の選択に資する判断材料を提供するのは新聞の役割だ。その責任を果たすことが、揺らぐ新聞の信頼を回復する道と信じる。


日経:アベノミクスに通信簿つける選挙

...賛否両論あるが、せっかく投票の機会が巡ってきたのだから、有効活用しない手はない。この選挙で問うべきは何だろうか。...
 結局のところ、安倍政権の経済政策を評価するのかどうかを争点に据えるということだ。今回の解散をどう名付けるかはまだ定まっていないが、「アベノミクス解散」と呼ぶのが一番ふさわしそうだ。

 アベノミクスはうまくいっているのか。成否がはっきりしていれば結論を出すのは簡単だ。今回は途中段階での難しい判断になる。選挙戦での与野党の論戦にしっかり耳を傾けたい。

 「アベノミクスに任せれば大丈夫」の一点張りの与党候補。こうすればよいがない野党候補。そんな政治家に国政は任せられない。...あまりにアベノミクス一点集中型の選挙戦にすると、政治の全体像がみえにくくなる。...
 選挙には2つの側面がある。業績評価と将来期待である。...
 第2次安倍内閣は政治に安定をもたらした。9月の内閣改造の際に石破茂地方創生相とあつれきがあったとはいえ、ごたごた続きだった民主党政権に比べればまだ平穏だ。民主党がこじらせた日米関係もほぼ修復した。その力量は認めなければならない。

 不安材料は「古い自民」が息を吹き返す気配が見え隠れすることだ。...
 衆院選は向こう4年間の国のかじ取りを託す選挙である。その間に起きるであろうさまざまなことを想定してみよう。...政権が続けば、来年の通常国会で自衛隊法など関連法の改正をする方針だ。そのあとにはいよいよ憲法本体の改正を政治日程に載せることになる。

 外交・安保にも目配りしたい。日米を基軸とする戦後日本の歩みを否定する主要政党はないだろうが、周辺国とのつき合い方などで政党ごとに立場をやや異にする。...歯切れのよい発言は心地よいが、それが本当に日本の国益につながるのかはよく考えねばならない。
...今回の選挙は政権選択ではなく、安倍政権への通信簿との性格を帯びざるを得ない。

 ここまで述べてきた多くの課題について安倍首相は野党よりも重い説明責任を負うべきだ。「民主党よりまし」などという安易な戦い方は封印してもらいたい。


毎日:首相 解散を表明 争点は「安倍政治」だ2

... 実に不可思議な展開だった。

 安倍首相が国際会議で外国を訪問している最中に、消費増税の先送りを大義名分にした年内解散論が急浮上した。そして首相の帰国を待たずに12月2日公示、14日投票という総選挙日程が既定路線になった。...
 争点設定の仕方にも無理がある。
...すでに確定している増税の先送りを争点にすえるやり方は、増税への国民の忌避感に便乗しようとの思惑が感じられる。
...「増税できる環境にない」との意見には耳を傾ける必要があろう。

 だが、成熟した資本主義国の日本にとって、かつてのような右肩上がりの経済成長は期待できない。...
 疑問がつきない今回の解散だが、首相が最も有利なタイミングで解散を図るのは政治の常でもある。総選挙が確定した以上、日本の政治を総点検し、過ちがあれば正す、リセットの好機にしなければならない。
...昨年7月の参院選で勝利し、長く続いた衆参のねじれを解消すると、強引な政権運営が目立つようになる。...
 政府による過剰な情報統制に直結する特定秘密保護法の制定や、集団的自衛権をめぐる憲法解釈変更の閣議決定はその典型だ。

 内閣法制局長官やNHK会長の人事に見られたように、自らと価値観の近い人物を当該組織のトップに送り込み、支配力を強めようとする手法も安倍政権で目に付いた。

 エネルギー政策では、民主党政権が打ち出した「脱原発依存」を継承すると言いながら、原発回帰が進んでいる。...
 来年は戦後70年の節目だ。...もしも歴史修正主義的な認識を発信することになれば、日本は国際的に孤立してしまう。靖国神社参拝の是非も問われよう。...
 これら安倍政権にまつわるすべての特徴が、総選挙で問われる。最大の争点は、安倍政治である。

 与党に比べて野党は選挙準備の遅れが目立っている。政権選択であるのに、与党に代わる受け皿を用意できなければ政党政治は機能しない。今後、公示までに選挙協力や野党再編の動きが本格化するだろう。その際には、野合と言われないよう、大きな基本政策を共有できるよう努力してほしい。

 安倍首相は今年2月、憲法解釈をめぐって「審判を受けるのは法制局長官ではなく私です」と答弁した。最大の審判の場が総選挙である。


読売:衆院解散表明 安倍政治の信任が最大争点だ

...
 日本経済や安全保障の課題を設定し、政策を遂行する体制を立て直す。これが、国民に信を問う目的だろう。...
 首相には、「政治とカネ」の問題を巡る女性2閣僚辞任などによる混乱や行き詰まりから政治をリセットする狙いがあろう。

 首相は一時、安定政権を目指し、再来年の参院選との同日選などの可能性も検討した。だが、同日選への拒否感が強い与党の公明党の意向や、野党の候補擁立が大幅に遅れている現状を勘案し、最も早い解散を選択した。

 野党は「大義なき解散」と批判するが、それは当たらない。...
 安倍政権は今、多くの難しい課題に直面している。消費増税先送りと連動したアベノミクスの補強、集団的自衛権の行使容認を反映する新たな安全保障法制の整備、原発の再稼働などである。

 あえて国民の審判を受け、勝利することで、政策遂行の推進力を獲得し、政治を前に進めようとする首相の決断に異論はない。...
 衆院選の争点で、特に重要なのがアベノミクスの評価である。...
 金融緩和、財政出動、成長戦略の「3本の矢」によって、大幅な円安・株高や、企業業績の好転、雇用情勢の改善などを実現したアベノミクスの基本的な方向性は支持できる。

 だが、今回明らかになった景気回復の足踏み状況という「誤算」を踏まえ、与党は、政策をどう修正・強化するかを示すべきだ。...
 増税の再延期を明確に否定し、財政健全化や国債の信認にも配慮したのと合わせ、評価できる。

 重要なのは、17年4月までに景気を安定した回復軌道に乗せ、着実な賃上げなどによって、増税が確実に実施できる経済環境を作り出すことである。

 先送りに伴う歳入減の影響を受ける子育て支援、医療、介護などの社会保障財源についても、きちんと手当てをする工夫が要る。


 とりあえずは、この2年どうでしたか?って事ですかねぇ。
 アベノミクスというか三本の矢に関しては、リーマンショック後に麻生政権がやった経済政策を練って、金融緩和を足したもの。という認識でいるんですが(成長戦略はエコだったと思う)。
 その麻生太郎の見立てで「全治三年」で「それでもダメなら増税をお願いしたい」だったんですが、デフレ脱却を掲げて、「1年そこら」で脱却しそうな雰囲気が出てきたので「8%にします」だったので、盛大に景気回復の腰を折りにきたなぁと今でも思っています。
 なかなか無いんですけどね。自分で自分の腰を蹴っ飛ばすようなやり方。麻生・鳩山の二人でやったことを一人でやってのけたんだから、安倍晋三ってすげぇなぁと。

 閑話休題。

 そんな安倍政権も流石に今回は観念したらしくて一応延期してくれましたんで、とりあえずは良かったなぁと。
 でもまぁ、今、解散する理由はいまいちよくわかんないんですけど。まぁ、党内のこととか支持率の今後の読みとかなんか色々あったんでしょう。
 決まった以上はこっちは投票行くだけですからね。

 投票には行きましょうね。
 ムカついて棄権や白票なら、誰かに入れた方がまだマシですからね。そん時はうわーんとか思いながら投票に行きましょうね。
 無党派層の選挙って大体そういうもんだから。

2014/09/06(土) 「第二次安部改造内閣ができましたんで」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 25コ

社説を並べてみます。テキトーに。

朝日:安倍改造内閣―国民合意の政治を望む(魚拓)/

...安倍首相がいまのままの政治手法を続けることには、危惧を抱かざるを得ない。最大の問題は、国民的な合意を得ようという姿勢の欠如である。
...私的懇談会の報告を受けた与党協議による性急な議論の進め方は、憲法9条に基づく戦後の安全保障政策の大転換という内容の重さとともに、世論の分断を招いた。
...
昨年の特定秘密保護法の成立の際も、世論は同様に反応した。首相とは異なる意見の持ち主は少数派ではない。

改造内閣はすぐさま、アジア外交の立て直し、消費税率の再引き上げ、そして原子力発電を再稼働させるかどうかの判断に直面する。いずれも難題であり、国民の考えや感情が割れるテーマである。

さらにその先には、私たち日本人が歴史とどう向き合うかが改めて問われる戦後70年の節目が控えている。
...首相とは政治信条で隔たりのある谷垣前総裁を幹事長に起用した。来秋の党総裁選での再選をにらみ、党内融和を図る狙いがあるようだ。

より大切なのは党内融和ではなく、国民合意だ。あらゆるテーマで合意を形成するのは困難だとしても、「見解の相違」だと異論を切り捨てるだけの政治であってはならない。


産経:安倍改造内閣 日本再生の司令塔となれ23(魚拓123)

...
発足以来、閣僚交代なしで617日間と戦後最長を数えた当初の内閣は、デフレ脱却や消費増税、集団的自衛権の行使容認に取り組み、高支持率を維持してきた。

改造後も、喫緊の課題は経済成長を確実なものとするための施策の実現だ。人口減少、地方活性化対策などへの新たな取り組みも急務となる。新体制を成長や改革の加速につなげる強い指導力を首相には求めたい。...
改造の目玉である5人の女性閣僚起用と併せて注目したいのは、衆院当選3回の稲田朋美前行政改革担当相が党四役ポストの政調会長に抜擢(ばってき)されたことだ。

保守派の論客であると同時に、憲法改正を強く主張してきた。いわゆる「安倍カラー」の根幹である憲法問題について、執行部内で積極的に発言できる人物を配置した点を評価したい。

大きな正念場を迎えているのは、経済再生と財政再建の両立を目指す、自律的な経済成長への取り組みだ。4月の消費税増税後、個人消費は実質所得の減少などが響き低迷が続いている。

景気回復の遅れは、来年10月に予定する消費税の再増税をめぐる判断にも影響を与える。

アベノミクスを支えてきた麻生氏や同じく留任する甘利明経済再生担当相は、新成長戦略の具体化を通じ、民需主導の景気回復をさらに推し進めるべきだ。

民間企業に活力を与える規制改革や、成長市場の開拓につながる環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の早期妥結がカギだ。
...
首相は新幹事長に、総裁経験者で税と社会保障の一体改革をめぐる3党協議を担当した谷垣禎一前法相を起用した。消費の落ち込みにも目を配りつつ、再増税の判断について政府与党間で十分に意思疎通を図ってもらいたい。

経済再生に必要な低廉で安定的な電力供給には、原発の再稼働が不可欠だ。原子力規制委員会に科学的で迅速な安全審査を促し、安全性が確認されれば地元同意を経て早期に再稼働させることが重要だ。小渕優子経済産業相をはじめ政府の大きな責務である。
...
問われているのは、一過性の景気浮揚策ではない。人口減少の歯止めにつながる政策をいかに展開するかである。...少子化担当を畑違いの行革相のポストとの兼務にした。人口減少対策にどこまで真剣なのかと疑問がわく。具体的成果で拭わねばならない。


日経:経済再生こそが改造内閣の使命だ(魚拓)

安倍晋三首相が「日本を取り戻す戦いの第2章」と位置付ける改造内閣が発足した。地方創生相や女性活躍相を新設するなど、重視する課題を切り出し、そこに全力投球する姿勢を明確にしたのが特徴だ。掲げた目標通りに政策を遂行できるか。新閣僚は細心の心構えで臨まねばならない。...
谷垣氏と二階氏は保守派ではなく、中国や韓国と良好な関係を築いてきた。2人の起用は、首相が中韓に関係改善に前向きなメッセージを送ったととらえることもできる。11月に北京でアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議がある。久しぶりに中韓との首脳会談が開けるかは、改造内閣の最重要課題の一つである。

並行して日米同盟の強化も急務だ。防衛相と新設した安保法制相を兼ねる江渡聡徳氏は、集団的自衛権に関する憲法解釈の見直しを踏まえ、日米防衛協力の指針(ガイドライン)の改定を円滑に進めてほしい。
...
改造内閣が評価されるかどうかは、この顔ぶれで何を目指すかにかかっている。要職に就いたのは首相と思想的に近い面々が多い。保守派からは「集団的自衛権の次はいよいよ憲法改正だ」との声も出ている。国民のいまのニーズの最大公約数はそこだろうか。

首相は8月に月刊誌に発表した論文で「経済成長こそが安倍政権の最優先課題」と宣言した。アベノミクスは一定の成果を上げているものの、全国津々浦々に波及しているとは言いがたい。...
4~6月期の日本経済は年率6.8%のマイナス成長となった。4月の消費増税後の需要の反動減はそれなりに大きかった。焦点は足元の景気だ。首相は11月公表の7~9月期国内総生産(GDP)速報などを踏まえ、消費税率を来年10月に予定通り10%に引きあげるかどうかを判断する。...
改造内閣は2013年度補正予算と14年度予算に計上した公共事業を着実に執行し、景気下支えに万全を期してほしい。日銀も歩調を合わせ、金融緩和でデフレ脱却を後押しする必要がある。

外国から投資を呼び込むには法人減税も急務だ。...
日本経済の最重要課題が、持続的な経済成長と財政再建の両立であることは変わらない。医療、年金、介護など社会保障費の膨張に歯止めをかけ、思い切って歳出抑制・削減に踏み出すときだ。...
原子力発電所の再稼働はなかなか進まず、環太平洋経済連携協定(TPP)交渉もまだ出口が見えない。人事が終わったと、ほっとしている余裕はない。


毎日:改造内閣発足 中韓と関係構築を急げ2(魚拓2)

...
女性閣僚を過去最多に並ぶ5人起用してメリハリをつけたが、総じて政策の継続を意識した布陣と言える。衆参ねじれ状態を解消して以来強引さも目立つ政権運営のありかたを見直し、政策面で生じたひずみを修正すべき時だ。とりわけ近隣諸国との関係の再構築や、人口減少への対応に力を注がねばならない。...
改造内閣発足にあたり求められるのは生じ始めたひずみの検証である。参院選で自民党が圧勝して以来、特定秘密保護法の成立、閣議決定による解釈改憲など国会の「1強」状態を背に強引な政権運営が目立つ。エネルギー政策もまるで福島第1原発事故以前に回帰するかのようだ。

集団的自衛権行使を実際に可能とする法整備は公明党への配慮などから来年の通常国会に先送りになった。...初入閣の江渡氏の力量も未知数だ。法整備の必要性が改めて問われよう。...
外交で積み残された最大の懸案は領有権や歴史認識問題をめぐり冷え込んだままの中国、韓国両国との関係改善である。...
首相は日米安保体制の強化に加えロシア、インドとの関係を重視し、いわゆる「地球儀を俯瞰(ふかん)する外交」の展開にも取り組む。北朝鮮による拉致被害者らの安否再調査報告も重要な局面を迎える。近隣2国との関係が不正常なままで外交力は発揮できない。...双方が対話再開と関係再構築の努力を尽くす時だ。

経済、内政もアベノミクス路線で「3本目の矢」とされた成長戦略が行き詰まりつつある。...財政が危機的な状況で人口減少・超高齢化社会に対応できるような社会保障制度の構築を迫られる事情は変わらない。来年10月に消費税率を10%へ引き上げる政治日程が控える。首相は改造後の記者会見で年内に最終判断する考えを示した。軽減税率導入などの手だてを急ぐべきだ。...改造内閣は着実な成果を追求すべきだ。野党もまた、秋の臨時国会での徹底論戦に足る体制を整えねばならない。


読売:安倍改造内閣 経済再生へ挙党態勢を固めよ(魚拓)

...
脱デフレを確実にし、経済の活力を増す。日本の平和を確保する安全保障法制を整備する。

こうした重要課題に新たな陣容の総力を挙げ、果敢に取り組まねばならない。...
改造内閣では、危機管理能力に定評のある菅義偉官房長官ら6閣僚が留任し、骨格は維持された。...
経済政策「アベノミクス」を担当する麻生太郎副総理・財務相と甘利明経済再生相も留任した。

3本目の矢である成長戦略の成否を左右する環太平洋経済連携協定(TPP)交渉が、山場を迎える。甘利TPP相や、党TPP対策委員長を務めた西川公也農相らが連携し、合意を目指したい。

改造内閣の最重要課題である地方創生は、地方移住、雇用創出、子育て支援など総合的な人口減対策と中長期的戦略が欠かせない。石破地方創生相を中心に、政権全体で取り組む必要がある。

景気の現状も心配だ。8%への消費税率引き上げに伴う消費の反動減から、回復が遅れている。12月には、10%への税率再引き上げの是非を判断せねばならない。景気の腰折れを避け、経済を成長軌道に戻せるかがカギを握ろう。...
外交の継続性を重視する観点から、岸田文雄外相は留任した。...より強固な日米同盟を構築すべきだ。...懸案の中国、韓国との首脳会談も実現したい。...
首相自身、衆院当選3回で幹事長に抜擢された経験がある。石破、岸田両氏に加え、小渕、稲田両氏ら、将来のリーダーをきちんと育成してもらいたい。


中日:国民の声に聞く耳を 安倍改造内閣が発足(魚拓)

第二次安倍改造内閣がきのう発足した。国民から遊離した政治はもはや許されない。安倍政権の面々には、国民の声に耳を傾ける謙虚さを持ってほしい。...
安倍氏が首相に返り咲いてからの一年八カ月余りを振り返るとどうか。国民に寄り添った政治の実現に努力してきたと胸を張って言い切れるのだろうか。

自らの主張のみを正しいと思い込み、国民の中にある異論を十分にくみ取って、不安に思いをめぐらせたと言えるのだろうか。

象徴的なものは、外国同士の戦争への参戦を可能にする「集団的自衛権の行使」問題である。...
安倍政権が強引に進めてきた特定秘密保護法や原発再稼働も、世論調査では反対が賛成を上回っているが、政権側に見直す動きは見えない。そればかりか、異論封じが強まる気配すら感じる。...
安倍内閣への国民の期待が経済再生にあることに変わりはない。

大胆な金融政策、機動的な財政政策など「三本の矢」政策が奏功したのか株価は上昇し、大企業を中心に業績は回復しつつある。
...
消費税が8%に増税された四月から六月期の個人消費は前期比5%減と過去最大の落ち込みだ。

消費税の10%への引き上げが景気をさらに冷え込ませることはないのか。改造内閣では慎重に判断しなければならない。...
改造内閣が続けば来年八月の戦後七十年を迎える。...
安倍首相の歴史認識への反発もあり、中国、韓国は反日姿勢を強めているが、...首相は「扉は開かれている」と言うだけでなく、関係改善に積極的に乗り出してほしい。閣僚も無用な言動を慎み、良好な環境づくりに努めるべきである。


赤旗:安倍内閣改造人事 首相がめざす「第2章」の危険(魚拓)

...悪政を加速し、来年のいっせい地方選などの準備を進める構えです。文字通り「亡国の政治」を突き進む安倍政権を打倒するための国民的運動を広げていくことが重要です。...
最近イギリスの新聞フィナンシャル・タイムズ(電子版)が「的を外すアベノミクス」という論評で、「4番目の矢として軍国主義が復活しないように願いたい」と書きました。国際的に著名な経済学者のクルーグマン氏も最近の週刊誌で「日本経済は消費税10%で完全に終わります」と指摘します。

安倍政権打倒の国民的大運動は、国民の世論とともに、こうした国際的懸念にもそったものです。


北國:安倍改造内閣 今後も経済再生を最優先に魚拓

...「地方創生」と「安全保障法制」「女性活躍」の担当相を置いて長期政権を目指す意気込みを見せている。...改造 内閣が引き続き手を緩めることができないのは経済の再生である。...地方創生...実現は経済に活力を出すことが前提となる。国の安全を守ることも、女性の活躍の場を広げることも、経済に勢いがなければ実行は難しい。内閣改造に踏み切った安倍首相は今後も経済再生を最優先にして政権運営を進めてもらいたい。...
数ある懸案の中でも年内に重い判断を迫られるのは消費税の再増税だろう。来年10月 に税率を8%から10%に上げることは法で定められた既定路線ではあるが、気掛かりなのは景気の先行きに不透明感が出たことである。...
ここでかじ取りを誤れば、日本経済は再び負のスパイラルに陥る恐れがある。消費税の 再増税は経済再生にかなうかどうかを基準にして決める必要があるだろう。安倍首相は全国津々浦々に経済の好循環が生まれているかどうかを慎重に見極めて判断してほしい。


 赤旗は放置しといて。他の社説を並べて大雑把に中身を書けば、

 こんな感じでしょうか。
 まぁ、ぶっちゃけた話、安倍晋三がホントに(?)やりたい政策に乗りたい有権者って多分2割くらいっきゃいないんじゃないかと思います。
 現安部政権支持者の8割近くは自分の給料と財布の中身を増やしてくれそうなのが安倍晋三というか自民公明連立しかいそうにないってんで支持してる……と私は思っているのですが、どうですかね?

 平たく言えば景気良くしろと。デフレ脱却しろと。
 デフレ脱却前に消費税上げたらデフレに戻るんじゃねぇの?

 とまぁ、大半はそんな支持者なんだと思います。大体「女性活躍担当」ってネーミングで解るくらい、意欲的な政策への取りかかりっぷりがアレですから。文科大臣も留任してるしね。
 消費税なんかはむしろインフレ抑制に使うまで上げるのを待ってて欲しいくらいなんだけど、どうしたもんだかなぁ。


 中韓の事に関しては……まぁ敵に回さない事ですかねぇ。特に韓。
 中は勝手に敵役やってくれるだろうから、その時はその時なんだけど。そん時についでに韓まで敵に回られると位置的に色々面倒くさいので。あと貿易黒字らしいので。その間はまぁ、ね。
 日韓とも米軍基地があるからそうそう敵になることはないと思いますが。思いますけども。

 最後に言いたいこと書いてあったんで北國の社説も載せたんですが、基本的に景気良くして、衣食住の安心を……安心をじゃないな、「普通にあるだろ?」くらいまでの意識に持ってってくれないとやっぱり全部始まらないんだと思うんですよ。
 やること一杯あるの重々承知だけど、デフレ脱却して景気を良くする。それを維持する。それを芯にしてやってって欲しいなぁ、ってのが本音です。

2014/08/12(火) 「朝日の慰安婦についての検証記事を受けての社説とか色々」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 2コ

 朝日新聞の慰安婦についての検証記事を受けて、日本の新聞と韓国の新聞から、ちょっと引き抜き。

産経:朝日慰安婦報道 「強制連行」の根幹崩れた23

 ■これでは訂正になっていない

 朝日新聞が慰安婦問題の報道について、一部の記事が虚構だったことを認めた。だが、その中身は問題のすり替えと開き直りである。これでは、日本がいわれない非難を浴びている原因の解明には結び付かない。

 最大の誤報は、慰安婦を「強制連行した」という吉田清治氏の証言である。朝日はこれを虚偽だと認め、記事を取り消すという。

 根拠なく作文された平成5年の河野洋平官房長官談話などにおける、慰安婦が強制連行されたとの主張の根幹は、もはや崩れた。

 ≪誤りは逐次正すべきだ≫

 遅きに失したとはいえ、朝日が慰安婦問題の事実関係について検証したことは評価できよう。記事取り消しも当然である。

 だが、真偽が確認できない証言をこれまで訂正せず、虚偽の事実を独り歩きさせた罪は大きい。
...
 暴力で無理やり女性を強制連行したなどとする吉田氏の証言は、旧日本軍が慰安婦を「強制連行」したり、「慰安婦狩り」が行われたりしたという誤解がまかり通るもととなった。...
 宮沢首相訪韓を控えた4年1月には加藤紘一官房長官が十分な調査も行わず「おわびと反省」の談話を出し、宮沢氏も日韓会談で謝罪した。さらに翌5年に慰安婦募集の強制性を認めた河野談話が出された。

 当時、朝日新聞など日本の一部マスコミも慰安婦問題追及キャンペーンを展開した。この中には、慰安婦と工場などに動員された「女子挺身(ていしん)隊」と混同した記事もあった。朝日新聞は今回、誤用したと認めた。
...
 朝日の報道が日韓関係悪化の発端となったにもかかわらず、「自国の名誉を守ろうとする一部の論調が、日韓両国のナショナリズムを刺激し、問題をこじらせる原因を作っている」と、ここでも責任を転嫁している。...


毎日:慰安婦報道 国際社会人通じる論で

 朝日新聞が慰安婦問題に関する過去の自社報道を検証し、一部に誤りがあったと認めた。慰安婦問題は歴史認識を巡って鋭く対立する日韓関係の最大の懸案だ。不確かで行き過ぎた報道がこの問題を冷静に議論する場を奪ってはならない。...
 慰安婦問題とはそもそも、戦時下において女性の尊厳が踏みにじられたという、普遍的な人権問題だ。国際社会に通じる感覚と視点で議論していくことが求められる。

 にもかかわらず、朝日新聞が吉田証言を前提にした報道を続けたことで、国内議論は慰安婦の強制連行の有無にばかり焦点があてられた。その結果、女性の人権という問題の本質がゆがめられたのは残念だ。もっと早く訂正すべきだった。...
 河野談話に基づき95年に設置された「女性のためのアジア平和国民基金」が、首相の「おわびと反省の手紙」を添えて韓国、台湾、フィリピンなどの元慰安婦に1人あたり200万円の「償い金」を渡すことにしたのは、当時の日本としてできる最大限の措置だったといえる。

 しかし、韓国側はいったん評価しながら、その後、あくまで国家賠償を求めるとして受け取りを拒否した。これが慰安婦問題がこじれて今日に至った大きな原因である。

 もつれた糸を解きほぐすには、双方が知恵を出すしかない。

 ただ、「旧日本軍の関与」という言葉で政治決着させた河野談話を安倍政権が引き継ぐと世界に約束した以上、広義の強制性か狭義の強制性か、といった国内論議に改めて時間を費やすのでは、国益を損ねる。...


読売:朝日慰安婦報道 「吉田証言」ようやく取り消し

◆女子挺身隊との混同も認める

 日韓間の大きな棘とげである、いわゆる従軍慰安婦問題について、朝日新聞が過去の報道を点検し、一部だが、誤りを認めて取り消した。

 韓国・済州島で慰安婦を強制連行したとする吉田清治氏の証言である。...
 これが韓国の反日世論をあおっただけでなく、日本について誤った認識が、世界に広がる根拠の一つとなった。今回、吉田証言を初めて虚偽と判断し、それをめぐる記事をようやく撤回した。

 もっと早い段階で訂正されるべきだった。92年には疑問が指摘されながら、20年以上にわたって、放置してきた朝日新聞の責任は極めて重い。

 朝日新聞は82年以降、確認できただけで計16回にわたって、吉田氏について記事にした。92年に歴史家の秦郁彦氏が吉田証言への疑問を指摘したが、修正することはなかった。
...
 朝日新聞の報道におけるもう一つの重大な問題は、慰安婦と「女子挺身ていしん隊」との混同である。
...
 朝日新聞は今回、「女子挺身隊は、戦時下で女性を軍需工場などに動員した『女子勤労挺身隊』を指し、慰安婦とはまったく別」と、初めて誤りを認めた。
...
 読売新聞にも当初、女子挺身隊や吉田氏に関して、誤った記事を掲載した例があった。だが、90年代後半以降は、社説などを通じて、誤りを正している。

◆正しい歴史認識持とう

 疑問なのは、「強制連行の有無」が慰安婦問題の本質であるのに、朝日新聞が「自由を奪われた強制性」があったことが重要だと主張していることだ。...
 今回も、問題の本質は、「慰安所で女性が自由を奪われ、尊厳が傷つけられたことにある」としており、その主張は基本的に変化していない。

 フィリピンやインドネシアなども含め、戦時中に多数の女性の名誉と尊厳が傷つけられる行為があったことは確かである。政府・軍の強制連行はなくとも、現在の人権感覚では、許されないこともあっただろう。

 しかし、「戦場での性」の是非と、軍の強制連行があったかどうかは、区別して論じる必要がある。...
 韓国の朴槿恵政権は、クマラスワミ報告などを根拠として、日本政府が6月に発表した河野談話の検証結果にも強く反発している。その頑かたくなな対日強硬姿勢は、簡単には変わるまい。

 政府は、安易な妥協をすることなく、慰安婦問題に関する日本の立場に対する韓国の理解を粘り強く求めていかねばならない。...



朝鮮日報:慰安婦:朝日新聞が安倍首相に反撃「強制連行の証拠多い」 朝日新聞、慰安婦問題の直視訴え

朝日新聞は5日、1面を含め3面にわたり従軍慰安婦問題に関する特集記事を掲載し、慰安婦の強制動員を否定する安倍晋三首相と極右勢力を批判した。...
 安倍首相と産経新聞など極右メディアは、1991年に被害者証言記事を掲載し、慰安婦問題の公論化を主導した朝日新聞を標的として、「慰安婦=朝日新聞による捏造」という説を公然と主張している。

■朝日「強制連行の証拠多い」
...
 朝日新聞は...一部の誤りによって慰安婦問題全てを否定することができないとした。

 慰安婦の強制動員を証明する資料が多い点も強調した。...
 日本軍が1944年にインドネシアからオランダ人女性35人を強制的に慰安婦にした「スマトラ事件」については、戦後にジャカルタで開かれた戦犯の軍事裁判でその実態が公表された。日本政府は数多くの証言や資料があるにもかかわらず、日本軍が韓国で慰安婦を強制連行するよう指示した公文書はないという理由で、強制動員を否定している。

 朝日は「見たくない過去から目を背け、感情的対立をあおる内向きの言論が広がっていることを危惧する」と報じた。

■安倍との10年戦争、朝日の反撃

 朝日による今回の記事は「慰安婦の強制動員はなかった」という信念を持つ安倍首相に対する直撃弾だ。2005年に朝日は「安倍議員が2001年にNHKに圧力をかけ、日本軍の慰安婦問題を扱った特集番組の内容を一部削除させた」という特ダネ報道を行った。...
 安倍首相が靖国神社参拝、集団的自衛権行使、原発再稼働などに批判的な論調を掲げる朝日を手懐けようと総力戦を展開しているとの見方も示された。...
 朝日新聞関係者は「日本政府が河野談話検証報告書を発表して以降、関連問題に対するさまざまな角度からの検証、取材を行ってきたため、報道が遅れた」と説明した。...

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員



中央日報:「慰安婦振り返ってこそ未来に進む」朝日新聞、右翼に反撃

日本の朝日新聞は5日、慰安婦問題に関する各種の疑問と保守右翼勢力が提起する「朝日ねつ造論」について1つ1つ反論する特集記事を掲載した。 ...
慰安婦関連報道の先駆者な役割をしてきた朝日新聞は、この日過去の一部記事の誤りについては率直に認めながらも「慰安婦として自由を剥奪されて女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質」としながら日本国内の保守勢力の「責任否定論」に警告した。

朝日新聞は▼「済州道(チェジュド)(強制)連行」証言の虚構の有無▼強制連行の有無▼日本軍の関与を証明する資料有無▼「挺身隊」との混同▼元慰安婦の最初の証言の事実歪曲の有無などに分けてこれまで取材・検証してきた内容を詳細に報道した。

目を引いたのは慰安婦問題の報道初期である1982年9月の朝日新聞の記事を取り消した部分。...
だが、朝日新聞は堂々とした反省と共に90年代初めに保守指向の産経新聞と読売新聞もまた、吉田氏の証言を重点的に報道した事実も指摘した。一方的に朝日新聞だけを非難するような状況ではないという主張だ。

朝日新聞は「強制連行」については「日本軍などが慰安婦を直接連行したという日本政府の公文書が発見されなかったということを根拠に『強制連行はなかった』として国家の責任が全くないといった主張を一部の政治家や識者が繰り返してきた」として「(植民地あるいは占領地であった韓国・台湾・インドネシアなどの事例で)共通しているのは女性たちが本人の意志に反して慰安婦になる強制性があったということ」と強調した。朝日新聞は90年代初め、主に軍需工場に動員された「挺身隊」と慰安婦を混同して使っていた事実も認めた。

杉浦編集担当役員は...「被害者を『売春婦』などとさげすんで自国の名誉を守ろうとする一部の論調が、韓日両国のナショナリズムを刺激して問題をこじれさせる原因を作っているため」と指摘した。


東亜日報:朝日新聞、2面を割いて慰安婦問題特集記事を掲載

日本軍の慰安婦強制連行問題について持続的に問題を提起してきた日本の朝日新聞が5日、2ページ以上を割いて特集を組み、「女性に対する自由の剥奪や尊厳の蹂躙など日本軍慰安婦問題の本質を直視しよう」と提言した。 ...同紙はまた、極右派が否定している慰安婦強制連行について、「日本の植民地だった朝鮮や台湾では、軍の意向を受けた業者が『良い仕事がある』などとだまして多くの女性を集めることができ、軍などが組織的に人さらいのように連行した資料は見つかっていない 」と伝え、「(しかし)女性たちが本人の意に反して慰安婦にされる強制性があった 」と指摘した。


 朝日や毎日が書いてる「強制連行関係ない、女性の人権問題だ」は、もちろんそりゃそうなんだけど。
 その方面では日本は「河野談話」であるとか「アジア女性基金」であるとか「河野談話の継承」であるとか、そういったことで行動した……と、少なくとも日本は考えているのだな。
 そして、台湾とかインドネシアとかフィリピンとかオランダとかは、こめかみピクつかせてたかも知れないけど、「まぁ、これで手打ちにしますか」と収めてくれたようで、あんまり問題にしないでくれているっぽい。

 じゃぁ、なんで韓国が……となるんだけど。ちょっと韓国目線で考えてみる。

 韓国にしてみれば自国の問題である慰安婦問題で謝罪が欲しい、平たく言えば「韓国さんごめんなさい」が欲しいんじゃないかと(金とかはセットだと思って次にいきます)。
 ところが、日本にしてみれば、韓国というか朝鮮半島は慰安婦を調達した一地域であるために、「慰安婦問題で謝罪しろ」と言われたら、朝鮮半島以外の地域にも当然謝罪しなければならないのだな。そこには北朝鮮も入ったりする。慰安婦全体に謝罪となれば、日本国内(内地)だっているから、そっちにも当然必要になる。
 すごくぼやけた謝罪になってしまうのだな。謝罪相手国を列挙して、漏れた国があったら大問題だからね。

 韓国は「韓国(というか韓国だけ)への謝罪」が欲しい。しかし、日本は「それぞれの国々」とぼかした表現で謝罪をせざるをえない。
 そこで「韓国だけ」にさせるために、「強制連行があった・なかった」が必要だったのだろうか?などと邪推したくもなるのです。ところが、そうすると吉田清治の証言が今回ので完璧にひっくり返っちゃったので、韓国だけへの謝罪にするのは難しくなった(と思う)。

 朝日新聞が書いたように「女性への人権侵害だ」と路線変更しても、そうしたらそうしたでやっぱり「いろんな国の皆さんごめんなさい」としか日本は謝罪ができないので、そうなると韓国は「謝罪しろー」と叫ぶしかできなくなった。余計にできなくなった。
 多分、そんな感じなんじゃないかと思う。

 知恵を出し合え、とか毎日が書いてますけど、ぶっちゃけた話アジア女性基金以上のアイデアなんて多分日本は出せないと思うんだよね。でなきゃ今までの路線を全部吹っ飛ばした挙句、北朝鮮にお金を渡せとか韓国に詰め寄らなきゃならなくなるとかどーとか。
 韓国は韓国で慰安婦像を設置したりして、「従軍慰安婦は韓国人だけだった」というミスリードを誘おうとしてるフシがあるんだけど、これはあんまりやるとほかの国から、またぞろ復活するのかもしれないなぁ、と。
 その度にアジア女性基金的な基金が復活して……とかなるかも知れないけど、それは正直泥沼にハマるだけな気がする。

 日本にしてみれば、ボールは韓国が持ちっぱなしで、ひたすらボークや暴投を繰り返されてる感じなんだよねぇ。
 落とし処なんて加害者側の日本が用意できるワケがない。韓国から「このくらいで勘弁しましょ」と言われて、それが日本がやれる範囲内ならやれるというだけでね。
 逆に日本の方から提示したら「上から目線の謝罪」になってしまうからなぁ。札束で韓国ほっぺたペチペチとひっぱたく感じのね。それで韓国がいいっていうならいいんだろうけど、仮にやったら確実にキレますよね。韓国。

 朝日が毎日がやいのやいの言ったところで、日本側からはあんまり動けないってのが本当のところなんですよ。残念ながら。



 それはそうとして。

 「謝罪して、基金を作り、個人に賠償しようとしましたが、何故か韓国は慰安婦達に圧力かけて受け取らせないようにしていました」
「謝罪しようとしても謝罪しようとしても、何故か韓国がその都度聞く耳を持ってくれません」
 と、ぶちまかした方がいいんじゃないかなぁと思う時もあるんだけど、なんか問題があるんですかねぇ?
 あるんだろうなぁ、きっと。

2014/05/18(日) 「安倍晋三が集団的自衛権を考えさせようとしてきたので社説が並んだので、並べてみた」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 111コ

久しぶりですな。
「...」とあったら(略)だと思ってください。ある程度というかかなり端折ってます。ニュアンスは壊さないつもりではいるけど、バイアスってもんがあるだろうから、詳しくはリンクした原文当たってね。ということで。

首相官邸:平成26年5月15日 安倍内閣総理大臣記者会見

【安倍総理冒頭発言】
 本日「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」から報告書が提出されました。外交・安全保障、そして法律の専門家の皆さんが約2年半検討を、そして議論を重ねてきた結果です。...
 この報告書を受けて考えるべきこと、それは私たちの命を守り、私たちの平和な暮らしを守るため、私たちは何をなすべきか、ということであります。具体的な例で御説明をしたいと思います。
 今や海外に住む日本人は150万人、さらに年間1,800万人の日本人が海外に出かけていく時代です。その場所で突然紛争が起こることも考えられます。そこから逃げようとする日本人を、同盟国であり、能力を有する米国が救助、輸送しているとき、日本近海で攻撃があるかもしれない。このような場合でも日本自身が攻撃を受けていなければ、日本人が乗っているこの米国の船を日本の自衛隊は守ることができない、これが憲法の現在の解釈です。...現在、アジアで、アフリカで、たくさんの若者たちがボランティアなどの形で地域の平和や発展のために活動をしています。この若者のように医療活動に従事をしている人たちもいますし、近くで協力してPKO活動をしている国連のPKO要員もいると思います。しかし、彼らが突然武装集団に襲われたとしても、この地域やこの国において活動している日本の自衛隊は彼らを救うことができません。一緒に平和構築のために汗を流している、自衛隊とともに汗を流している他国の部隊から救助してもらいたいと連絡を受けても、日本の自衛隊は彼らを見捨てるしかないのです。...人々の幸せを願ってつくられた日本国憲法が、こうした事態にあって国民の命を守る責任を放棄せよと言っているとは私にはどうしても考えられません。...
 積極的平和主義の考え方は、同盟国である米国はもちろん、先週まで訪問していた欧州各国からも、そしてASEANの国々を始めとするアジアの友人たちからも高い支持をいただきました。世界が日本の役割に大きく期待をしています。いかなる事態においても、国民の命と暮らしは断固として守り抜く。本日の報告書ではそうした観点から提言が行われました。
 今後、政府与党において具体的な事例に即してさらなる検討を深め、国民の命と暮らしを守るために切れ目のない対応を可能とする国内法制を整備します。これまでの憲法解釈のもとでも可能な立法措置を検討します。例えば武力攻撃に至らない侵害、漁民を装った武装集団が我が国の離島に上陸してくるかもしれない。こうしたいわゆるグレーゾーン事態への対処を一層強化します。さらに、PKOや後方支援など、国際社会の平和と安定に一層貢献していきます。その上でなお現実に起こり得る事態に対して、万全の備えがなければなりません。国民の命と暮らしを守るための法整備がこれまでの憲法解釈のままで十分にできるのか、さらなる検討が必要です。
 こうした検討については、日本が再び戦争をする国になるといった誤解があります。しかし、そんなことは断じてあり得ない。日本国憲法が掲げる平和主義は、これからも守り抜いていきます。このことは明確に申し上げておきたいと思います。...
 日本は戦後70年近く、一貫して平和国家としての道を歩んできました。これからもこの歩みが変わることはありません。しかし、平和国家であると口で唱えるだけで私たちの平和な暮らしを守ることはできません。私たちの平和な暮らしも突然の危機に直面するかもしれない。そんなことはないと誰が言い切れるでしょうか。テロリストが潜む世界の現状に目を向けたとき、そんな保障はどこにもありません。政府は、私たちは、この現実に真正面から向き合うべきだと私は考えます。...
 再度申し上げますが、まさに紛争国から逃れようとしているお父さんやお母さんや、おじいさんやおばあさん、子供たちかもしれない。彼らが乗っている米国の船を今、私たちは守ることができない。そして、世界の平和のためにまさに一生懸命汗を流している若い皆さん、日本人を、私たちは自衛隊という能力を持った諸君がいても、守ることができない。そして、一緒に汗を流している他国の部隊、もし逆であったら、彼らは救援に訪れる。しかし、私たちはそれを断らなければならない、見捨てなければならない。おそらく、世界は驚くことでしょう。
 こうした課題に、日本人の命に対して守らなければいけないその責任を有する私は、総理大臣は、日本国政府は、検討をしていく責務があると私は考えます。
 私からは以上であります。...



朝日:集団的自衛権―戦争に必要最小限はない

...

■自衛権の行使=戦争

...

 まず、戦争の反省から出発した日本の平和主義が根本的に変質する。

 日本が攻撃されたわけではないのに、自衛隊の武力行使に道を開く。これはつまり、参戦するということである。
... 集団的自衛権を...日本が行使したとたん、相手にとって日本は敵国となる。

 また解釈変更は、内閣が憲法を支配するといういびつな統治構造を許すことにもなる。

 国民主権や基本的人権の尊重といった憲法の基本原理ですら、時の政権の意向で左右されかねない。法治国家の看板を下ろさなければいけなくなる。

 そして、近隣国との関係改善を置き去りにしたまま解釈改憲を強行することで、東アジアの緊張はかえって高まる。...
■9条のたがを外すな

 一方、集団的自衛権の行使容認とは別に、報告書は国連PKOの際の武器使用のあり方や、日本の領土・領海への武力攻撃とまではいえない侵害への対応にも触れている。...
 海外での武器使用に関しては、政府は9条の平和主義と国際社会からの要請とのはざまで、針の穴を通すような憲法解釈や立法を重ねてきた。そうした矛盾がPKOの現場で端的に表れてきたのも事実だ。

 しかし、それは憲法9条を尊重してきた日本国民が自らに課した「たが」でもある。...憲法を改正するのでなければ、検討は9条の範囲内にとどめるのもまた当然である。

 首相は集団的自衛権の行使容認を突破口に、やがては9条のしばりを全面的に取り払おうとしているように見える。

 これが「戦後レジームからの脱却」の本質であるならば、看過できない。

 いったい何のための集団的自衛権の行使なのか。日本の安全確保や国際平和への貢献のために何をすべきなのか。その目的や手順を誤ってはならない。


産経:集団自衛権報告書 「異質の国」脱却の一歩だ234

 ■行使容認なくして国民守れぬ

... 首相は記者会見で「いかなる危機にあっても国民を守る責任がある」と述べ、本格的な与党協議に入る考えを表明した。

 日本の平和と安全、国民の生命・財産を守るため、当然の政治判断がようやく行われようとしていることを高く評価したい。

 早期に与党合意を取り付け、自衛隊法など必要な関連法の改正などに取り組んでもらいたい。...
 東西冷戦の時代であれば、日本が個別的自衛権の殻に閉じこもっていても、米国は仮にソ連の攻撃があれば日本を守っただろう。

 だが、今や米国に一方的庇護(ひご)を求めることはできない。オバマ政権はアジア重視の「リバランス」(再均衡)政策をとるが、国防費は削減の流れにあり、米国民も海外での軍事行動を望まない。

 集団的自衛権の行使容認で日本が責任を分担する姿勢を明確にし、地域の平和と安定のため、今後も米国を強く引きつけておく努力が欠かせない。...
 米軍将兵は命をかけて日本の防衛にあたる。その同盟国が攻撃を受けているのに、近くにいる自衛隊が助けなければ、真の絆を強められるだろうか。日本の国際的信用も失墜しかねない。

 集団的自衛権の行使を認めれば戦争に巻き込まれるといった批判がある。だが、むしろ行使容認によって抑止力が向上する効果を生むとみるべきだ。外交努力に加え、同盟や防衛力で戦争を未然に防ぐ必要がある。...
 与党協議に向け、公明党は行使容認に慎重な態度を崩していない。だが、通算11年以上、自民との連立で政権を担当してきた。安全保障面でも国家や国民を守る責任を等しく負っている。行使容認への接点を探ってもらいたい。...党派を超えた議論も加速すべきだ。...武力攻撃手前の侵害である「グレーゾーン事態」への対応や、国連平和維持活動(PKO)での「駆け付け警護」を容認する点などは、公明党を含め多数の政党の理解が広がっている。

 漁民に偽装した中国の海上民兵や特殊部隊が、尖閣に上陸して占拠しようとするケースもグレーゾーン事態だ。これに対応する領域警備の法整備は急務だ。

 一方、国連安保理決議に基づく多国籍軍への自衛隊の参加などの提言を、首相が「海外での武力行使」にあたるとの従来の解釈に立ち、採用しない考えを示した点は疑問もないわけではない。

 自衛隊の活動への強い制約を解くことが課題である。内外に表明している積極的平和主義の具体化へ、現実的対応を求めたい。


日経:憲法解釈の変更へ丁寧な説明を

 安倍晋三首相が憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を可能にする方向で「政府としての検討を進める」と正式表明した。日本の安保政策の分岐点となり得る重大な方向転換だ。幅広い国民の理解を得られるように丁寧な説明、粘り強い対話を求めたい。...報告書は「一方的に米国の庇護(ひご)を期待する」という冷戦期の対応は時代遅れだと強調し、新たに必要な法整備を進めるべきだと訴えている。

 財政難の米国に単独で世界の警察を務める国力はもはやない。内向きになりがちな米国の目をアジアに向けさせるには、日本も汗を流してアジアひいては世界の安定に貢献し、日米同盟の絆を強める努力がいる。...
 政府はまず、急いで取り組むべき課題とじっくり考えるべき課題、現行法制でできることと憲法解釈の見直しが必要なことを、きちんと仕分けることが大事だ。...
 今の時点で最も警戒が必要な非常事態としては、沖縄県の尖閣諸島などの離島に漁民と称する正体不明の武装集団が上陸するケースが考えられる。

 警察や海上保安庁には荷が重いが、かといって、いきなり自衛隊が防衛出動するのか。警察権と自衛権の境界にあるグレーゾーンへの対処方法を早く決めておかなくてはならない。これは憲法解釈の見直しも不要で、来週始める自民党と公明党の協議はここから着手するのが妥当だ。...
 与党協議では具体的な事例に沿って検討すべきだ。戦後日本の憲法論議は一般人には縁遠い法理にばかり着目し、袋小路に入り込むことが多かった。

 日本が直面しそうな危機に対処するにはどんな手があるのか、それは公明党が主張する個別的自衛権の拡大解釈などで説明できるのか、集団的自衛権にもやや踏み込むのか――。こうした議論を重ねれば合意に至る道筋は必ずみつかるはずだ。...
 話し合うべきは与党だけではない。民主党など野党にも集団的自衛権の行使解禁に前向きな議員はいる。国を二分する論争にすれば政権交代があるたびに憲法解釈が変更されかねない。...
 外国への説明も不可欠だ。報告書の中身をよく読みもせずに「軍国主義の復活」などと言い立てる国も出てこよう。有事への備えの強化と並行して、周辺国との緊張緩和にも全力で取り組み、日本の意図を世界に正しく理解してもらわねばならない。


毎日:集団的自衛権 根拠なき憲法の破壊だ2

 憲法9条の解釈を変えて集団的自衛権の行使を可能にし、他国を守るために自衛隊が海外で武力行使できるようにする。安倍政権は日本をこんな国に作り替えようとしている。...
 9条は戦争放棄や戦力不保持を定めているが、自衛権までは否定していない。しかし、自衛権行使は必要最小限度の範囲にとどまるべきだ。個別的自衛権は必要最小限度の範囲内だが、自国が攻撃されていないのに、他国への武力攻撃に反撃できる集団的自衛権の行使は、その範囲を超えるため憲法上許されない。...
 報告書はこの解釈を180度変更し、必要最小限度の中に集団的自衛権の行使も含まれると解釈することによって行使を認めるよう求めた。

 これは従来の憲法解釈の否定であり、戦後の安全保障政策の大転換だ。それなのに、なぜ解釈を変えられるのか肝心の根拠は薄弱だ。...
 それでも行使できるようにしたいというのなら、国会の3分の2の賛同と国民投票という手続きを伴う憲法9条改正を国民に問うのが筋だ。...
 報告書は、実際の行使にあたっては「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある」などの要件を満たした場合、政府が総合的に判断して必要最小限度の行使をするか否かを決めるよう提言している。いわゆる限定容認論といわれる考え方だ。

 裏返せば、政府が日本の安全に重大な影響を及ぼすと判断すれば何でもできるということだ。実質は全面容認と変わらない。報告書は、地理的限定は不適切とも言っている。

 ...歴史を顧みれば、自衛の名のもとに多くの侵略戦争が行われてきた。集団的自衛権が戦争への道をひらく面があることを忘れてはならない。...与党協議では、日本の安全や国益に必要なことは何か、憲法解釈変更でなければ実現できないのか、近隣諸国との関係にどんな影響が出るのかなど、現実を踏まえた具体的で冷静な議論を求める。


読売:集団的自衛権 日本存立へ行使「限定容認」せよ

 ◆グレーゾーン事態法制も重要だ◆

 日本の安全保障政策を大幅に強化し、様々な緊急事態に備えるうえで、歴史的な提言である。...
 首相は記者会見し、「もはや一国のみで平和を守れないのが世界の共通認識だ」と強調した。

 在外邦人を輸送する米輸送艦に対する自衛隊の警護などを例示し、集団的自衛権の行使を可能にするため、政府の憲法解釈の変更に取り組む考えも表明した。その方向性を改めて支持したい。

 ◆解釈変更に問題はない◆

 自民、公明両党は20日に協議を開始する。政府は来月中にも新たな憲法解釈などを閣議決定することを目指しており、与党協議の加速が求められる。...安倍首相は、集団的自衛権の全面行使や集団安全保障への全面参加は従来の憲法解釈と論理的に整合しないとして、採用できないと明言した。一方で、「限定容認論」に基づき、与党との調整を進める方針を示した。

 首相が有識者会議の提言の一部を直ちに否定するのは異例だが、解釈変更に慎重な公明党に配慮した政治的判断と評価できる。...海外での戦争参加を認めるかのような誤解を払拭し、幅広い与野党や国民の合意を形成するためにも限定容認論が現実的である。

 解釈変更には、「立憲主義の否定」といった批判もある。

 だが、内閣の持つ憲法の公権的解釈権に基づき、丁寧に手順を踏み、合理的な範囲内で解釈変更を問うことに、問題はなかろう。...
 解釈変更は、行使を可能にしておくことで日米同盟を強化し、抑止力を高めて、紛争を未然に防止することにこそ主眼がある。憲法には平和主義に加え、平和的生存権や国際協調主義がうたわれていることも忘れてはなるまい。

 偽装漁民による離島占拠など、武力攻撃に至らない「グレーゾーン事態」について、報告書は、平時から「切れ目のない対応」を可能にするよう、法制度を充実すべきだと主張している。
...
 中国が海洋進出を活発化し、尖閣諸島周辺での領海侵入を常態化させる中、グレーゾーン事態はいつ発生してもおかしくない。

 現行の自衛隊法では、自衛権に基づく「防衛出動」は武力攻撃を受けた場合に限られる。警察権で武器を使う「海上警備行動」では、武装した特殊部隊の制圧などには不十分との指摘がある。

 海上自衛隊や海上保安庁がより迅速かつ機動的に対応し、効果的に武器を使用できる仕組みにしておくことが重要だ。

 公明党もグレーゾーン事態に対処する法整備には前向きな姿勢を見せており、議論を深めたい。


中日:行使ありきの危うさ 「集団的自衛権」報告書

 「出来レース」の誹(そし)りは免れまい。安倍晋三首相に提出された報告書を「錦の御旗」に、集団的自衛権の行使容認に踏みきることなど断じて許されない。...
 集団的自衛権...は、報告書が指摘するように、一九四五年の国際連合憲章起草の際、中南米諸国の求めで盛り込まれた経緯がある。
 安全保障理事会の常任理事国に拒否権が与えられ、発動されれば国連の安全保障措置が機能しない懸念があるとして、中小国が集団で防衛し合う権利を認めさせたのだ。
 しかし、国連に報告された行使の事例をみると、米国などのベトナム戦争、旧ソ連のハンガリー動乱やプラハの春への介入など、大国による軍事介入を正当化するものがほとんどだ。このような「戦争する」権利の行使を今、認める必要性がどこにあるのか。
 中国の海洋進出や北朝鮮の核・ミサイル開発が現実的な脅威だとしても、外交力を駆使して解決するのが筋ではないのか。軍事的な選択肢を増やしたとしても、軍拡競争に拍車を掛ける「安全保障のジレンマ」に陥るのが落ちだ。...
 戦争放棄と戦力不保持の憲法九条は、第二次世界大戦での三百十万人に上る尊い犠牲の上に成り立つことを忘れてはなるまい。
 その九条に基づいて集団的自衛権の行使を認めないのは、戦後日本の「国のかたち」でもある。
 一九八一年に確立したこの憲法解釈を堅持してきたのは、ほとんどの期間政権に就いていた自民党中心の歴代内閣にほかならない。...
 もし、集団的自衛権を行使しなければ、国民の命と暮らしを守れない状況が現実に迫りつつあるというのであれば、衆参両院での三分の二以上の賛成による改正案発議と国民投票での過半数の賛成という九六条の手続きに従い、憲法を改正するのが筋である。...
 国民の命と暮らしを守る方策を検討するのは当然だ。...
守るべきは平和主義

 首相は会見で「憲法の平和主義を守り抜く」「自衛隊が湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してない」とも述べた。これ自体は評価したい。ぜひ実践してほしい。
 しかし、公明党や自民党の一部など与党内でも、解釈改憲という安倍内閣の政治手法に対する危機感が高まっているのも事実だ。
 カギを握るのは公明党である。戦後日本の「専守防衛」政策を根底から変えようとする安倍内閣に、政権内部からどう歯止めをかけるのか、日本の命運を左右する正念場と心得るべきである。


沖縄:[安保法制懇報告書]戦争する国になるのか

...「戦争をしない国」から「戦争ができる国」への大転換となる。「平和国家日本」は、最大の岐路に立たされている。
...
 集団的自衛権は、日本に対する攻撃がないのに他国を防衛するための「他衛権」である。日本が戦後、国是としてきた「専守防衛」から大きく踏み出すことになる。そもそも集団的自衛権は専守防衛ではなく、必要最小限度などと枠をはめるようなことはできないはずである。
...
 武装集団が離島に上陸することなど「グレーゾーン事態」に対する自衛隊の活動を可能にする法整備の必要性にも触れている。念頭には尖閣諸島の領有権問題をめぐる中国の動きがある。

 「本土防衛のための捨て石」にされ、県民の4人に1人が犠牲になった苛烈な沖縄戦が戦後の沖縄の原点である。日中間で軍事衝突が起これば、沖縄が戦場になるのは目に見えている。

 政府が日本を取り巻く安全保障環境の変化を指摘しているのはその通りだが、隣国でありながらいまだに首脳会談を実現することができないのは、中国側の自国中心主義の強権的な振る舞いはもちろん、首相の靖国神社参拝など日本側にも原因がある。...
 20日から協議を始める「平和の党」を掲げる公明党にとっても文字通り正念場だ。連立政権にとどまるのか、結党の精神を守るのか。党の存在意義が問われている。


信濃毎日:安保をただす 集団的自衛権 危険な本質を覆い隠すな

 集団的自衛権の危険な本質を覆い隠そうと腐心した―。そんな表現がぴったりくる。安倍晋三首相のきのうの記者会見だ。...
   <小さく産んで…の恐れ>
...
 自衛権という字面から一見、筋が通っているように思えるかもしれない。実際は違う。これまでの解釈で必要最小限度の実力行使は日本への攻撃を前提としている。...
 限定的であれ、行使を認めれば9条の縛りはなくなる。「わが国の安全に重大な影響を及ぼす可能性があるとき」といった条件を付けたとしても、歯止めにはならない。後は政権の判断で対象を広げられる。小さく産んで大きく育てるつもりではないのか。

 そもそも集団的自衛権が平和や安定に資するか、疑問だ。例えば米国への攻撃に対して日本が反撃する場合、相手国からの報復を覚悟しなくてはならない。争いを呼び込むことになる。国民を危険にさらす結果になりかねない。...
 日本が行使を容認すれば、米国が自衛の名目で武力行使に踏み切ろうとするとき、自衛隊の派遣を求められる可能性が高い。戦争への加担を余儀なくされる事態も想定しなくてはならない。

 首相は「日本が再び戦争をする国になるといった誤解がある」とした。「そんなことは断じてあり得ない」とも述べている。そう言い切れるのは、なぜか。根拠を示すことなく断言したところで説得力はない。

 集団的自衛権は米国や旧ソ連などが軍事介入の口実として、しばしば使ってきた。乱用の歴史も忘れてはならない。...
 与党協議で自民は、慎重姿勢の公明を説得するため個別的自衛権の議論を先行させ、突破口にしようとしている。海外での交戦を可能にする集団的自衛権は全く別の問題だ。関連付けるような進め方で国民を欺くことは許されない。


北海道:集団的自衛権、首相が示す「方向性」 日本の安全を危うくする

 戦後日本の安全保障政策を転換し、自衛隊の海外での武力行使に道を開けばアジアの軍事的緊張を高め、日本の安全を危うくする。

 憲法をないがしろにしてまで集団的自衛権の行使容認を目指す安倍晋三首相の姿勢は、断じて認めるわけにはいかない。...
 首相は有事に至らないグレーゾーン事態対処にも意欲を示した。

 一方で、集団的自衛権の全面的行使容認や国連の集団安全保障に基づく武力行使は否定し、「自衛隊が湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してない」と強調した。

 現行憲法解釈で可能なグレーゾーン事態対処を糸口に、集団的自衛権行使を限定的に認める憲法解釈変更につなげ、最後は改憲で全面的行使に持ち込む狙いだろう。...アリの一穴は必ず広がる。...
 首相は集団的自衛権の行使を認めることで「抑止力が高まり、紛争が回避され、わが国が戦争に巻き込まれなくなる」と述べた。...
 だが、こうした「力には力」の発想は軍事的対立を激化させ、安保環境を一層、悪化させる危険性がある。

 首相の外交軽視、軍事一辺倒の姿勢に懸念を示しているのは中国や韓国だけではない。オバマ米大統領は尖閣問題の平和的解決に向け日中双方に対話を促している。

 北東アジアの平和と安定を築くための外交戦略を欠き、靖国神社参拝で対話のドアを自ら閉ざし、もっぱら軍事力強化にひた走る。これでは「国民の命と暮らしを守る」どころか逆に危険にさらす。

 いま必要なのは、周辺国への影響を考慮し、大局的観点に立った安保政策である。


琉球:集団的自衛権 憲法骨抜きにするな 「遠隔地の戦争」の危うさ

 他国の戦争に連なって戦争できる国に転換する。その歴史的節目を日本も越えたのかもしれない。
 安倍晋三首相は、集団的自衛権の行使を可能とする憲法解釈変更を目指すと明言した。安全保障面で関係があるなら、別の国への攻撃に対しても武力を用いることになる。戦後68年間、日本は1人の戦死者も出さずにきたが、他国の戦争で自衛隊員に死者が出る可能性が高まる。その覚悟が安倍首相にも国民にもあるとは思えない。...
 安倍首相の会見は本質をぼかす印象操作そのものだった。紛争地で救出した邦人を乗せた同盟国の船が攻撃を受けたとし、武力を使って守ることが許されないのか-と問い掛けて見せた。よく考えてみたい。他国とは米国を念頭に置いていることは間違いない。世界最大の武力を有する国に対し、宣戦布告に等しい攻撃を仕掛ける国がどこにあるだろうか。...
 会見で首相が用いたパネルの日本地図には、なぜか沖縄だけが抜け落ちていた。集団的自衛権の行使は米国の軍事行動との連携が念頭にある。もし行使されれば、本土から遠く、米軍基地と米兵が集中する遠隔地の沖縄が攻撃対象になる危険性が高まるだろう。
 1982年に起きたフォークランド紛争で、支持率低迷にあえいでいたサッチャー首相はアルゼンチンの侵攻に対抗して、遠く離れた領土を守る戦争に踏み切った。
 英本国には影響が乏しい「遠隔地の戦争」はナショナリズムを高揚して支持率を押し上げた。...遠隔地はどこか。中国との領有権問題を抱える沖縄の「尖閣諸島」の名が第一に挙がるはずだ。
 「他人のけんかを買って出る」(評論家の内田樹氏)集団的自衛権行使は泥沼の戦争を招きかねない。世界では抑制的な流れが顕在化しているが、日本は逆に「戦争をしたがる国」との印象を持たれよう。基地の島・沖縄から歴史に根差す反対の声を上げ、解釈改憲の愚に歯止めをかけたい。


北國:安倍首相が会見 抑止力強化へ現実対応

 安倍晋三首相が有識者懇談会から提出された報告書を受け、会見を開いて政府の基本的方向性を説明した。...具体的にパネルを使って説明したことで、集団的自衛権についての問題が整理され、国民の理解も一定程度得られたのではないか。
 安倍首相は、「国民の命を守るための法整備が、これまでの憲法解釈のままで十分にできるのか、さらなる検討が必要だ。...
 集団的自衛権の行使を容認するなら憲法自体を変えるべきという意見は正論ではあるが 、現実問題として中国の軍事的圧力や北朝鮮の核の脅威は年々高まっている。憲法改正に膨大な時間と労力をかけるより、解釈変更で現実対応しようとするのは、政治家として妥当な判断ではないか。

 憲法を厳密に守っていれば平和は保たれるといった空想的平和主義では国を危うくする。...そもそも憲法を厳密に解釈すれば、自衛隊の存在自体が「違憲」といわれる。吉田茂元首相は国会答弁で「自衛権の発動としての戦争も、交戦権も放棄した」と述べたこともあり、自衛権をめぐる憲法解釈は時代ととも変わってきた。集団的自衛権の行使について、過去との整合性にこだわりすぎるのも考えものである。


赤旗:集団的自衛権行使 歴史逆行の危険な野望許さず

...日本を「海外で戦争する国」につくり変えようという、歴史逆行の危険な暴走です。
...
 米国のアフガニスタン戦争やイラク戦争に際し自衛隊派兵を強行した小泉純一郎首相でさえ、集団的自衛権と憲法の関係について「解釈変更の手段が便宜的、意図的に用いられるならば、…政府の憲法解釈、ひいては憲法規範そのものに対する国民の信頼が損なわれることが懸念される」「憲法について見解が対立する問題があれば、便宜的な解釈の変更によるものではなく、正面から憲法改正を議論することにより解決を図ろうとするのが筋」だと表明していました。(2004年2月27日、参院本会議)

 主権者である国民が憲法によって国家権力を縛る原理としての立憲主義を保守政治なりに守ろうとしてきたといえます。安倍首相が一内閣の勝手な判断で憲法解釈を変え、集団的自衛権の行使容認に踏み込もうとするのは、立憲主義の乱暴な否定です。...
 報告書は、「我が国の安全に重大な影響を及ぼす可能性がある」ことを集団的自衛権の発動要件にしました。しかし、その判断基準は、「日米同盟の信頼が著しく傷つきその抑止力が大きく損なわれうる」などと抽象的です。

 時の政権の判断で拡大解釈が可能であり、際限なく海外での武力行使に道を開くことになります。安倍首相の危険な野望に対し大きく広がりつつある反対世論をさらに強める運動が急がれます。


朝鮮日報:集団的自衛権容認、日本は歴史に汚点残すのか

...このままでは来年ごろ、日本は第2次世界大戦での敗戦から70年を経て、日本本土の外でも「戦争ができる国」へと生まれ変わることになる。...
 日本がアジアで軍事面での役割をこれまで以上に強化すれば、韓半島周辺はもちろん、アジア全体の安全保障環境に大きな影響を及ぼしかねない。アジアではすでに米中両国の対立に加え、中国と日本の対立、中国とベトナムなど東南アジア諸国との対立などが複雑に絡み合っており、いつ何らかの軍事衝突が起こってもおかしくない状況にある。韓日関係も同じくこれまで1年以上にわたり最悪の状況が続いている。このような中、日本の軍隊がいつでも韓半島周辺で実際の軍事作戦に乗り出すことができるようになるわけだ。安倍内閣は「韓国の同意なしに韓半島に介入することはない」と何度も表明しているが、今回集団的自衛権という一線を越えたように、いつその言い分を変えるか予想はできない。
...安倍内閣は、今回の選択が歴史に重大な汚点を残しかねないことをしっかりと理解しなければならない。


中央日報:日本の集団的自衛権行使の条件

日本の安保政策が重大な分岐点を迎えている。... 集団的自衛権が行使されれば自衛隊が他国のために応戦できるだけに、日本の専守防衛の原則は事実上、死文化する。自衛隊が日本の外側で戦闘できる道も開かれる。平和憲法もゴムひも式の解釈変更によって、うわべだけが残る。日本安保の一大転換に違いない。

日帝侵略戦争の被害国が、日本の積極的な安保を憂慮するのは当然だ。...
北朝鮮が対南威嚇を加速化する状況で、中国と日本が安保の膨張主義へ向かいながら韓国の外交・安保は新しい挑戦に直面している。ハイレベルの力量が要求される時だ。平和と繁栄の北東アジアのための「実事求是」の外交的努力を止めてはいけない。


 というわけで、なんか久しぶりに社説をスクラップしたなぁ。

 まぁ、これからの与党内での協議とか、与野党の協議とか、国会での議論を経ての話なので、あの記者会見は首相から国民への問いかけとして受け止めた方がよろしかろうと。
 個人的に引っかかったのは琉球新報の一節。


 1982年に起きたフォークランド紛争で、支持率低迷にあえいでいたサッチャー首相はアルゼンチンの侵攻に対抗して、遠く離れた領土を守る戦争に踏み切った。
 英本国には影響が乏しい「遠隔地の戦争」はナショナリズムを高揚して支持率を押し上げた。安倍氏が2004年にイギリスに送った腹心議員らの視察団は「フォークランド紛争を機に英国民が誇りを取り戻し、『自虐偏向教科書の是正』などの改革へ続いた」と評価する報告書を提出していた。
 「遠隔地での戦争」を通じてサッチャー長期政権に道を開いた史実を首相が認識していないはずがない。遠隔地はどこか。中国との領有権問題を抱える沖縄の「尖閣諸島」の名が第一に挙がるはずだ。


 上で省略してたトコも出したけど、これ、私はどう読んでも「本土と関係ない遠隔地の沖縄の一部(尖閣諸島)が攻められてもイギリスみたいに助けに来るようなことはしなくていいです。」と読めてしまうのです。琉球新報は尖閣なんかくれてやれって認識なんでしょうかね?

 正直な話、憲法解釈でどーのこーのよりは改憲が筋でしょうと思ってます。憲法解釈でやろうってなると、正直、安倍晋三内閣の間は大丈夫なんだろうけど。その後、もっと具体的には政権交代がまたあった後がおっかないと思っていたりする。
 この解釈を仮に第一次安倍政権時に行って通していて、2009年からの鳩山由紀夫・菅直人両政権だったら尖閣の絡みで日本はどうなっていただろうか?というifを考えてみると、面白いんじゃないかと思ったりするのだ。まぁ、時間が無いってのも解るんだけどね。ただまぁ、改憲も同時に進めるくらいでないとダメなんじゃん?って思う。やっぱり。どうにも。

 あと、たまに見かけるんだけど、この解釈変更でアメリカと一緒に戦争することになるって意見。
 どうもアメリカがしでかしたイラク戦争とかアフガン戦争の後に小泉純一郎が自衛隊派遣したのとかが念頭にあるようなんだけど。あれ、一応は国連のPKOでの派遣だったはずだよね?一応アメリカとは緊密ではあるけど、自衛隊が海外派遣されるときはアメリカの要請が強かったとしても国連から頼まれないと出て行かなかったはずで、それがこれからも変わるとは思えないんだよね。PKO法を変えるとかしない限りは。

 集団的自衛権に関しては何度かTwitterでは書いたけど、多分一番その判断を迫られる時、一番実行させられるのは多分PKO派遣の時だと思うのだ。南スーダンで韓国軍に自衛隊が弾薬貸したなんて話があったけど、あれ、囲まれてたのが韓国軍とかじゃなく、自衛隊と他国軍だったら、その中でも集団的自衛権を認めない憲法解釈を守り通せと政府は言えるのか、言えたのか。って話。
 これは議論中にも、私みたいな素人間の論争でも多分ずーーーーーーーーーっと付きまとう問題だと思ってるので、集団的自衛権について考えるのであれば、まず真っ先に考えておいたほうがいいと思うのですよ。日本の国土領海領空内での話だったら「そりゃ手伝えた方がいいんじゃない?」って割となるだろうからね。

 憲法を守れ。
 というのも解るんだけど、

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

 と当の憲法の前文に書いてあってな。平和維持と名のある活動に参加しないで金だけ出すだけで前文のこの一節を達成することが出来るのであろうか。と思うのだよ。

 頭痛くなるから、とりあえずこのへんで。でもまぁ、どうせそのへんの調査とか投票とかいずれ来るから、ちょっとは考えておいた方がいいと思うのですよ。えぇ。

2013/02/14(木) 「北朝鮮の核実験で社説」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 116コ

朝日:北朝鮮核実験―孤立国家に未来はない

 こんな愚かな行為を、いつまで繰り返すのか。

 北朝鮮が3度目となる核実験を強行した。地域の平和と安定を乱す暴挙で、強く非難する。

 国連安全保障理事会は、北朝鮮が核実験をすれば「重大な行動を取る」と警告していた。追加制裁などの対応を速やかにまとめ、核実験を許さない強い意志を示すべきだ。...
 北朝鮮のさらなる暴走を抑えるには、追加制裁などで十分な圧力をかけつつ、南北朝鮮に日米中ロを加えた6者協議を再開して、粘り強く打開を探るしかない。

 日本は尖閣や竹島をめぐる中国や韓国との対立も抱えるが、ここは連携を強化すべきだ。...
 中国は、北朝鮮の安定のために過度に配慮する政策の限界を認め、姿勢を転換すべきときだ。中国からの食糧やエネルギーを止めれば、北朝鮮にとって大きな圧力になる。

 北朝鮮は、核やミサイルの技術、資材を海外から入手した可能性もある。こうした移転を防ぐための国際的な監視態勢の強化も欠かせない。

 この分野でも、中国の役割は大きい。


産経: 北の核実験 制裁強化し暴走止めよ 集団的自衛権、急ぎ容認を23

 北朝鮮が3度目の核実験を強行した。世界の平和と安全への重大な挑戦であり、断じて許すことはできない。

 国際社会は、国連安保理の追加制裁をはじめ、各国独自の制裁強化など、あらゆる手段で北の暴走を阻止すべきだ。...
 日本も、北の脅威から国民の生命、安全を守るため、総力を挙げなければならない。同盟国である米国に向けた核ミサイルを迎撃するためにも、集団的自衛権の行使容認は喫緊の課題だ。...
 安倍晋三首相は実験直後に「断固として非難する」との声明を発表した。同時に、朝鮮総連の副議長5人を、北朝鮮からの再入国禁止対象に新たに含めるとの追加制裁措置を明らかにした。

 さらに今後の北の対応を考慮しつつ、追加の措置を検討するというが、報告なしで北に送金できる額(現行300万円)の引き下げにも踏み込むべきだ。...
 米政府はかつて、マカオの銀行の北の関連口座を凍結し、北指導部を追い詰めた。この手法を復活させるべきだ。...日本人拉致も含めて、北を「テロ支援国家」に再指定することも求めたい。...
 北の暴走を許した最大の責任は中国にあるといえる。...
 中国は、追加制裁に抵抗して決議を遅らせてはならない。日米韓も結束し、中国に態度を改めるよう迫るべきだ。...
 集団的自衛権の行使容認により、日米共同で北の脅威への抑止力を高めなければならない。

 安倍首相は、行使容認に慎重な公明党の説得などに時間をかける構えだが、そんな余裕はないことを認識すべきだ。


中日: 核保有なら孤立無援に 北朝鮮が実験強行

 北朝鮮が国際社会の制止を振り切り三回目の核実験をした。国民の多くが満足な食事もとれないのに、核とミサイル開発を続けるのはあまりに無謀だ。...
 北朝鮮は五大国だけが核兵器を保有する核拡散防止条約(NPT)体制に挑戦している。自らを「核保有国」だと認めさせれば、軍事施設への査察を拒否でき、核削減を迫られたら巨額の経済支援を求めるという「皮算用」をはじいているとみられる。
 同時に、朝鮮戦争(一九五〇~五三年)から六十年続く休戦状態を終わらせ、米国との間で平和条約を結んで現体制を維持するのが目的だろう。...国際社会は厳しい現実を突きつけ、核開発の断念を迫っていきたい。
 中国の習近平政権には、エネルギーや食料など援助の大幅削減も視野に入れ、北朝鮮の危険な行為が高くつくことを理解させるよう望む。...
 安保理は緊急会合を開くが、米国と日韓両国は制裁強化で臨み、中国も再び制裁に同調する可能性がある。米韓は先週、日本海で合同軍事演習を実施し、強い圧力をかけた。朝鮮半島の緊張がさらに高まると懸念される。...
 今回の危機は長期化する。経済制裁、外交、さらに軍事的圧力も含め、周辺国が足並みを乱さずに対応することが何よりも重要だ。


日経: 核実験強行の北朝鮮に厳しい制裁科せ

 北朝鮮はいったい、国際社会への挑発をどこまでエスカレートするつもりなのか。昨年末の長距離弾道ミサイル発射に続き、こんどは核実験を強行した。蛮行を断じて見過ごすわけにはいかない。...
 北朝鮮に蛮行を繰り返させないようにするため、安保理は実効性のある厳しい制裁を科す必要がある。本格的な金融制裁、貿易制限など、北朝鮮指導部に真に痛手となる具体的措置を求めたい。

 日本政府は直ちに、独自の追加制裁を決めた。米国でもテロ支援国家に北朝鮮を再指定する案が浮上しているという。関係各国が連携し、北朝鮮の核開発阻止へ包囲網を強めることが肝要だろう。

 とりわけ、北朝鮮の後ろ盾とされる中国の対応が重要だ。先の決議には中国も賛成した。北朝鮮にとって生命線となるエネルギーなどの貿易制限、金融制裁を含め、こんどこそ「重大な行動」に踏み出すべきではないか。...
 北朝鮮が米国を射程に入れた核ミサイル開発を進めているとすれば、日本も当然、射程に入ってくる。同盟国である米国との連携を軸に、有事に備えた監視体制を強化することも喫緊の課題だ。


毎日:北朝鮮またも核実験 深刻な脅威を直視せよ2

 北朝鮮が、3度目の地下核実験を成功させたと発表した。「爆発力が大きいながらも、小型化、軽量化された原子爆弾を使い、完璧に行われた」と誇りもした。...
 安倍晋三首相は声明を発表し「わが国の安全に対する重大な脅威」であると同時に「国際的な軍縮不拡散体制に対する重大な挑戦」だと厳しく非難した。今後は国連安全保障理事会での速やかな協議と、日本としての措置が焦点になる。緩みのない対応をしてほしい。...
 北朝鮮の核・ミサイル開発が続く背景の一つは、中国の姿勢だろう。北朝鮮は食糧やエネルギーの7割以上とも言われる量を中国に依存している。中国がその提供量を少し絞るだけで北朝鮮は立ちゆかなくなるという見方さえある。...
 3度目の核実験で北朝鮮の脅威がますます高まった以上、中国は安保理で厳しい姿勢を明確にし、国際社会を納得させるべきである。...
 一方、私たちがしばしば求めてきた「日米韓の結束」にも、弱点があったのではないか。...
 北朝鮮が続けてきたことは文字通り国際社会に対する挑戦である。これを放置すれば北朝鮮と同じことをしようとする国やテロ集団が続出しかねない。そんな世界を受け入れるわけにはいかない。

 私たちは北朝鮮の脅威を食い止められるか、それとも彼らのおどしにおびえ続けねばならないかの瀬戸際に立っていると考えるべきだろう。


読売: 北朝鮮核実験 国際連携で制裁を強化せよ

...北朝鮮の核兵器開発が一段と危険な段階に入った。安全保障環境の悪化を踏まえ、日本は米国などと連携し、対北朝鮮抑止力を強化すべきだ。...
 安倍首相が、「我が国の安全に対する重大な脅威」として、北朝鮮の核実験強行を「断じて容認できない」と強く非難する声明を発表したのは当然である。...
 自衛隊と米軍の協力を基礎にミサイル防衛能力を向上させるとともに、核を持たぬ日本が抑止力とする米国の「核の傘」の信頼性を担保することが重要だ。
 首相が、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)副議長らが訪朝すれば再入国を認めない、との日本独自の制裁強化を直ちに実施したことは評価できる。追加の措置も検討してもらいたい。...
 25日に就任する韓国の朴槿恵次期大統領にとっても、この核実験は大きな試練だ。日米同盟の強化は無論、日米韓で危機管理体制を構築することが不可欠である。...
 国連安全保障理事会は、制裁強化を新たに決議すべきだ。...安保理は今度こそ包括的で実効性ある制裁を決定し、その実施を徹底すべきである。...習近平政権は、北朝鮮に厳しく対処し、核開発断念へ強い圧力をかけるべきだ。...
 北朝鮮は、自らの行動が結果的には体制の脆弱化を招くことを自覚すべきである。


 まぁ、大体どこも非難してましたし、「中国も制裁すれ」というので大体一致でしたね。
 全文引用しますが、沖縄タイムスと琉球新報が立場が明確でわかり易かったですね。

沖縄:社説[北朝鮮核実験]「核不拡散」への挑戦だ

北朝鮮が3回目の核実験を強行した。日本や米国、韓国、中国、ロシアなど各国の中止要求を振り切るように実施に踏み切った。

朝鮮中央通信は「爆発力が大きく、小型化・軽量化し、高い水準で、安全で完璧に実行した」と、今回の核実験を自画自賛した。朝鮮半島の非核化を求めてきた国際社会に対する挑戦であり、国連安全保障理事会の非難や制裁決議をも無視した暴挙というしかない。

これまでのミサイル発射や核実験によって、北朝鮮は核弾頭を搭載した弾道ミサイルを、日本に打ち込むことが技術的に可能になった。これは日本の安全保障にとって重大な脅威である。

韓国も危機感を表明し「北朝鮮を射程に収めるミサイルを早期配備する」との対抗措置を明らかにした。東アジアの安全保障環境が急速に悪化し、不安定化する可能性がある。

国際社会からの孤立化が避けられないにもかかわらず、北朝鮮が核実験を強行したのはなぜなのか。

金正恩第1書記の権力基盤を維持・強化し、核保有国として米国との交渉を有利に運ぶのが狙い、という見方もある。

今回の核実験が過去2回の実験と異なるのは、北朝鮮に影響力を持つ友好国の中国とロシアが実験の中止を明確に求めたことだ。これまでの国連決議などでは、北朝鮮を擁護する姿勢を示していた。その2カ国の制止にも聞く耳を持たなかったことになる。

■ ■

北朝鮮は昨年12月、長距離弾道ミサイルの発射に成功した。射程距離は米本土にも届く1万キロ以上あるとされている。

国連安保理は今年1月に制裁決議し、その中で核実験を実施した場合は「重大な行動」を取ることを警告していた。しかし、3回目の核実験はいとも簡単に実施された。

過去2回(2006年10月と09年5月)の核実験の際も北朝鮮は、1~3カ月前にミサイルを発射、その後の国連安保理決議を無視し、核実験を強行している。

北朝鮮は最初から核兵器を手放すつもりはなかったのではないか、との疑念がぬぐえない。

北朝鮮は1月の外務省声明で「朝鮮半島非核化は終わりを告げた」と主張したが、これは北朝鮮を「核保有国」として認知するよう国際社会に迫ったものであり、6カ国協議合意を完全にほごにするものだ。

■ ■

北朝鮮の核実験強行によって、日本など周辺諸国が制裁を強めるのは確実である。国連決議に反して実験を強行した以上、制裁措置を科すのは当然であるが、北朝鮮の態度を軟化させることができるかは全く未知数である。

北朝鮮の核開発をどのような形で阻止していくのか。米中ともに対北朝鮮政策の見直しを迫られている。

北朝鮮の「核保有国」としての存在を認めてしまえば、この動きがイランなどにも波及するのは確実で、核不拡散体制は大きな危機を迎えることになる。

琉球:北朝鮮核実験強行 理性取り戻し過ち認めよ

関係各国の強い中止要求も、この国にはついに通じなかった。国際社会への重大な挑戦であり、強い憤りを禁じ得ない。
北朝鮮が12日午前、3度目の核実験を強行した。国連安保理が「重大な行動をとる」と強く警告したにもかかわらず、平和的解決に向けた対話を拒んだ。これで国際社会の北朝鮮に対する不信は決定的となった。
核実験やミサイル発射で緊張を高め、米国など国際社会の譲歩を引き出す狙いなのだろう。しかしそうした挑発行為が北朝鮮に何の利益ももたらさないことは明らかなはずだ。北朝鮮指導部は自ら国際的孤立を深め、国民を窮地に追い込む道を選んでしまった。歴史的な過ちと言うほかない。
核実験強行により、朝鮮半島をめぐる緊張が高まるのは必至だ。日本や米国、韓国は追加制裁の検討を進めるとみられる。極めて憂慮すべき事態だ。追加制裁はもはや避けられないだろう。追い込まれた北朝鮮が次にどんな手を打ってくるか気掛かりだが、今からでも理性を取り戻してほしい。
北朝鮮外務省は声明で、核放棄を盛り込んだ2005年の「6カ国協議共同声明は死滅し、朝鮮半島非核化は終わりを告げた。今後、非核化を論じる対話はないだろう」と言明。北朝鮮の国防委員会も「米国などの敵視策動を粉砕する全面対決戦に突入する」と核実験実施を警告していた。
残念なのは、こうした挑発に対して、米国、中国を含めた関係国が、外交手段を駆使して、核実験を回避させることができなかった点だ。とりわけ、北朝鮮を説得する役割を期待された中国の影響力の低下は否めない。習近平総書記も対北朝鮮政策の変更を迫られよう。
北朝鮮の最高指導者、金正恩第1書記は、新年の辞で「経済強国建設」と「人民生活の向上」を重点目標に掲げた。目標達成には国際社会から信任を得ることが何よりも重要であったはずだ。核実験強行は、まさにそれに逆行するものであり、国民からも理解は得られまい。目標の実現は極めて困難になったと言わざるを得ない。
北朝鮮が自国の発展を望むのであれば、声明を撤回し、朝鮮半島非核化に全面協力する以外ない。理性を失い、さらなる“暴走”を企てるなら、それは破滅への道でしかないと心得てほしい。

 アメリカにこうして欲しいって意見が無いんですね。
 日頃の米軍基地に対しての態度が出ているという。

 どうにしても、安保理の常任理事国を全部味方にしないと話が結局ウダウダとしたものになるので、制裁するなら、そこいらをどうにかしなきゃならないので。今の中国に今の北朝鮮を庇うメリットってあるのかどうか。庇わないデメリットが多いのかどうか。そのへんになるのかなぁ。

 日本としては、あんまり北朝鮮に肩入れしてもメリット無いしなぁ。どうすりゃ美味しい展開になるんだか。んー。

2012/11/01(木) 「臨時国会始まって野田佳彦内閣総理大臣の所信表明もあったことですので社説」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 83コ

首相官邸:第百八十一回国会における野田内閣総理大臣所信表明演説


一 はじめに ~明日の安心、明日への責任~

第百八十一回国会に当たり、謹んで所信を申し上げます。
内閣総理大臣を拝命してから一年余。この間、私を突き動かしてきたものは、この国の将来を憂える危機感です。今、何とかしなければならない、という切迫した使命感です。
東日本大震災が我が国に突き付けた難題。そして、それ以前から我が国が背負ってきた重荷の数々。いずれも、このまま放置すれば、五年後、十年後の将来に取り返しのつかない禍根を残してしまうでしょう。立ち止まっている時間はないのです。
二年目の厳しい冬を迎える被災地の復興。今も続く原発事故との戦い。事故に起因して再構築が求められるエネルギー・環境政策。不透明感を増す足下 の経済情勢と安全保障環境。そして、歴史に類を見ない超少子高齢化社会の到来。全ての課題は複雑に絡み合い、この国の将来を覆っています。
先の国会で私は、先送りを続ける「決められない政治」から脱却し、「決断する政治」の実現を訴えました。一体、何のための「決断する政治」なのか。今こそ、その原点を見定めなければなりません。
今日より明日(あした)は必ず良くなる。私は、この国に生を受け、目の前の「今」を懸命に生き抜こうとしている全ての日本人に、そう信じてもらえ る社会を作りたいのです。年齢や男女の別、障がいのあるなしなどにかかわらず、どこに住んでいようと、社会の中に自分の「居場所」と「出番」を見出して、 ただ一度の人生をたくましく生きていってほしい。子どもも、地方も、働く人も、元気を取り戻してほしいのです。
「明日(あした)の安心」を生み出したい。私は、雇用を守り、格差を無くし、分厚い中間層に支えられた公正な社会を取り戻したいのです。原発に依存しない、安心できるエネルギー・環境政策を確立したいのです。
「明日(あす)への責任」を果たしたい。私は、子や孫たち、そして、まだ見ぬ将来世代のために、今を生きる世代としての責任を果たしたいのです。
「決断する政治」は、今を生きる私たちに「明日(あした)の安心」をもたらし、未来を生きる者たちに向けた「明日(あす)への責任」を果たすために存在しなければなりません。
先の国会で、社会保障・税一体改革の関連法が成立しました。「決断する政治」への断固たる意思を示した画期的な成果です。温もりあふれる社会を取り戻し、次の世代に引き継いでいくための大きな第一歩です。
しかし、まだ宿題が残ったままです。「明日(あす)への責任」を果たすために、道半ばの仕事を投げ出すわけにはいきません。
誰もがやらなければならないことを徒(いたずら)に政局と結び付け、権力闘争に果てしないエネルギーが注がれてしまうような政治をいつまでも繰り返していてよいはずがありません。やみくもに政治空白を作って、政策に停滞をもたらすようなことがあってはなりません。
将来世代を含む全ての国民を代表する国会議員の皆さん。やるべきことを、きちんとやり抜こうではありませんか。明日(あす)への責任を堂々と果た すため、先の国会で熟議の末に見出した「はじめの一歩」の先に、確かな「次の一歩」を、この国会で力強く踏み出そうではありませんか。

二 「明日への責任」を果たすための諸課題

(明日への責任 ~日本経済の再生に道筋を付ける~)
明日(あす)への責任を果たす。それは、将来不安の連鎖を招くデフレ経済と過度な円高から抜け出すことです。そして、日本経済の潜在力を覚醒させ、先行きに確かな自信を取り戻すことです。
日本経済の再生に道筋を付け、雇用と暮らしに安心感をもたらすことは、野田内閣が取り組むべき現下の最大の課題です。
欧州の債務危機の余波や新興国経済の減速によって、世界経済の先行きは決して盤石とは言えません。かつてない規模での貿易赤字など、日本経済の足下にも不安が広がっています。
今、日本経済が失速してしまっては、雇用や暮らしに直結するだけではなく、将来に向けた改革の推進力までもが失われかねません。切れ目のない経済対策は、改革を断行するための将来投資でもあるのです。
内閣総理大臣に就任して以降、日本各地で、明日(あす)への挑戦を続ける先駆者や経済の現場を縁の下から支える偉人たちと出会いました。彼らの自信に満ちた笑顔を思い出すとき、私は、日本の潜在力に確信を持つことができます。
大田区の小さな町工場でミクロン単位の切削を難なく手作業でやり遂げる現代の名工。消費者との絆づくりに農業再生と故郷・群馬の明日(あす)を見 出す若き農業者。万国(ばんこく)津(しん)梁(りょう)、世界の架け橋とならんとの使命を自ら体現すべく、沖縄でソフトウェア開発にいそしむ起業家た ち。そして、挫折を繰り返しながらも挑戦を続け、感謝と責任感を胸に、知のフロンティアを切り拓いた山中伸弥教授。こうした姿は、私たち日本人の底力を示 すほんの一端に過ぎません。
経済再生を推し進める第一の原動力は、フロンティアの開拓により力強い成長を目指す「日本再生戦略」にあります。これは、疲弊する地域経済の現場 で明日(あす)のために戦う人たちへの応援歌でもあります。戦略に描いた道筋を着実にたどっていけるよう、日本再生を担う人材の育成やイノベーションの創 出に力を入れるとともに、「グリーン」「ライフ」「農林漁業」の重点三分野と中小企業の活用に、政策資源を重点投入します。
その先駆けとなる新たな経済対策の策定を指示し、先般、その第一弾をまとめました。新たな成長のエンジンとなるグリーンエネルギー革命。画期的な 治療法を待ち望んでいる人たちの心に光を灯(とも)す再生医療の推進。情熱ある若者を担い手として呼び込む農林漁業の六次産業化。今般の経済対策によっ て、これらを始めとする将来への投資を前倒して実施します。また、金融政策を行う日本銀行とは、更に一層の緊密な連携を図ってまいります。
国民生活と経済の根幹を支えるエネルギー・環境政策は、大震災後の日本の現実に合わせて再構築しなければなりません。
東京電力福島第一原発の事故は、これまで進めてきたエネルギー政策の在り方に無数の反省をもたらしました。あたかも事故がなかったかのように原発 推進を続けようという姿勢も、国民生活への様々な影響を度外視して即座に原発を無くそうという主張も、明日(あす)への責任を果たすことにはなりません。
今後のエネルギー・環境政策については、二〇三〇年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入するとした「革新的エネルギー・環 境戦略」を踏まえて、遂行してまいります。その際、立地自治体との約束を守り、国際社会と責任ある議論を行うとともに、国民生活への深刻な打撃が生じない よう、柔軟性を持って不断の検証と見直しを行いながら対処します。
戦後早くから長年続けられてきた原発推進政策を変えることは、決して容易なことではありません。それでも、困難な課題から、目をそらしたり、逃げ たり、あきらめたりするのではなく、原発に依存しない社会の実現に向けて大きく政策を転換し、果敢に挑戦をしていこうとするものです。
そして、この新たな挑戦は、経済再生を推し進める第二の原動力ともなります。原子力に依存しない社会を一日でも早く実現するためにはもちろんのこ と、日本経済が元気を取り戻すためにも、徹底した省エネ社会の実現と、再生可能エネルギーの導入拡大が鍵を握っています。そのためには、市民の主体的な参 画も欠かせません。「グリーン政策大綱」を年末までに策定し、経済対策と併せて、日本から世界へと広がるグリーンエネルギー革命を思い切って加速させま す。再生可能エネルギーの導入拡大に不可欠な電力系統の強化や安定化にも取り組みます。オールジャパンの力で、共にこの革命を成し遂げようではありません か。
世界の歴史の流れの大局を見据えた時、通商国家たる日本がその繁栄を託すべき術は、思慮深い経済外交にあります。経済外交は、中長期的な我が国の立ち位置を示すだけでなく、経済再生の第三の原動力ともなるものです。
約半世紀ぶりに東京で開催したIMF・世界銀行総会は、戦後も今も、世界と共にあってこそ日本の繁栄があることを再確認する機会でもありました。 通商国家の要諦は、国際環境の変化への即応です。アジアの片隅に浮かぶ、老いていく内向きな島国として衰退の道へと向かってしまうのか。それとも、世界の 発展の中心にあるアジア太平洋地域の核として、二十一世紀の新たな繁栄の秩序づくりを主導し、活力に満ちた開かれた国を目指すのか。後者の道を果敢に選ば なければ、明日(あす)への責任は果たせません。
アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現という目標は、既に内外で共有されています。高いレベルの経済連携を引き続き推進し、自由な貿易・投 資が各国に豊かさをもたらし、地域の互恵関係を強化する新たなルールづくりを主導します。そのため、国益の確保を大前提として、守るべきものは守りなが ら、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定と、日中韓FTA、東アジア地域包括的経済連携(RCEP)を同時並行的に推進します。併せて、日豪EPAな どの交渉を推進し、日EUの早期交渉開始を目指します。
また、アジア太平洋地域の玄関口として大きな潜在力を持つ沖縄については、その自立的な発展を引き続き力強く支援します。
さらに、エネルギー・環境政策の革新を図る過程において、資源国との関係を強化する資源外交を展開し、エネルギー安全保障に万全を期してまいります。

(明日への責任 ~被災地の復興と福島再生を途切れさせない~)
明日(あす)への責任を果たす。それは、大震災のもたらした試練を乗り越えるための支援を一刻たりとも滞らせることなく、被災地の復興への歩みを確実に前へ進めることです。
発災から一年半以上の歳月が流れました。故郷を愛する住民たちの不屈の精神に支えられ、被災地の街の再生に様々な進捗が見られる一方で、政府の取 組には、まだまだ不十分な点、至らぬ点があることも事実です。私は、これまで何度も被災地を訪れ、仮設住宅で暮らされている方々の切実な声に接してきまし た。そうした声にこたえ、厳しい冬を乗り切るため、お風呂に追い炊き機能を付けるなど、寒さへの備えに万全を期してきました。被災された方々のお住まいが なくなるとの懸念にこたえ、仮設住宅の二年の入居期限を延長しましたが、更に災害公営住宅の整備や住宅の高台移転を精力的に進めます。また、被災地からの 御要望が特に強い中小企業グループ化補助金の拡充を始めとする予備費の機動的な投入も決めたところです。
これからも、復興庁が司令塔となり、改善すべきは改善しながら、継続的な人的支援、復興特区、復興交付金などの支援を進めます。がれきを処理し、 活力ある故郷を甦(よみがえ)らせるために奮闘する住民と自治体の努力を、企業やNPOなどとも連携しながら、政府一丸となって支えてまいります。
復興予算の使途に、様々な批判が寄せられています。被災地の復興に最優先で使ってほしいという声に真摯に耳を傾けなければなりません。被災地が真に必要とする予算はしっかりと手当てしつつ、それ以外については、厳しく絞り込んでまいります。
原発事故との戦いは、今もまだ続いています。私が先日訪問した福島第一原発の構内では、過酷な作業を続ける現場の作業員に向けて、全国から送り届 けられた応援と感謝の言葉が、壁を埋め尽くしていました。風評被害を払拭しようとする地元の人たちの懸命な努力にこたえ、被災地の産品を食べて応援しよう という動きも広がっています。福島を愛し、福島の再生に格闘する人たちの不屈の精神は、それを支えようとする、心ある全国の人々とつながり、確かに響き あっているのです。
福島の再生なくして日本の再生なし。政府全体で共有しているこの強い決意が揺らぐことはありません。内外から寄せられる支援や励ましが止むことも ありません。事故原発の廃炉に向けた作業を着実に進めるとともに、除染、賠償、インフラの復旧、産業の再建など福島再生を具体化していくために、予備費に よる福島企業立地補助金の拡充を始めとする最大限の政策を実施してまいります。
先の大震災は、国全体の防災対策にも大きな警鐘を鳴らしました。これまでに得た教訓を将来発生が懸念されている南海トラフの巨大地震や首都直下地 震などの対策に活かしていくことも、私たちに託された明日(あす)への責任です。平素から、大規模自然災害だけでなく、テロやサイバー攻撃なども含め、国 民の生命・財産を脅かすような事態への備えを徹底し、常に緊張感を持って危機管理に万全を期します。

(明日への責任 ~国民生活の安心の基盤を固める~)
明日(あす)への責任を果たす。それは、私たちが日々の生活を送る上で感じている将来への不安を少しでも取り除いていくことです。
明日(あす)に希望を持てない若者たちが数多くいます。明日(あす)を担う子どもたちを育てる喜びを実感するよりも、その負担に押し潰されそうに なっている親たちがいます。貧困や孤独にあえぎ、あるいはその瀬戸際にあって、明日(あした)の生活さえ思い描けない人や、いじめに怯(おび)える子ども たちもいます。
そうした現実から目をそらさず、社会全体として手を差し伸べなければなりません。一人でも多くの人が、働くことを通じて社会とつながる実感を抱く ことができるよう、経済全体の再生やミスマッチの解消を通じて、雇用への安心感を育みます。行政の手が行き届かないところにも社会の温もりを届ける「新し い公共」が社会に根付くための環境整備にも努めます。
国民生活の将来に不安が残るのは、年金、医療、介護といった社会保障の道行きに依然として不確かさがあるからです。
チルドレン・ファーストの理念に立脚した子ども・子育て支援については、歴史的な拡充に向けて、既に新たな扉が開かれています。
公党間の約束である三党合意を基礎に、社会保障の残された課題について更に議論を進めなければなりません。早急に「国民会議」を立ち上げ、年金や高齢者医療など、そのあるべき姿を見定め、社会保障の将来に揺るぎない安心感を示していこうではありませんか。
消費税率引上げの意義は理解できても、生活への影響に不安を感じるという声も聞こえます。低所得者対策や価格転嫁対策を具体化するとともに、きめ 細やかな社会保障や税制の基盤となるマイナンバー制度を実現しなければなりません。また、所得税や相続税の累進構造を高めるなど、税制面から格差是正を推 し進めなければなりません。積み残しとなっている関連法案の早期成立も含め、こうした社会保障・税一体改革の残された課題に、一つひとつ道筋を付けていこ うではありませんか。

(明日への責任 ~国家の矜持を保ち、平和と安定に力を尽くす~)
明日(あす)への責任を果たす。それは、国家としての矜持(きょうじ)を保ち、アジア太平洋地域の平和と安定に力を尽くしていくことです。
我が国をめぐる安全保障環境は、かつてなく厳しさを増していることは間違いありません。領土や主権をめぐる様々な出来事も生じています。我が国の 平和と安全を守り、領土・領海を守るという国家としての当然の責務を、国際法に従って、不退転の決意で果たします。先の国連総会において、私は、こうした 我が国の立場を明快に申し述べました。憲法の基本理念である平和主義を堅持しながら、今後とも国際社会への発信を続けるとともに、周辺海域の警備体制の強 化に努めます。
同時に、人と人との国境を越える交流は、かつてない深まりを見せています。大局観を持って、中国、韓国、ロシアを始めとする周辺諸国と安定した信頼関係を取り結ぶことは、我が国と地域全体が平和と繁栄を享受するための礎であり、国が果たすべき重大な責務の一つです。
あくまで基軸となるのは、日米同盟です。その基盤をより強固なものにしなければなりません。そうであればこそ、先般、沖縄で発生した許し難い事件 は、日本国民、特に沖縄県民の心を深く傷つける事件であり、決してあってはならないものです。事件・事故の再発防止はもちろん、普天間飛行場の移設を始め とする沖縄の基地負担の軽減に向け、全力で取り組んでいくことを改めて誓います。
北朝鮮との関係では、四年ぶりとなる政府間協議を再開すべく調整しています。日朝平壌宣言に則って、拉致、核、ミサイルの諸懸案を解決し、不幸な過去を清算して国交正常化を図る方針を堅持しつつ、拉致問題の全面的な解決に全力を尽くします。
先の国会で述べたとおり、首脳間の信頼関係の強化に努め、周辺諸国との友好・互恵関係の更なる充実に努めてまいります。

(明日への責任 ~政治・行政への信頼回復~)
明日(あす)への責任を果たす。それは、政治と行政への信頼を取り戻すことです。
最高裁判所から違憲状態との警告がなされている衆参両院における一票の較差の是正と、定数削減を含む選挙制度改革は、もはや一刻の猶予も許されません。必ず、この国会中に結論を見出してまいります。
いかなる政権であっても特例公債なしで今の財政を運営することはできません。既に地方予算などで執行抑制が余儀なくされており、このままでは身近な行政サービスなどが滞って国民生活にも重大な支障が生じ、経済再生の足を引っ張りかねません。
「ねじれ国会」の制約のもとで、「政局」第一の不毛な党派対立の政治に逆戻りしてしまうのか。それとも、政策本位で論戦を戦わせ、やらなければな らないことにきちんと結論を出すことができるのか。その最大の試金石となるのが、特例公債法案です。一刻も早い法案の成立を図るとともに、予算の裏付けと なる法案の在り方に関して与野党が胸襟を開いて議論を進め、解決策を見出さなければなりません。毎年の特例公債法案を政治的な駆け引きの材料にしてしまう 悪弊をここで断ち切ろうではありませんか。
行政改革の歩みも止めてはなりません。地域主権改革は、民主党を中心とする政権にとって改革の一丁目一番地です。関係者の意見を踏まえながら、義 務付け・枠付けの更なる見直しや出先機関の原則廃止などを引き続き進めます。また、独立行政法人・特別会計改革、国家公務員の総人件費の抑制、公務員制度 改革を引き続き推進するとともに、退職給付の官民較差解消を図ります。さらに、復興に向けた国民負担を軽減できるよう日本郵政の株式売却の準備を進めると ともに、郵政三事業の一体的な運営とユニバーサルサービスの義務付けを基本とする郵政事業改革も着実に進めます。

三 おわりに ~中庸の姿勢で、「明日への責任」を果たす決意~

誰しも、十代遡れば、そこには一〇二四人の祖先がいます。私たちは、遠い昔から祖先たちが引き継いできた長い歴史のたすきを受け継ぎ、この国に生 を受けました。戦乱や飢饉(きん)の最中にも、明治の変革期や戦後の焼け野原においても、祖先たちが未来の世代を思い、額に汗して努力を重ね、将来への投 資を怠らなかったからこそ、今の私たちの平和と繁栄があるのです。
子や孫たち、そして、十代先のまだ見ぬ未来を生きる世代のために、私たちは何を残していけるのでしょうか。
夕暮れ時。一日の仕事を終えて仰ぐ夕日の美しさに感動し、汗を流した充足感に包まれて、明日(あした)を生きていく力が再び満ちていく瞬間です。 十年先も、百年先も、夕日の美しさに素直に感動できる勤勉な日本人でありたい。社会に温もりがあふれる、平和で豊かな日本を次の世代に引き継いでいきたい のです。
私たちの目の前には、国論を二分するような、複雑で困難な課題が山積しています。あまりに先行きが不透明で、閉塞感に包まれているが故に、ややも すると、単純明快で分かりやすい解決策にすがりたいという衝動に駆られてしまうかもしれません。しかし、「極論」の先に、真の解決はありません。
複雑に絡み合った糸を一つひとつ解きほぐし、今と未来、どちらにも誠実であるために、言葉を尽くして、進むべき道を見出していく。共に見出した進 むべき道を、一歩一歩、粘り強く、着実に進んでいく。私たちの背負う明日(あす)への責任を果たす道は、中庸を旨として、意見や利害の対立を乗り越えてい く先にしか見出せません。
国会議員の皆さん。まずは、目の前にある課題に向き合わなければなりません。あくまで政策本位で、未来を慮(おもんばか)り、明日(あす)への責任をひたすらに果たしていく政治文化を確立しようではありませんか。
そして、この演説をお茶の間や職場でお聞きいただいている、主権者たる一人ひとりの皆さん。「今が良ければそれでよい」という発想では、国としての明日(あす)への責任は果たせません。主権者たる皆さんの力が必要です。
日本経済の再生の先頭に立つのも、グリーンエネルギー革命を担うのも、活力ある故郷の町を甦(よみがえ)らせるのも、皆さんです。国を守る姿勢を貫くのも、日本の将来への危機感を共有して負担を分かち合っていくのも、全て皆さんです。
皆さんが願うのは、党派対立が繰り返され、大局よりも政局ばかりを優先してしまう政治なのでしょうか。それとも、やるべきことを最後までやり抜 き、明日(あす)への責任を着実に果たしていく政治なのでしょうか。主権者たる皆さんには、政治の営みを厳しく監視し、明日(あす)への責任を果たす方向 へと政治の背中を押してほしいのです。
政権交代以降、民主党を中心とする政権のこれまでの取組は、皆さんの大きな期待にこたえる上では未だ道半ばでありますが、目指してきた社会の方向 性は、決して間違っていないと私は信じます。それは、今を生きる仲間と「明日(あした)の安心」を分かち合い、これからを生きていく子や孫たちに「明日 (あす)への責任」を果たしていくという強い意思です。中間層の厚みを取り戻し、格差のない公正な社会を取り戻していこうとする断固たる姿勢です。
暮らしや雇用の不安に怯(おび)える人たちは、今この瞬間にも、社会の温もりが届けられるのを待っています。未来を生きる声なき弱者たちは、常に、私たちの責任ある行動を待っています。明日(あした)の安心をもたらし、明日(あす)への責任を果たすのは、今です。
今こそ、全ての日本人が手を携えて、分厚い中間層に支えられた、温もりあふれる社会の実現に向けて、更なる一歩を踏み出そうではありませんか。あ らん限りの底力を発揮し、将来への自信を確かなものへと変えていこうではありませんか。そして、未来に向かって永遠の時間を生きていく将来の国民たちの声 なき期待にこたえていこうではありませんか。
この国会が、明日(あした)の安心をもたらし、明日(あす)への責任を果たす建設的な議論の場となることを強く期待して、私のこの国会に臨んでの所信といたします。
赤旗:所信表明演説 反省抜きに「明日」は語れない
野田佳彦首相の所信表明演説を聞き、あらためて怒りがわきます。...内閣改造後わずか3週間で自ら任命した田中慶秋前法相が辞任したことについても、前国会の会期末に自ら参院で問責を決議されたことにもいっさいふれず、反省の一言もないのです。...文字通り無責任のきわみです。...
野田首相が参院で問責を決議されたのは、公約違反の消費税増税を、民主・自民・公明の談合で強行したためであり、本来は内閣不信任に値します。にもかかわらず野田首相が所信表明演説で問責にふれず...ことばを極めて賛美したのは、国民と国会への開き直りそのものです。

野田首相が所信表明演説の中で20回も繰り返した「明日への責任」ということばの中身も...たとえば原発問題について首相は、「即座に原発をなくそうとする主張」を、「明日への責任を果たすことにならない」と切って捨てました。「即時原発ゼロ」を求める国民世論への挑戦です。原発に固執し続ける財界の要求が背景にあります。

沖縄をはじめ全国に批判が広がっている米軍の新型輸送機オスプレイの配備についても首相はふれず、「あくまで基軸になるのは、日米同盟」と断言しました。一方、米兵の卑劣な女性暴行事件には口先で「再発防止」といっただけです。首相の念頭には、アメリカへの忠誠以外ないようです。...野田首相に国民の明日は語れません。...野田首相と民主党は国民の前で正々堂々と議論し、争点を明確にしたうえで、すみやかに衆院を解散、国民の審判を仰ぐべきです。


朝日:臨時国会開幕―報復の連鎖を断ち切れ
異常な幕開けである。...野田首相の所信表明演説...参院はこれを拒否し、各党の代表質問も行わないという。憲政史上、例のない事態である。

参院は先の通常国会で首相の問責決議を可決した。だから首相の発言は聞くに値しない。自民党など野党側が、そう唱えたためだ。

政権にどんな問題があろうとも、あくまで審議を通じてただしていく。それが国会の役割ではないのか。怠慢というほかはない。

自民党としては、野党が多数を握る参院で野田政権を揺さぶり、衆院の早期解散を迫るのがねらいだろう。...
参院自民党には、ただちに審議に応じるよう強く求める。でなければ、参院不要論に火をつけ、結局は自分たちの首をしめることになる。

そもそも「ねじれ国会」が続くなか、参院が政権の命運を左右するほどの力をふるうことが、今回の異常事態を招いたともいえる。

問責決議を理由に審議を拒んだり、重要法案を人質にとったりするのでは、政治の混迷は深まるばかりだ。...
一方、首相も野党に求めるだけでなく、譲るべきは譲らねばならない。...
自民、公明に再度の党首会談を呼びかけ、解散時期についてより踏み込むなどして、協力を求める。そして互いに報復し合う連鎖を断ち切り、政治を動かす道筋をつける。

それこそが、野田政権の仕事ではないか。


岩手:臨時国会 各党は政権構想を競え
...この臨時国会でなすべきことは、はっきりしている。成立しなければ国民生活に重大な影響を与える公債発行特例法案の処理。そして、司法から「違憲状態」のイエローカードを突きつけられた衆院の「1票の格差」の是正だ。

棚上げされたままの「社会保障制度改革国民会議」にもめどをつける必要がある。本来は消費税増税とセットで進めるべきものだ。...消費税増税を強行した野田政権だけでなく、民主党と修正合意した自民、公明にも向くことを忘れるべきでない。

復興予算の流用問題の検証も重要な課題だ。国会の閉会中審査でも解明が進んでいるが、まだ切り込み不足という印象が強い。...
野党は野田佳彦首相の「近いうち」発言を受けて、年内解散を強く求めている。しかし、臨時国会で果たすべき課題を解散との「交換条件」にすることは、国民に背を向けることだ。...
野田首相も臨時国会で環境が整えば、速やかに衆院を解散するのが筋だろう。かつて消費税増税法案の成立後に信を問うことを明言した。決断の時期は近い。...
3党を含めて、臨時国会では各政党の振る舞いをじっくり見定めたい。どの党が信頼に足るのか。「近いうち」に行われるはずの総選挙で、選択の判断をするための重要な舞台になる。


愛媛:臨時国会召集 首相の展望や決意が見えない
...参院では自民、公明両党などが先の通常国会で首相の問責決議が可決されたことを理由に本会議の開催を拒否。所信表明演説が参院では見送られる現行憲法下で前例のない事態となった。...参院で問責決議を受けた首相が退陣せず、次の国会で演説するケースも初めてだ。決議に法的拘束力がないとはいえ、それだけ歴代の首相が重く受け止めてきた証しには違いない。
ましてや「ねじれ」下で参院の意思を無視したまま国会運営を続けるのが困難なのは目に見えている。今回の事態を招いた首相の責任は極めて重い。
一方で処理すべき課題が山積する中、演説聴取の拒否は国会の責務放棄と受け取られかねない。...ねじれ国会の下、法案成立の見通しが立たなくなった原因が、「近いうち」の衆院解散を約束しながら曖昧な態度を取り続ける首相自身にあるのは否定できない。...
重要政策も抽象論が目立ったと言わざるを得ない。自らの説明責任は果たさず、展望や決意も見えないまま協力を求めるだけでは理解を得られようはずがない。...
明日への責任を果たす。それは今国会での課題を整理し早期に処理した上で、民意を問うことにほかならない。


沖縄:社説[臨時国会開幕]懸案片付け早期解散を
...衆院解散・総選挙をめぐりしょっぱなから対決色が鮮明となったが、そのツケは国民生活に回ってくるのを忘れてはならない。...与野党は論戦を通じて一致点を見いだし懸案の法案を片付けてもらいたい。

赤字国債の発行を可能にする公債発行特例法案と、「一票の格差」を是正する衆院選挙制度改革関連法案の成立は緊急を要する。...
最高裁から昨年3月に「違憲状態」と指摘された「一票の格差」は立法府として向き合っていない。怠慢である。

首相は懸案のこれら2法案を成立させ次第、速やかに解散すべきだ。...
2米兵による暴行事件について野田首相の所信表明からは深刻さがうかがえない。...オスプレイが強行配備されたことには触れなかった。...
野田首相は野党に協力を呼び掛けながら、解散には言及しなかった。「大局よりも政局ばかりを優先してしまう政治」と表現し、停滞する政治の責任を野党に押し付けた。だが、それはお門違いだ。...
野田首相が自公に「近いうち解散」を約束したのは8月である。にもかかわらず、見通しを示さない。不毛な与野党対立を招いている責任は首相自身にある。


岐阜:臨時国会召集 首相の決意が見えない
与野党の対立が深まる中で、臨時国会が召集された。11月末まで33日間の会期で、公債発行特例法案や衆院定数の「1票の格差」是正など緊急性を要する課題を処理しなければならない。

だが国会は異常な幕開けとなった。野党側は参院での野田佳彦首相の所信表明演説を拒否、演説は衆院だけで行われた。現憲法下では初めての事態である。...
臨時国会で何を目指すのか―。首相の所信を基に議論を尽くすのが国会の当然の責務だろう。衆院では所信表明を認めるという衆参で異なる対応も国民には分かりにくい。早急に国会を正常化するよう野党に求めたい。

だとしても、事態を打開する責任はまず政府、与党の側にある。...首相が自ら決意を示さなければ政治は前に進まないだろう。...
だが野党側も「早期解散」を求め続けるだけでは展望は開けまい。まずは緊急懸案を処理することだ。その上で政策論議を尽くし、各党の主張、対立軸を明確にして総選挙に臨めばいい。...
停滞する国政が、日本維新の会への期待感や「石原新党」などの動きにつながっていることに与野党は深刻な危機感を持つべきだ。「明日への責任」は危機感を基に、緊張感をもって国会を動かすことである。今後の展開を厳しく見極めたい。


京都:臨時国会 懸案の解決が最優先だ
...本年度予算執行に必要な赤字国債が発行できないため、国民生活に影響が出始めている。違憲、違法状態の「1票の格差」是正も待ったなしだ。野田首相の呼びかけは当然であり、与野党には懸案を解決する責任がある。...
衆院の解散、総選挙は早晩避けられまい。その環境を整えるためにも、懸案の解決を図ることが、政治の責任ではないか。
自民党は審議に応じる方針を示しながら、参院本会議開催に応じなかった。...首相の基本姿勢を代表質問で問いただすのが、野党の重要な役割のはずだ。開催拒否は理解しがたい。...責任野党としての姿勢を示さなければ有権者の信頼は得られない。


神戸:臨時国会/協力迫るなら首相も動け
...自民、公明などの野党は、参院本会議での野田佳彦首相の所信表明演説を拒否した。衆院だけで演説が行われたのは、憲政史上初めてである。...
不毛な対立としかいいようがない。参院には「良識の府」の自負さえなくなったのか。...理解に苦しむ。駆け引きばかり続けていては、参院の存在そのものが問われかねない。

冒頭から対決色が鮮明になった国会で、野田首相の所信表明演説は野党の共同責任を強く訴える内容となった。...
危機感を表す言葉がちりばめられたが、野田政権は今までどれだけの努力をしてきたのか。野党に協力を迫るだけでは政治は動かない。自ら行動を起こさなければ、説得力がない。...
議員の民主党離れも止まらない。臨時国会召集の当日も、衆院議員2人が離党届を提出した。さらに6人離党すれば、与党が衆院で過半数を割り込む。

党内さえ掌握できない状況で、「決断する政治」は実現できるのか。

野党の姿勢も問われるが、まずは民主党の議員一人一人が「明日への責任」を自覚しなければならない。国民や野党に理解を求める前に、与党としての覚悟を示す必要がある。


産経:首相所信表明 「明日への責任」は解散だ2
 野田佳彦首相の所信表明演説は、現下の政治課題を列挙しただけで、政権がこれから何に、どう取り組もうとしているのかが見えない。...国民が聞きたいのは、一般論ではない。国難にどう備え、いかに立ち向かうかの具体策だ。...
 首相は「現下の最大の課題」として経済再生を挙げた。だが、処方箋には抽象論が並び、日中関係の冷え込みなど具体的な懸案にどう対応するかは示していない。

 臨時国会の焦点である特例公債法案や衆院の「一票の格差」是正についても、「『政局』第一の不毛な党派対立の政治」と野党側を批判するだけで、事態を打開しようという意欲が感じられない。
 所信表明演説からも、野田政権に諸課題をやりこなすエネルギーが残っているとは思えない。国政の停滞を避けるためにも、首相は「近いうちに信を問う」という約束から逃げてはならない。


山陽:臨時国会 政治の混迷にピリオドを
臨時国会が召集され、衆院で野田佳彦首相が所信を表明した。首相問責決議を可決している参院では、自民、公明両党など野党が所信表明を拒否した。衆院のみで所信表明演説が行われるのは現行憲法下で初めてのことである。混迷が続く政治を象徴する事態といえよう。...
今国会で、与野党が衆院解散時期をめぐって激突するのは必至だ。政府、民主党は...基本的な質疑を短期間で済ませて懸案の公債発行特例法案などの審議に入る考えという。自民党など野党は...年内解散を求めて政権を揺さぶる構えを見せている。

自民党は、解散時期を明示しなければ審議に応じないという当初の方針を転換し、審議を通じて政権の問題点をあぶりだす戦略に転じた。与野党対立のあおりで公債発行特例法案が成立せず、影響が広がっている。地方交付税の支給が遅れたため、地方自治体は金融機関から借り入れるなど苦心している。重要法案を人質にとるような手法が許されないのは当然である。...
与野党はまず、喫緊の懸案事項を速やかに処理すべきである。首相は演説で、衆院の「1票の格差」是正は今国会で必ず結論を出すと明言した。社会保障制度の在り方を議論する「国民会議」の早期立ち上げや、公債発行特例法案の成立で野党に協力を呼び掛けた。

会期は33日間しかない。与野党の対立で審議を空転させることは許されない。政治を前に進めることを第一に、議論を深めなければならない。


信濃毎日:臨時国会 混迷映す異例の幕開け
...与野党双方に言い分はあるにしても、国民不在の意地の張り合いとしか言いようがない。公債発行特例法案をはじめ課題は山積している。実りある審議を実現させる国会運営を与野党に求める。...野党は早期解散を迫り、政府・民主党が引き延ばし策を講じる。同じことの繰り返しで、肝心の政策課題に取り組む段取りを描けないまま臨時国会を迎えた。...
「ねじれ国会」の現状では、野党の賛成なしに法案は成立しない。首相が本気で手詰まりを打開する気なら、解散を含めて展望を示し、国会運営を円滑に進める覚悟が欠かせない。所信表明でいくら正論を述べても、野党は反発するばかりだろう。...
首相は解散を恐れるべきではない。民主党政権への風当たりは強いとはいえ、自民党に支持が向かうかどうかは、はっきりしない。...
首相がなすべきは、原発ゼロや子育て支援策の充実、年金制度の抜本改革、「分厚い中間層に支えられた社会」の実現といった目標を鮮明にしていくことだ。そのうえで信を問うことが、政治の信頼回復とともに民主党政権の評価にもつながるのではないか。

それにしても自民、公明党など野党が問責決議を理由に、所信表明演説を行う参院本会議の開催を拒否したのは理解に苦しむ。参院の役割放棄につながりかねない問題だ。臨時国会を軌道に乗せる責任は、野党にも重い。


世界:臨時国会召集/国政前進のため野党と協力を
臨時国会が召集され衆院本会議で野田佳彦首相の所信表明演説が行われた。「あしたの安心」「あすへの責任」を織り交ぜた首相の訴えは、政局優先でなく、直面する懸案を今国会で着実に解決するため、国会議員としての責任を果たすよう求めるものだった。ぜひともそのための政治状況を拓いてほしい。...
喫緊の課題である特例公債法案の成立をめぐっては、国民や自治体を“人質”にするかのような政争が続いている。衆院選「1票の格差」が違憲状態のままであるのも国民の権利に真摯に向き合う姿勢が疑われる。これらをめぐって、いかに野田政権は野党の協力をとりつけ、そのためにいかなる妥協が必要なのかを探るべきだろう。...
野田首相が「解散」を先送りすれば、国民の目には「卑怯」と映る。...
信頼を失う政治を野田政権が続ければ、民主党からの離党者が続出して過半数割れを起こし、内閣不信任が可決される状況を生もう。野田首相には国政を前進させるため、文字通り身を捨てる覚悟で今国会に臨んでほしい。


中日:臨時国会始まる 政権延命こそ政治空白
 臨時国会が召集され、野田佳彦首相が所信表明演説を行った。もはや野田内閣が居座る限り、政治空白は続く。与野党は衆院解散・総選挙に向けた環境整備を急ぎ、速やかに国民の信を問うべきだ。
...原発ゼロ政策の「後退」や復興予算流用、日中関係悪化など失政が目に余る。

 財源の四割を占める赤字国債を発行する公債発行特例法案や、最高裁に違憲状態と指摘された衆院「一票の格差」を是正する法案は喫緊の課題とされたにもかかわらず、与野党に歩み寄る兆しがないのはどうしたことか。

 背景には解散時期をめぐる与野党対立がある。...
 野党側が「ねじれ」国会で法的根拠のない問責決議を乱発し、いたずらに政局を混乱させるようなことは厳に慎むべきではある。しかし、首相は自ら懸案処理にどれだけの汗をかいたというのか。...
 消費税増税という議会制度の成り立ちにもかかわる最重要課題での公約違反が強行された以上、野田内閣は速やかに総辞職するか、衆院解散に踏み切るべきである。

 その環境を整えるためにも、前提となる格差是正法案と公債法案の成立に与野党が協力し、首相はその先頭に立たねばならない。...野党側に今、必要なのは積極的に論戦に挑んで野田内閣の問題点を厳しく追及し、懸案処理を急ぐことではないか。

 首相が解散時期をいたずらに先延ばしできなくなるような環境を野党側が整えることが、結果的に政治を前に進めることになる。


東奥:解散・総選挙へ環境整えよ/臨時国会開幕
...11月末までの短い会期内に最優先して処理すべき懸案は三つ。2012年度予算執行に不可欠な公債発行特例法案成立と、衆院の「1票の格差」を是正する選挙制度改革関連法案の成立、さらに社会保障制度改革を議論する「国民会議」の早期設置だ。先の通常国会で処理できなかった課題であり、不毛な政争にかまけている余裕はない。...与野党は審議を進めて懸案処理を急ぎ、解散・総選挙へ環境を整えるべきだ。...
懸案処理のためには国会を動かすことだ。野党は参院で首相演説を拒否した理由に先の通常国会で首相問責決議が可決されたことを挙げるが、問責決議に法的根拠はない。...野党には国会を正常化するよう強く求める。

とはいえ事態を打開する責任はまず政府、与党の側にある。...自民党が協力条件とする本年度予算の減額補正への対応を示すべきだ。...民自両党はじめ与野党は危機感を持つべきだ。懸案処理に成果を上げられるか。与野党ともに覚悟が求められていることを肝に銘じて臨時国会に臨まなければならない。


日経:与野党は懸案処理し選挙の環境整えよ
第181臨時国会が召集され、野田佳彦首相が衆院本会議で所信表明演説をした。...赤字国債発行法案の成立に向け野党に協力を呼びかけた。

今国会は赤字国債法案に加え、衆院の1票の格差を是正するための「0増5減」法案を成立させるなどして、衆院解散・総選挙に向けた環境整備を進められるかが焦点となる。...
所信表明演説で首相は日本経済の再生を「現下の最大の課題」と位置付け、日本再生戦略や環太平洋経済連携協定(TPP)などを推進していく考えを表明した。

しかし衆院での与党過半数割れも現実味を帯びるなか、党内で慎重論が強いTPPについては、交渉参加に踏み出せないのが実態だ。首相は新たな離党者がでることを恐れずに、必要な政策に断固として取り組む覚悟が要る。

まず赤字国債発行法案を成立させないことには、どのような経済対策を打ち出しても絵に描いたもちになる。...自民党など野党側はこれに応じ、解決策を探ってほしい。

最高裁が違憲状態と指摘している1票の格差に関し、...首相は1票の格差是正を優先して「0増5減」法案を先行処理するよう方針転換すべきである。

参院は前通常国会で可決された首相問責決議のけじめがついていないとして、首相が所信表明演説をする本会議の開催を拒否した。法的拘束力のない問責決議を理由に、所信表明をボイコットするのはおかしい。参院の野党は国会審議に応じて政権を追及するのが筋である。


西日本:所信表明演説 参院の拒否は職場放棄だ
前代未聞の「職場放棄」である。参院は「良識の府」という代名詞を自ら返上してしまったといえるのではないか。...
問責決議には法的拘束力がない。にもかかわらず参院審議をストップさせ、首相の退陣や閣僚の更迭を求める政治的圧力に使われてきた。このような手法は、もう見直さなければならない。...一部で「参院廃止論」さえ提唱される現状を踏まえ、参院は自らの役割と使命をあらためて考えるべきだ。

一方、野田首相は...自民、公明両党が求める早期の衆院解散には一切触れなかった。自分の要望だけ伝え、相手の求めは一顧だにしない。それでは協力が得られないのは当たり前だ。3党首会談で伝えた「近いうちに」という衆院解散・総選挙の「約束」はどうなったのか。

自らの発言で野党から不信感を持たれている以上、首相は局面打開に向けて説明を尽くす責任から逃げてはならない。


福島民友:臨時国会召集/「明日への責任」どう果たす
臨時国会が召集された。11月末まで33日間の会期で、公債発行特例法案や衆院の「1票の格差」是正など緊急性を要する課題を処理しなければならない。...
野党側も「早期解散」を求め続けるだけでは展望は開けまい。まずは緊急懸案を処理することだ。その上で政策論議を尽くし、主張や対立軸を明確にして総選挙に臨めばいい。

首相は演説で「明日への責任」を繰り返し「将来世代のために、今を生きる世代としての責任を果たしたい」と述べた。しかし経済再生戦略やエネルギー政策で具体策はなく、迫力を欠いた。領土問題でも尖閣諸島には言及せず「領土・領海を守る責務を国際法に従って不退転の決意で果たす」と述べるにとどまった。

本県の復興については...最大限の政策を実施するとしたが新味に乏しかった。首相には本県への「明日への責任」を全うすべく指導力を発揮してほしい。

懸案処理のためには、首相の側からの譲歩・提案が必要だ。...衆院定数是正に関しても、首相は「定数削減を含む選挙制度改革」を併せて「この国会中に結論を見いだす」と述べた。これでは対立は解けない。抜本改革は切り離し、喫緊の課題である定数是正を急ぐのが現実的だ。...「明日への責任」は危機感を基に、緊張感をもって国会を動かすことだ。今後の展開を厳しく見極めたい。


北海道:野田首相所信 責任果たす覚悟ほしい
...野田佳彦首相はきのう開会した臨時国会での所信表明演説で...「あしたの安心」を生み出すため、経済再生や東日本大震災被災地の復興、外交・安全保障などの懸案に果敢に取り組むと強調した。

しかし原発政策や社会保障制度改革などは後退気味だ。これで将来への責任を果たせるのか。

野田政権を取り巻く政治状況は厳しさを増しており「明日への責任」を担える態勢とはとても言えない。現状を打開する責任は首相にある。...
福島のような、放射能をまき散らす事故は二度と許さないという国民の思いから遠ざかるばかりだ。

「あしたの安心」をつくるはずの「社会保障と税の一体改革」も、「政治生命を賭ける」というこれまでの意気込みがトーンダウンした。...<--

「残された課題についてさらに議論を」と野党に呼びかけるだけだ。-->消費税増税法案が成立したからだろうが、それでは困る。制度改革国民会議の設置などを急ぐ必要がある。...特例公債法案が通らずに地方交付税配分が滞り、補正予算さえ組めない政権では景気てこ入れはおぼつかない。政権延命だけを目的とせず、政治を前進させる覚悟が首相に求められている。


毎日:波乱の臨時国会 眼前の2課題に全力を
...首相演説もピントはずれだった。国会が一日も早く解決すべきなのは違憲状態の衆院「1票の格差」緊急是正と特例公債法案の処理である。

ところが首相は1票の格差について演説で後半に簡単にふれた程度で、しかも難しい定数削減問題と合わせての結論を説くにとどまった。...
赤字国債を発行するための特例公債法案について自民党内には柔軟論も浮上しているようだ。1票の格差とただちに同時決着させれば年内解散もなお、不可能ではあるまい。...
放置し続けた「1票の格差」「特例公債法案」を一日も早く決着させ、国民の審判に足る材料を示すことが与野党の役割だ。1年以内に必ず衆院選は行われる。逃げ腰の演説と、演説拒否ではさみしすぎる。


宮崎日日:臨時国会開幕
...野党は早急に国会を正常化すべきだ。それでも、まずは政府・与党に事態を打開する責任があることを指摘したい。...首相が自ら決意を示さなければ、政治は前に進まないことを肝に銘じておくべきだ。...
野党側も「早期解散」を求め続けるだけでは展望は開けまい。まずは懸案を処理することだ。その上で政策論議を尽くし、各党の主張、対立軸を明確にして総選挙に臨めばいい。...今は国会を動かす努力こそ必要である。


読売:首相所信表明 戦略見えない「明日への責任」
「明日への責任」を掲げる以上、その言葉に見合う政策と実現への戦略を示す必要がある。...
だが、社会保障・税一体改革に続く政治課題として何を最優先に取り組むのかが見えてこない。

首相は、「決断する政治」の実現を強調し、デフレ脱却と超円高を克服する経済再生を「現下最大の課題」と位置づけた。

そうであれば、自由貿易の拡大でアジアの成長を取り込む環太平洋経済連携協定(TPP)への参加が、手段として欠かせない。...交渉参加を正式に表明していないのはなぜなのか。...
来月6日の米大統領選後、米豪など11か国による交渉が本格化する。来年にかけて、日本抜きで貿易と投資のルールが決まることになりかねない。日本が交渉に参加を表明することは急務である。

次期衆院選の政権公約(マニフェスト)作成に向けて、TPPに慎重な自民党との違いを打ち出すことにもなるはずだ。

エネルギー政策について首相は、2030年代に原子力発電所の「稼働ゼロ」を目指す「革新的エネルギー・環境戦略」を踏まえて遂行すると主張した。

しかし、「原発ゼロ」への具体的な道筋は不透明だ。電力の安定供給が揺らぐだけでなく、電気料金値上げや産業空洞化など国民生活への深刻な打撃が予想される。原子力の分野で優秀な人材を確保することも困難となろう。

政府は「原発ゼロ」方針を撤回し、現実的な原発・エネルギー政策を策定し直すべきである。

主権・領土の問題に関しては、「国家として当然の責務を不退転の決意で果たす」と述べただけだ。対中・韓・露外交をどう立て直すのか、具体策を聞きたい。...
赤字国債の発行を可能にする特例公債法案や衆院選挙制度改革の関連法案の成立には、何ら見通しが立っていない。

「政局第一の不毛な党派対立の政治」と野党を批判するだけでは、政治は前に動かない。政府・与党が責任ある提案を行い、野党との接点を探るのが筋だろう。


琉球:首相所信表明 「明日の安心」沖縄にも 喫緊の課題 優先処理を
...2012年度の予算執行に欠かせない公債発行特例法案や衆院選挙制度の「1票の格差」是正など、喫緊の懸案を最優先で処理すべきだ。
与野党の党利党略を帯びた不毛な対立は国民生活への悪影響を広げ、政党政治への不信をさらに強めることにしかならない。...
今回の臨時国会は、米海兵隊のMV22オスプレイの普天間飛行場への配備強行に加え、海軍兵による集団女性暴行致傷事件が発生し、県民の憤りが増幅する中で迎えた。
野田首相は集団暴行致傷事件について...「日米同盟の基盤をより強固なものにしなければならない。そうであればこそ、沖縄で発生した許し難い事件は―」と前置きしている。
文脈をたどれば、「日米同盟」を揺るがしかねないから「許し難い」と読める。これでは本末転倒だ。...
さらに、首相は、オスプレイの沖縄配備や日米地位協定の見直しにも一切言及しなかった。...オスプレイ問題を「沖縄」限定に矮小化する腹づもりなのだろう。...
首相はまず、沖縄の痛みに真摯に向き合い、基地押し付けから脱する「明日への責任」を果たす気概を示すべきだ。...
野田首相の所信表明は...政策課題への処方箋というよりも、課題の列挙と抽象論が目立つ。...経済再生や脱原発を図るエネルギー政策は具体性が乏しい。
消費増税によって生活を直撃される低所得者への対応や、あるべき社会保障像を探る「国民会議」の設置は、協議を呼び掛けただけの構図になっている。
領土問題でも、竹島や尖閣諸島に触れず、「領土・領海を守る責務を国際法に従って不退転の決意で示す」と語るにとどめた。
中韓両国との深刻な対立をどう打開し、中長期的な国益確保、ひいては東アジアの平和と安定を展望するのかが見えない。
首相は、自民、公明両党が迫る衆院解散時期には触れず...国会の混乱の責任を野党側に押し付ける姿勢にも映る。...国民生活に直結する重要案件をしっかり処理し、その上で各党が対立軸を鮮明にして、総選挙に臨むべきだ。

 というわけで。国会が波乱のうちに始まったワケですが。
 33日しかないので、特例公債・一票の格差は確実にやるでしょう。社会保障の国民会議も多分やるとは思いますが、ひょっとしたら「選挙後でいいんでないか」となるかも知れません。
 正直、年内の解散があるかないかはわかりません。中途半端にねじれ国会を延長させて余計にワタワタするんだったらいっそ同時選挙でいいんじゃないかとも思っているので。

 正直、ねじれ国会下でどうこう出来るというお約束ができてない以上、今衆院を解散してもなんだかんだで参院は与党が過半数取れなくてねじれちゃうと思うのでね。それで「せっかく衆院解散して与党になったのに、まだ何もできないのか」って参院選で「お灸を据えられる」とさらに3年停滞するのでね。……まぁ、数ヶ月でまた衆院解散すればいいのかも知れないけどねー。

 まぁ、社説に関しては野党にも責任があるという従来の主張を残しつつも、さすがに3年経って「民主党政権が悪い」という言い方をするようにはなってきましたよね。
 まだまだ政権交代前の叩かれ方じゃありませんが、これも3年間の変化と言えなくもないですね。まぁ、新聞の論調がこの程度ってことはテレビはまだまだなんだろうなーって話でもありますが。

 あんまり変化が無ければ、次は「第三極」に頑張ってもらいましょうって思っているんでしょう。それは多分、さらなる混沌の元だと思いますが、まぁ、選挙で決まったんなら仕方がないですしね。「民意」は絶対ですからね。あっはっは。

2012/10/31(水) 「緊急経済対策として最大4226億円を閣議決定したことで社説」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 40コ

 まぁ、そんなに多くが取り上げたワケじゃないんですが、ケタ1個2個違うんじゃないの???と思ったもので。

産経:緊急経済対策 4千億円で景気上向くか2

政府が閣議決定した7500億円規模の緊急経済対策は、どうみても小粒の事業を寄せ集めた印象しかない。...
国の財政負担が小幅だったのは、国会審議を必要としない予備費が財源の多くを占めたからだ。野田佳彦政権には、しっかり野党の協力を取り付けて赤字国債の発行法案を成立させ、本格的な補正予算を編成していく責務がある。...対策に取り組むポーズだけの「アリバイ作り」に時間と資金を費やす余裕はないはずだ。...
政府は現在、赤字国債を発行する特例公債法案の成立が見込めないため、地方交付税などの予算執行を抑制している。こうした中で予備費を活用して財政出動しても、ブレーキとアクセルを同時に踏むようなものだ。効果はますます限定されてしまう。...
これ以上の景気後退を防ぐためにも、野田政権には補正予算を組み実効的な経済対策を実施する正攻法しか残されていない。


信濃毎日:緊急経済対策 ちぐはぐぶりが目につく

ブレーキをかけながらアクセルを踏む―。政府が閣議決定した緊急経済対策は、ちぐはぐな政策の典型だ。...
いま景気のブレーキになる恐れが強いのは、12年度予算の執行に必要な公債発行特例法案の成立にめどが立たないことである。まず成立に全力を尽くすべきだ。...
首相は景気対策を打つことで早くデフレを脱却し、14年4月に予定する消費税増税の環境を整えたいのだろうが、今度の経済対策は生煮えだ。...
復興予算流用が厳しい批判を受けているときに、またもや間に合わせの予算案を各省庁に出させる感覚は理解しがたい。...
地方自治体は地方交付税が受け取れなくなる事態に備え、金融機関から借り入れを増やしている。自治体の予算執行が先送りされることになれば、地方経済に悪影響が及ぶだろう。

首相が取り組むべきは、野党との対立を解消し、早く特例法案を成立させること、復興予算の無駄遣いをチェックし必要なところに回すことである。


福島民友:緊急経済対策/景気てこ入れには力不足だ

...景気てこ入れにようやく重い腰を上げた野田首相の指示から10日足らずでまとまった対策の第1弾は、国の負担が最大でも4226億円と小規模にとどまった。...失速した日本経済の景気再浮揚には力不足であり、本格的な対策を早期に打ち出す必要がある。...
緊急対策が小粒になったのは、国会審議を経ずに実施できる12年度の予備費を活用したからだ。予備費は合計約1兆6600億円あるが、公債発行特例法案が成立せず、12年度予算の執行を抑制する一方で、予備費を取り崩せば崩すほど財源が尽きる時期が早まるというジレンマも足かせとなった。

野田政権は11月中に本格的な経済対策をまとめる考えだが、そのためには12年度補正予算の編成が不可欠だ。...与野党は協力して補正予算を組むべきだ。「政治不況」を招くようなことがあってはならない。


北國:緊急経済対策 大きな効果は期待薄だ

野田政権が閣議決定した緊急経済対策は、サイドブレーキを引いたままアクセルを踏むような、ちぐはぐさが否めない。赤字国債の発行に必要な特例公債法案が成立しなければ、国の財源は来月中にも底を突く。...まず特例公債法案を成立させ、予算執行を抑制するブレーキを外すのが先だろう。

景気対策が本当に必要なら、臨時国会で補正予算を編成し、必要十分な財源を確保すべきだ。...わずか4千億円程度では効果は期待薄だ。野党の協力が得られそうもないからと内閣の予備費を使うのは安易な手法と言わざるを得ない。...野田政権が矛盾に満ちた緊急経済対策を打ち出さざるを得ないのは、国会で野党の協力が得られず、法案成立の見通しが立たないからだろう。八方ふさがりの状況を変えるのは、やはり早期の解散・総選挙しかあるまい。

重要法案を成立させる責任は政府・与党にある。野田政権は、野党の合意を得るために 十分な努力をしているとは言い難い。自民、公明両党も歩み寄る姿勢を忘れないでほしい。むしろ野田政権に知恵を貸すぐらいの感覚で接した方が、道は開けるのではないか。


毎日:経済対策 本来やるべき事は何か

日本経済の減速が心配されている。主な原因が欧州や中国など海外にあるため、即効性のある対策が見当たらないのが現実だが、そんな中、景気をあえて冷え込ませようとしているのだから、あきれるばかりだ。...特例公債法案のたなざらしである。

本来なら今年度予算と一体で4月までに成立していなければならなかった法案だ。...地方交付税の配布が遅れた結果、銀行からの緊急借り入れでしのいでいる自治体もある。景気の足を引っ張るばかりか、利払いという余計な負担増まで招いている。一刻も早く成立させることが、与野党に求められる最低限の責務だ。...衆院の解散時期をめぐる駆け引きの材料に使われてきただけだ。

そんな無責任ぶりを続けながら、緊急経済対策とは、本末転倒ぶりも甚だしい。...
やるべき仕事を棚に上げ、政治家が日銀にさらなる追加金融緩和を求めるのも責任転嫁以外の何ものでもない。...
経済活動に必要なのは、安定した環境と先行きの見通しやすさだ。それを提供することが政治の重要な仕事の一つであり、今の日本にとって最良の景気対策となろう。野田政権と野党の意思さえあれば、一円もかけず今日からできるのである。

週明けに臨時国会が召集される。これ以上の時間の浪費は、国民生活や国の信用に大きな痛手を与えることになり、許されない。


読売:緊急経済対策 「急場しのぎ」では力不足だ

申し訳程度の経済対策では、景気の腰折れを防ぐことはできまい。政府は危機感を強め、景気浮揚策に全力であたるべきである。...
まずは来週からの臨時国会で、今年度当初予算の財源を確保するための特例公債法案を、早急に成立させることが不可欠だ。...
自民、公明など野党が、解散時期の明示に拘泥して法案成立への協力を拒み続ければ、いずれ国庫は底をつき、行政サービスがストップしてしまう。国民生活と経済には深刻な打撃となろう。

選挙をにらんだ政局的な駆け引きに終始して、国民生活に犠牲を強いるなら、「政治不況」の責任を負うのは政府・民主党だけではない。野党も同罪である。...


 まぁ、桁がひとつふたつ足らないのは予備費でやったから。予備費しか使えないのは、特例公債法案が通っていないから。赤字国債出せない限りは予備費が底をついたら終わりだし、どうにもならないので、早く通せ。頼む通してくれ。
 という、シンプルなご感想になるしかないんですね。後は、解散しない与党・民主党が悪いのか、解散しなきゃ通さないとゴネてる自民・公明が悪いのか。そういうスタンスで書いてるだけですね。「同罪だ」で済ませてる所もあります。

 正直、自民がちゃんと動いてくれないと立ち行かないと新聞が認めちゃってるようなもので、55年体制は未だに健在であると言えましょう。
 臨時国会は初手から参院で所信表明演説を拒否という波乱の始まり方をしてしまったので、特例公債法案がどうなるのかはさっぱりわかりません。まぁ、通すとは思うんですけどね。給料でなくなっちゃうし。どうやって着陸するのかなぁ、と思います。
 長引くようなら自民公明に対して「もう、そこは折れていいからね」っていうメッセージをもっと露骨に送るんじゃないかなぁ。

2012/10/27(土) 「石原慎太郎東京都知事が辞任及び国政復帰、新党結成を宣言したので社説」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 92コ

 久しぶりに大量に引っ張ってきました。

朝日:石原新党―国政復帰を言うのなら

...混迷する政治に風穴をあけたい。そんな石原氏の思いは多としたいところだが、これまでの言動から、危うさを感じないわけにはいかない。...たとえば尖閣諸島の問題だ。...「東京が尖閣を守る」として購入費の寄付を募った。島は混乱を恐れた政府が買い上げたが、結果として日中関係は悪化し、経済などに深刻な支障が出ている。...
きのうの記者会見でも、中国を挑発するように「シナ」と呼び、国政に復帰すれば島に漁船が避難する船だまりや灯台をつくると主張した。

こうした姿勢は、問題をいっそうこじらせるものだ。...石原氏は、核兵器保有や徴兵制導入を主張したこともある。これも新党の政策になるというのか。 ...
都知事として高い支持率を誇った石原氏だが、政党の党首にふさわしいかどうか、こんどは全国民が見ている。


秋田魁:石原都知事辞職 新党の政策、明確に示せ

...石原氏は自身が新党の代表になって民主、自民の二大政党に対抗する第三極勢力の結集を図る方針だ。...
ただし、今年4月に表明した都による尖閣諸島の購入計画が日中関係の悪化を招く発端となるなど、歯に衣(きぬ)着せぬ言動がしばしば物議を醸してきた石原氏である。...保守色が強い石原氏が新党でどのような国家観や政策を打ち出すのか、注視しなければならない。

会見で石原氏は、辞職の理由について「日本を支配する硬直した中央官僚の支配制度を変えないと駄目だ」と述べ、既成政党には改革は不可能だとして新党結成を決意したと説明。...
都が提案した政策が官僚によって握りつぶされることが多々あったことも例示し、怒りや不満をあらわにするその姿からは、政治の閉塞(へいそく)状態を打破しようという気概がうかがえる。しかし「統治機構の抜本改革」と言うだけでは、具体的に何を目指すのかよく分からない。...
全体像はまだよく見えないとはいえ、知名度の高い石原氏が代表を務める新党は次期衆院選に相応の影響を与えるのは間違いない。特に維新の会と連携して東西で第三極の勢力を形成する足掛かりを築けば、台風の目になるかもしれない。...
石原新党が、既成政党に対する不満の受け皿として第三極勢力の結集を加速させる核となるのか、それとも政策不一致によって結集が進まず限定的な影響力にとどまるのか。政界に地殻変動をもたらしかねない新党の動向から目が離せない。


岩手:石原氏国政へ 政界の流動化が強まる

...政界の流動化がさらに強まるだろう。...
石原氏は保守勢力を結集した新党とする構えで、日本維新の会代表の橋下徹大阪市長との連携に意欲を見せる。橋下氏も連携に含みを残している。

実現すれば民主、自民の二大政党のほかに東京と大阪が手を結ぶ「第三極」が形成される可能性が出てきた。そうなると次期衆院選の構図が一変することは間違いない。...
新党結成に駆り立てたのは、東京都という巨大都市とはいえ、自治体の長である間は国の改革ができないという限界感だろう。80歳という高齢への焦りもあったかもしれない。...任期途中で都政を投げ出すような辞任には批判を免れまい。

石原氏の都知事としての業績は功罪が相半ばする。...善くも悪くも剛腕型のリーダーと言える。...まずは衆院選に向けて打ち出す政策を見極めたい。

心配なのは中国との関係だ。石原氏は中国を「支那」と呼び、強硬姿勢を貫いてきた。新党が国会で一定の勢力を得た場合、発言によっては日中関係をさらに悪化させかねない。外交政策も問われる。


愛媛:「石原新党」結成へ 中央集権打破の道筋明らかに

...唐突感は否めない。石原氏は4期目の任期を2年半も残している。任期を全うし、都民に約束した政策実現に取り組むのが責務ではないか。...たちまち大きな塊にはならない見通しだが、タカ派の論客で抜群の知名度を持つ石原氏が党首となることで、政治のダイナミズムを引き出すきっかけにはなろう。...しかし、この二大政党に対抗しうる第三極勢力結集の軸になるとのもくろみが成就するかについては不透明と言わねばならない。...知事としての手腕は一定評価されよう。だが、首長と国会議員の権能は違う。
石原氏は「中央官僚の国家支配を壊さなければならない」と訴えている。どのような道筋や手順で中央集権体制を打破し新たな統治機構をつくるのか、具体的に明らかにしなければなるまい。...
国民が決められない政治にもどかしさを感じるにしても、十分な政策吟味なしにカリスマ性や新奇性にのみ目を向けるような社会であってはなるまい。その意味でも、石原氏には新党の政策を具体的に打ち出してもらいたい。民自への揺るぎない共通の対抗軸を示さなければ、第三極勢力結集の支持も得られまい。


沖縄:[「石原新党」]期待よりも懸念が先行

...あまりにも突然の辞任発表だ。...
石原氏の年齢も気になる。...母体となるたちあがれ日本の議員と合わせると、平均年齢はゆうに70歳を超える。

憲法破棄など国家主義的な政策も周辺諸国とあつれきを生みかねない危うさがつきまとう。中国や韓国では「極右勢力の旗手を自認」する人物などと紹介され、早くも懸念の声が上がっている。...
4期目の任期を約2年半残しての辞任には「都政を投げ出す」として批判も強い。...
外交問題でも火種をつくった。...尖閣諸島の領有権をめぐって、日中関係はかつてないほど険悪化し、収まる気配がない。発端は石原氏である。...
それにしても石原氏の会見にはユーモアがなく、攻撃的だ。聞く人に不快感を与える上から目線の言葉の乱発にはうんざりする。これで公党の代表が務まるだろうか。


京都:石原新党 期待の前に政策聞こう

...現段階では石原氏の発言にとどまっており、先走るのは控えたい。まず石原氏は新党の理念や国家像、政策を明確に示すべきだ。国民は一時の期待感に流されることなく、新党がめざす方向をしっかり見極める必要がある。...
党代表に就く石原氏の思想が色濃い政党となるに違いない。それだけ石原氏の発言は注目されることになる。...
国内外で日本の右傾化が指摘される中で、石原氏の言動は論議を呼ぼう。さらに会見中に中国が嫌う「支那」という言葉を繰り返し使った。無用な挑発と批判されても仕方あるまい。...
いずれにしても、任期半ばで知事の職を投げ出すことに変わりない。...昨年4月の都知事選で圧倒的に支持した都民が納得するのか。説明するのが責務ではないか。
政治も経済も行き詰まっている。80歳の石原氏が新しい活路を示せるのだろうか。


神戸:石原新党/第三極へ政策をどう示す

...民主、自民の二大政党に対抗する勢力の行方にどのような影響を及ぼすのか。...第三極をめぐる動きはより複雑になるだろう。...
石原氏と橋下氏は「官僚支配の打破」という点では確かに一致している。しかし、正反対の政策もある。...
みんなの党の渡辺喜美代表は「政策のずれを残したままなら野合といわれる」と、早速けん制した。

石原氏の最初の国政進出は40年以上も前で、今年80歳。新党を結成しても、国政への影響力は小さいとの見方もある。

何よりまず、新党として具体的な政策を打ち出してもらわねばならない。その内容を見て、有権者は新党の価値を見極めるだろう。


岐阜:石原新党表明 具体的政策を見極めたい

...4期目の任期途中約1年半での辞職は、2020年の東京五輪招致など石原氏が打ち出した都政の課題を投げ出した格好になる。無責任との批判も免れないだろう。...石原氏が代表となる新党の姿はまだはっきりしない。...早急に新党の全体像を示してもらいたい。

石原氏は...知名度は群を抜き、石原氏が「顔」となれば、衆院選でも有力な新党の一つとなるだろう。

一方で、昨年3月の東日本大震災では「天罰だと思う」と発言し、撤回するなど物議を醸す発言も多い。今年4月には沖縄県・尖閣諸島を都として買い上げる計画を表明。これが結局は野田政権の尖閣国有化につながり、日中関係の悪化を招く発端となったことも否定できない。...石原氏の言動には賛否両論があろう。

「第三極」の連携にも課題が多い。...有名人を党首にし、既成政党への不満を持つ有権者に訴えるだけでは「大衆迎合政治」に陥る懸念がある。...
民主、自民の二大政党の政策には満足できない有権者の受け皿になろうという考えは理解できる。だが第三極狙いの各党の政策が一致するとは思えない。「統治機構の抜本改革」にとどまらない、具体的な政策の詰めが必要だ。


産経:石原新党 新憲法への流れ歓迎する 首相は年内解散を決断せよ2

...現在の政治の閉塞(へいそく)状況を転換しようとする石原氏の行動を高く評価したい。氏が投じる一石は、新たな政治状況をダイナミックに創出する意味を持ち、憲法改正を求める保守勢力を結集する重要な核となり得るからだ。...
石原都政は足かけ14年に及ぶ。3期12年間に行われた都立高学区制全廃や国旗・国歌の指導徹底、道徳教育の充実などの教育改革は高い評価を得た。4期目の今年は「尖閣諸島を都が購入する」と発表し、尖閣国有化という重要な国策の決定につながった。...
だが、4期目は大規模災害やテロなどの緊急事態の際、都民の安全や首都機能をいかに守るかの危機管理・防災対策など難題が山積していた。東京五輪再招致の課題もある。

辞任はこれらを途中で投げ出したと受け取られかねない。石原氏はこうした批判に応え、残された課題の引き継ぎもおろそかにしてはなるまい。...野田政権は懸案を解決できず、国民の支持を失った。...離党者を防ぎ、政権基盤維持のための党内融和人事に走った結果が、田中慶秋前法相の辞任を招いた。...「内向き」の政権運営を続けるのではなく、新憲法作りを軸とする国のありようを競い、国民の信を問う姿勢こそ国政の閉塞状態を打破する上で不可欠である。


山陽:石原新党 「第三極」の結集なるか

...知事として強いリーダーシップを発揮し、国政にも物申してきた石原氏の新党旗揚げは、政界に一石を投じ、次の衆院選に影響を及ぼそう。...
ただ、新党がこれから実現させようとする政策を十分に提示できているとはいえない。...より具体的に国民の前に明らかにすることが必要だ。...
政局優先で党利党略に走りがちな民主、自民両党をはじめ既成政党による政治が前に進まないことに国民の失望感は強まる一方である。地方政党や新党に関心が集まるのは、そうした政治不信の裏返しにほかならない。

石原新党のような第三極が有権者の不満の受け皿となり、広く支持を得ることができるかどうか。政治理念や政策を連携相手としっかりとすり合わせ、明確に示すことがその条件となろう。


信濃毎日:石原新党 タカ派路線の危うさが

...石原氏の知名度は高いものの、新党の顔触れは新鮮さに欠ける。任期途中で都政を投げ出すことへの批判もある。どこまで有権者の支持を得られるかは未知数だ。...
強硬なタカ派姿勢は、外交面にも表れている。尖閣諸島を都が所有すると宣言し、実効支配を強める計画を打ち上げた石原氏である。...
相手を刺激する石原氏のストレートなもの言いは、国際関係に無用なあつれきを生む恐れがある。...石原新党の外交政策を慎重に見極める必要がある。

永田町に解散ムードが高まり、政治家の生き残り策や政界再編の動きが盛んになっている。

肝心な政策が後回しになってはまずい。東日本大震災からの復旧・復興をはじめ、原発と将来のエネルギーの在り方、社会保障の将来像、消費税問題など、政治の課題は山積している。各党には政策の座標軸をはっきりと打ち出すことを、あらためて求めたい。


世界:石原新党結成へ/停滞する国政に新風吹き込め

...与野党が激突し停滞している国政に新しい風を吹き込んでもらいたい。 ...
石原氏が重要政策の第一に挙げたのが、憲法改正だったことは評価できる。「憲法は我欲を培ってきた」との指摘は正鵠を射ている。 ...
石原氏が(政党もメディアも)それぞれ憲法改正草案を持っているので「草案を持ち寄ってブラッシュアップし、それに変えればいい」というのはもっともだ。独立国としてふさわしい憲法に改正することは急務である。...

石原氏はまた、...国民のために「明治以来の中央集権制度をシャッフルしなければならない」と強調した。 ...
問題意識としては当然だろう。ただ、官僚の壁が分厚いのは間違いなく、民主党が官僚主導の打破・政治主導などと主張しながら、逆に官主導に傾斜したことを考えれば、どこまで実行できるのか。石原氏の訴えが口先だけにとどまるのか、改善できるのか、その本気度と手腕を注視していきたい。


中日:石原新党 政策本位の第三極に

...あくまで政策本位の政治行動を望みたい。...
三年前の総選挙では、民主党が掲げた「脱官僚・政治主導」「地域主権」の旗に多くの国民が期待を寄せた。だが失敗し、野田首相は公約を裏切って消費税を引き上げる法案を成立させた。

自民党は安倍晋三総裁の下で政権奪還を目指しているが、本当に党が生まれ変わったのか、国民は半信半疑だ。だから石原氏への期待も一定程度、集まるだろう。...石原氏にぜひ望みたいのは、連携や協力関係は政策本位であってほしいという点だ。...
消費税の扱い、原発・エネルギー政策、尖閣諸島や竹島、北方領土問題、さらに環太平洋連携協定(TPP)についても、国民は「自分たちの意見を政党に託したい」と願っている。国民に明快な政策の選択肢を示せるかどうかが、石原新党の試金石になる。


西日本:石原新党 第三極の起爆剤となるか

...抜群の知名度と歯に衣(きぬ)着せぬ言動で知られる石原都知事を新党の党首に担ぎ出し、民主党と自民党の二大政党以外の「第三極」として、新たな保守勢力の結集を目指す‐。そんな新党構想が紆余(うよ)曲折の末、実現する運びとなりそうだ。...
もちろん、具体化の作業はこれからかもしれない。しかし、憲法改正や中国に対する強硬姿勢など、保守色を前面に打ち出す石原氏の個性と知名度を「一枚看板」の頼りにした新党だとすれば「第三極」の旗を掲げても、いずれ有権者に見透かされてしまうと覚悟すべきだろう。...政策合意を置き去りにした政党間の「連携」は「数合わせ」でしかない。その意味でも、石原新党は早急に基本政策を提示すべきだ。...
80歳の石原氏の決断が閉塞(へいそく)感を強める政界にどこまでインパクトを与えるのか。歯切れの良い新党宣言の一方で、政策も陣容も定かでない現段階ではまだ、未知数と言わざるを得ない。


日経:石原新党は何をめざすのか

...問題は、新党が何をするためのものかということだ。どんな政治理念のもとに、どのような政策を実現しようとするのか、という点を明確にする必要がある。

焦点は、日本維新の会などとの連携による第三極の結集だ。選挙の争点になるとみられるのが(1)原発政策(2)消費税(3)環太平洋経済連携協定(TPP)――の3点だが、経済・財政、安全保障の基本的な方向での一致が必要だろう。...
石原氏の2度目の国政挑戦が変革につながるのかどうか。悲喜劇にならないためには理念による結合が求められる。


北海道:石原新党 政策の道筋を語らねば

...新党といっても、当面は保守派の国会議員仲間と再合流する話だ。民主、自民両党に対抗する第三極を形成するのかは、はっきりしない。

石原氏は何を目指し、実現へどう道筋を描くのか明示すべきだ。 ...
中国では反日デモが広がり、中国の漁業監視船による領海侵犯も相次いでいる。石原氏は日中関係悪化の原因をつくった責任をどう考えているのか。ナショナリズムにナショナリズムで対抗しようとする動きであれば危ういと言わざるを得ない。 ...
掲げた理念を実現するために何をしようとしているのか。そこが見えてこない。選挙で勢力拡大を目指すなら、具体的な政策の工程表を盛り込んだ公約を早急に示す必要があるだろう。

それにしても今、なぜ新党なのか。石原氏は自らの行動の真意を丁寧に説明しなければならない。


毎日:「石原新党」結成へ 「第三極」理念が問われる

...いきなりの辞職表明ではあったが、石原氏による新党構想はかねてくすぶっていた。...
改憲、対中強硬路線で知られる石原氏率いる新党の参入はとりわけ「安倍自民」にとって無視できぬ競合相手の出現となる可能性もある。だが、都知事としての行動が結果的に対中関係悪化の呼び水となっただけに、新党による国政進出に不安がつきまとうことも否定できない。
...会見では「中央集権の官僚制度のシャッフル」「最後のご奉公」など言葉は躍ったが、政策の輪郭を伝えたとはいいがたい。具体的政策の早急な提示を求めたい。...
政策の方向が共通する新勢力の連携はむしろ自然かもしれない。だが、理念にかかわる部分の食い違いを放置して反既成政党の協力を掲げても政界再編を主導するような勢力たり得るかは疑問である。

石原氏の辞職に伴い、東京都知事選も実施される。首都のかじ取り役を選ぶこれも重要な場となる。新勢力以上に問われるのは既成政党の力量である。


宮崎日日:石原新党

...記者会見で石原氏は...統治機構の抜本改革の必要性を強調。憲法改正を目指す考えも示した。

だが「統治機構を改革する」と言うだけでは、具体的に何を目指すのか、説明が不十分だ。肝心なのは政策の中身である。今後どのような政策を掲げるのかを見極めたい。...
石原氏は知名度は高いが、物議を醸す発言も少なくない。東日本大震災では「天罰だと思う」と被災者の感情を考えず、また沖縄県・尖閣諸島を都が買い上げる計画も表明し、日中関係悪化を招く発端となった。...
石原氏は確かに政治経験は豊富だが、年齢は80歳。「最後のご奉公」と強い覚悟を見せたが、「新味を欠く」との見方も根強く、また第三極狙いの各党の政策が一致するとも思えない。

まずは「統治機構の抜本改革」にとどまらない、具体的政策を国民に明示することだ。


読売:石原都知事辞任 国政復帰に何が期待できるか

...自民、民主両党とは一線を画し、保守勢力の結集による「第3極」を狙っている。...国政で何を実現したいのかは、必ずしも明確ではない。...
国政の現状に対する問題意識には、うなずける点もある。

ただ、かつて25年余も国会議員を務めた石原氏が、昨年4選を果たした知事を途中で辞め、国政復帰を目指すと言う以上、もっと具体的な政策と、それを実現する戦略を語ってもらいたい。...
石原、橋下両氏ら人気の高い首長をトップに据える新党が、国民から一定の期待を集めている。

これは、「決められない政治」に陥っている既成政党に対する不信や不満が強いことの裏返しでもあろう。民主党内には、石原新党がさらに離党を誘発することに警戒感がある。自民党にも、保守票の分散への懸念があるという。

石原新党が今後仕掛ける「政界再編」が、果たしてどんな波紋を広げるか見定めたい。


琉球:石原都知事辞職 新党の具体的な政策説明を

...民主党が「政治主導」「脱官僚」を掲げて政権を獲得しながら、政治力を発揮できずに官僚主導のまま機能不全に陥っている現在、石原氏の「中央集権制度をもう一回シャッフルし、性根を据え役人と闘わないといけない」との主張は聞こえが良い。
しかし石原氏が新党を結成してどのような政策を掲げていくかの具体的な中身は見えてこない。...
橋下徹大阪市長が率いる「日本維新の会」との連携も表明しており、民主、自民の二大政党に対抗する第三極勢力として衆院選の情勢を左右するとの見方もある。
しかし...政策不一致のまま第三極として合流することがあるとすれば、国民には政権奪取が目的の迎合組織、議席増を果たすのが目的の選挙互助会的な集団にしか見えないだろう。
石原氏は今年4月、尖閣諸島を都として買い上げる計画を表明した。その結果、...日中関係悪化を招いている。...責任は重い。日中・日韓関係を含めアジア外交をどう再構築するのか。
在日米軍基地が沖縄に集中している現状についても石原氏は「地理的な条件や歴史的な経緯等により沖縄に集中していることはやむを得ない」と発言している。基地過重負担の放置は到底容認できない。石原氏は考えを根本的に改めていただきたい。
既成政党への不満が広がる中で、新党結成で有権者の選択肢が増えることは良いことだ。その受け皿になるというのなら、石原氏は沖縄のことも含め、具体的な政策を丁寧に示していただきたい。


 まぁ、そんなワケで。
 よくわからないけど、新党作るってんで新聞もよくわからないまんま書いてる感じがします。あの記者会見で全部把握しろというのが難しいわけで。なんせ、大半が愚痴と文句でしたからね。

 ただまぁ、民主党が「選挙互助会」として完成し、結果として政権を奪還し、そして政策が不一致で分裂し、というものを見た以上は、「第三極」というものを作る時に政策である程度「妥協する人達」でないと結果的には瓦解して終わるんだろうなぁ、というのが目に見えているワケです。

 そして、第三極を作るのであれば、石原新党の母体になるといわれる「たちあがれ日本」。そして同時期(郵政解散時)に自民党を出た新党改革、国民新党……から更に分裂した亀井静香ら。それに民主党から分裂した国民の生活が第一。更に地方政党である新党大地、大阪維新の会、減税日本。実質一人政党の新党日本。一番最初に第三極になろうとした「みんなの党」を全部くっつけるくらいでないとダメです。

 ……矛盾してるでしょ?普通にやれば矛盾するんです。
 誰よりも強烈な個性で第三極を目指す政党を全部ぶっ潰して君臨するくらいしかないんじゃないかと思う。でも、それが石原新党で出来るか?っていうと、正直微妙だし、これは小沢一郎でも橋下徹でも渡辺喜美でもダメだと思う。少なくとも、この4人が立ってる以上は。

 まぁ、新聞なんかは一応「政策が見たい」とは言ってるけど、結局はどこをプッシュ(社の主張に合えば問題なかろう?)できるでもなく、わーい盛り上がった盛り上がったと政局だから喜んで記事書いて、よくわからないウチに選挙が来て、なんか分裂して終わるんじゃないかなーと思います。

 そりゃ、政局って面白いんですけどね。
 始まったなら追いかければいいけど、政局だかなんだかよくわかんないのまで「政局だー政局だー」って煽るのも、なんか違うんじゃないかなーと。

 話戻して。
 とりあえず、これから第三極は誰かっていう政局が始まるかも知れません。民自公の三党は三党でガヤガヤとやるでしょう。そんななんかよくわかんないまんまでなんとなく解散を向かえるんじゃないかなーと。なんとなくそんなことを予想してみたりします。

 まぁ、私の予想は外れてばっかりだから、大丈夫さ。

2012/10/27(土) 「放射線物質の拡散予測を受けての社説」
日々でなくつらつら:各紙社説・コラム・記事並べ -トラックバックないよ-コメント 25コ

 まぁ、端的に各新聞社が「もうだめだー」ってなってるか「さて、これからどうするか」と思ってるかを確認するのが良いと思います。綺麗に分かれましたんで。

朝日:放射能予測―防災が無理なら廃炉に

原子力規制委員会が全国の原発16カ所について、福島第一原発のような事故が起きた場合を想定した放射性物質の拡散予測を公表した。

防災の重点区域を定めるために策定した。規制当局がこうした情報を初めて公開したことは評価する。

ただ、本来なら原発の計画段階で踏まえておくべきことだ。原発建設にあたって、いかに防災対策をおざなりにしてきたかを物語っている。 ...
もちろん予測はあくまで現地の標準的な気象条件などをもとに試算したひとつの目安にすぎず、地形も考慮していない。
...
福島以上の事故が起きる恐れも否定できない。日本の原発は1カ所にいくつもの炉を設ける「集中立地」が特徴だ。

福島の場合、なんとか作業を続けられたが、1基でも撤退せざるをえない事態になれば他の炉も連鎖的に制御不能となり、被害が飛躍的に大きくなる。

今回の予測の狙いを正しく読み取り、防災計画づくりに生かす必要がある。
...東海第二(茨城県)のように周辺人口が多すぎて短期間での避難が困難な原発や、地形上、十分な避難路が確保できない原発もある。浜岡原発(静岡県)は30キロ圏内に、日本の大動脈である東海道新幹線や東名高速道路が走る。

野田政権は相変わらず、再稼働の判断を規制委に丸投げする姿勢を変えていないが、自治体の計画策定を支援するのは政府の仕事だ。 ...周辺自治体が実効性のある対策を取れない原発は、政治主導で廃炉にしていく枠組みを講じるべきだ。


産経:放射能拡散予測 現実に即した防災計画を

「汚染の限界」を示すはずが「汚染の予告」と誤解される可能性を孕(はら)んでいるのではないか。...
作成の目的は、各自治体が来年3月までに策定する地域ごとの防災計画作りの参考資料にしてもらうことにある。
...マップの作成にあたっては、地形についての情報が考慮されていない。風向きなどについても...異なる汚染の分布も生じ得る。...精度や信頼性には、さまざまな限界がある。そのことは担当した規制庁も補足しているが、ショッキングな情報ほど独り歩きしやすいことを忘れてもらっては困る。

このマップを提示された自治体の側も、困惑するはずだ。実効性のある地域防災計画の策定に有効につながるかどうか、疑問が残る。...
シミュレーションの全般の傾向を見る限り、避難が必要となりそうな地点は多くの原発で20キロ圏内外に収まっている。そうした見方も忘れてはなるまい。

さらにもうひとつ。放射性物質の大量放出をもたらす水素爆発の再発防止策は各原発で講じられている。これを考慮しない防災計画は現実離れしかねない。


中日:放射能予測 これで稼働できるのか

原発の稼働は無理に近いことがこれではっきりした。...自治体の地域防災計画作りがいかに困難かを示す。脱原発のピッチを上げるほかない。...
今回の予測は、山や谷などの地形を考慮していないし、大ざっぱな気象条件を基にはじき出した目安にすぎない。現実に事故が起きれば、風の向きや強さ、爆発の規模によっては放射性物質がもっと遠くへ、もっと異なる方角へ、と飛び散る恐れが多分にある。...
安全神話の虚構を作り上げて原発建設を推し進めてきたツケである。災害対策とともに、政府は原発の廃炉計画を作るべきだ。


日経:「放射能拡散予測」を実のある防災対策に

予測を示すだけでなく、地元に丁寧に説明し、実のある対策をつくれるかが問われている。...
福島第1原発事故の前まで、国や電力会社は「重大事故は起きない」とし、予測を公表してこなかった。そうした「安全神話」が福島の惨事を招いた教訓を踏まえれば、規制委が事故の予測を示したことに意義はある。

だがそれ以上に大事なのは、自治体が住民の避難などを定めた実効性の高い防災計画をつくることだ。...ところが予測では30キロ圏外の新潟県魚沼市などにも放射能が広がる可能性があるとし、これらの自治体では「住民避難が必要になるのか」と戸惑いが広がる。

地元が不安に思うのも無理はない。予測では柏崎刈羽で7つの原子炉すべてが炉心溶融を起こすなど、福島よりずっと深刻な事態を想定した。...規制委が予測の意味を丁寧に説明し、政府の原子力防災会議が具体策を示すべきだ。

そのうえで規制委は自治体と連携し、情報提供や技術面で防災計画づくりを支援する必要がある。

私たちは、国が放射性物質の拡散を予測する「SPEEDI(スピーディー)」の情報を提供するなど、自治体の計画づくりに協力すべきだと訴えてきた。放射能の拡散は地形によっても左右される。今回の予測だけが独り歩きしないように配慮し、事故やテロなど様々な事態に対応できる柔軟な計画をつくることが欠かせない。...責任を規制委だけに押しつけるのではなく、政府全体で後押しすべきだ。


北海道:放射能予測 原発事故対策に厚みを

...北海道電力泊原発(後志管内泊村)では、国際原子力機関(IAEA)が避難を求める高い放射線量が、南東約20キロまで及ぶ結果が出た。事故による放射能汚染の深刻さを思い知らされるデータである。 ...
後志管内の関連自治体に、防災計画を策定する上での検討材料を提供した意味はある。

ただ、予測は原発周辺の過去の気象観測データを使ってはいるが、地形を考慮せず、あくまで仮定に仮定を重ねたものにすぎない。

風の向きや強さ、放射性物質の放出量によって汚染の範囲や深刻度は大きく変化する。今回の予測が、発生し得る最大値を示しているわけではないことも認識しておきたい。

地域防災計画をより綿密なものにするために国や道は今後、地形も加味し、事故の規模や状況の設定を変動させた詳細なシミュレーションを提示する責務がある。 ...
そのためにも、その日の気象と放出量から汚染の広がりを割り出す「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)」が適正に活用される体制を早急に確立する必要がある。
...